地元である山陰地方のために何か役に立ちたいと、島根・浜田市を拠点にオリジナルのスムージーを販売している男子大学生がいる。
その原動力は「フルーツや野菜をこよなく愛する心」…地元産のフルーツや野菜、そしてそれを育てる農家の思いを様々な形で発信。
その姿を客室乗務員でJALふるさと応援隊の小岩井美樹さんがリポーターとして取材した。

島根県西部の浜田市弥栄町にある農場「やさかファーム阿郷の里」。
約1200本のブルーベリーの木が並んでいる。
この農場を訪れたJALふるさと応援隊の小岩井美樹さんは「一面にブルーベリーの木が並んでいて壮観」とその規模に驚く。
そして摘みたてのほおばり、甘酸っぱさと美味しさを味わった。

大学生とスムージー店長の“二足のわらじ” 中野一天さん
このブルーベリー畑で出会ったのは…中野一天さんだ。
中野さんは、「恋するバナナ」というスムージー店を運営しているが、実は浜田市にある島根県立大学の3年生でもある。
学業の傍ら、2年前からこのスムージーの店を県西部のイベント会場などに出している。この日は、取材に合わせ特別にこの畑で店開きしてもらった。

中野さんは、地域の農家が栽培した果物を使ったスムージーを作って販売している。
今回、小岩井さんには、阿郷農園のブルーベリーを使ったスムージーを味わってもらった。

そのスムージーは、地元産の旬のフルーツに浜田市産の牛乳、そして甘みを出すためバナナを加えるのが特徴だ。フルーツ本来の甘みと酸味をほどよくミックスさせるオリジナルのレシピは、店を始めた2年前に独自に考案。フルーツと牛乳のベストな配合を見つけ出したという。
試飲した小岩井さん、「ブルーベリーの味も濃厚で、バナナと牛乳との相性もばっちりでおいしいです」と絶賛だった。

その名も「恋するバナナ」 地元のフルーツのすばらしさ伝えたい
中野さんのスムージーの店は、その名も「恋するバナナ」。
バナナはもちろん、ブルーベリーやイチゴ、ミカン、リンゴなど、その時々の「旬のフルーツ」を使って作る。ひとたび店を出せば、60杯以上は売れるということで、これまで2年間に20回ほど出店し、あわせて約1500杯を売り上げたという。
そんな中野さんは、「島根県のものとか、浜田のものというものにこだわり、もっともっと農家のみなさんを知っていただきたい」と話し、地元ならではの良いフルーツがあることを知ってほしいと、赤字にならないぎりぎりの値段で提供している。

スムージー+αで農家の思い発信したい…
小岩井さんが、「スムージーを通じて、農家のみなさんが大切に果物を育ててきたことや丁寧さも伝わってきました」と感想を伝えると、中野さんが差し出したのが「恋するバナナだより」というフリーペーパーだ。
フルーツや野菜のすばらしさを伝えたいと始めたスムージーの店だったが、まだまだ思いが届いていないと感じ、中野さんは自ら農家を取材。農家の取り組みや思いを伝えるフリーペーパー「恋バナだより」を発行することにした。
そしてスムージーを購入した人に手渡している。
そのフリーペーパー第1号として出させてもらったのが、「やさかファーム阿郷農園」だった。

農園を運営する阿郷一日さんは、学生が取り組むこうした活動について、「この農園に来ていただくことで販路につながり、この弥栄町にもたくさん人が集まってくれるんじゃないかと思う。若いエネルギー、いろいろなアイディアに期待しています」と話し中野さんにエールを送る。

中野さんは、これまでに8軒の農家を取材。すでに4軒分を「恋バナだより」にまとめ紹介。残る4軒分についても製作を進めている。
農業に「恋する」気持ちを込めてスムージー作り続ける…
今後の活動の展開については、「これから学生生活が忙しくなるかもしれないが、できる範囲で自分のペースでいろいろな活動をやっていきたいし、地域に根ざした活動をやっていきたい」と話し、フルーツや野菜、そしてそれを育てる農家のすばらしさを知ってほしいという思いを強くした。
そしてこれからも山陰のあちこちに出没し、農業に「恋する」気持ちを込めてスムージーを作り続けたいと意気込む。

(TSKさんいん中央テレビ)