アメリカのトランプ大統領により2025年4月に発動した貿易相手国への関税。8月1日から日本ではすでに発動されている自動車などを除き、ほとんどの品目で25%の関税が課されることになった。日本酒を輸出する福島県内の蔵元は、先行きを不安視している。

アメリカでの売り上げ3割減

1752年創業の福島県二本松市にある大七酒造は、ヨーロッパやアジア圏など約20カ国に日本酒を輸出している。
なかでも、その50%以上をアメリカへの輸出が占めるため、10%の関税が発動した4月以降、アメリカでの売り上げは3割ほど減少しているという。
大七酒造の太田七右衛門さんは「少々値段が上がっても、魅力のある商品だから買おうと思ってくれるお客さんを増やしていく努力をすることが一番」と話す。

海外でも人気の大七酒造の酒
海外でも人気の大七酒造の酒
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円安やユネスコ無形文化遺産の登録もあり、福島の日本酒は世界に広く知られるように。しかし、アメリカでは大都市圏を中心にインフレの再加速を懸念した買い控えの動きも見られるという。
太田さんは「この3年間とか、あるいは日本政府との交渉が決着するまでどんな状態かなというのが不安なところ。目の前のトランプ関税の問題を、ぜひ”オールジャパン”で、強い交渉力で解決してほしい」と語る。

県内企業の大半にマイナスの影響

民間の調査会社「東京商工リサーチ」が、福島県内の企業120社に行ったアンケートによると、6割近い企業が「トランプ関税の引き上げが業績に影響する」と回答。このうちの大半がマイナスの影響が出ると回答している。

東京商工リサーチのアンケートより
東京商工リサーチのアンケートより

政府や行政に求める支援策では「返済義務のない給付金や助成金の支給」がトップとなった。

企業が政府や行政に求める支援策
企業が政府や行政に求める支援策

東京商工リサーチ・明石功さんは「負担が大きくなれば中小企業から厳しくなってくるのは間違いないと思う。資金的な援助や補助金の支給、助成金の支給というのがないと、運営が厳しくなる企業が増えてくる可能性はある」と分析する。

関税が高くなると?

そもそも、関税が高くなるとどうなるのか?
たとえば、まったく関税がない状態で200万円の車に25%の関税がかかるとすると、関税分が上乗せされて単純計算で250万円になる。
消費者が買わないと売れない、輸出に重きを置く企業にとっては大きなダメージとなる。

関税が高くなると…輸出に重きを置く企業には大ダメージ
関税が高くなると…輸出に重きを置く企業には大ダメージ

5人の候補者の訴え

福島選挙区の5人の候補者に、この関税との向き合いを聞いた。
大山さん、石原さん、森さんは「毅然とした態度で臨む」「国益を守る」とし、遠藤さんは「柔軟な対応を」越智さんは「国民が幸せになるように」と回答しました。

そのうえで、福島の経済発展のあり方については大山さんが「減税で所得を上げる」。越智さんが「市町村合併で住環境の再整理」。森さんは「税制で企業や大学の誘致」石原さんは「農林漁業の再生と中小企業支援」、遠藤さんは「新産業の創出」に重点を置くと回答している。

5人の候補の訴え
5人の候補の訴え

日本が直面する経済の重要な局面での参議院選挙、投票日は7月20日、期日前投票も活用して、皆さんの思いを貴重な一票に託してほしい。
(福島テレビ)

福島テレビ
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