政府が随意契約で放出した備蓄米が福島県内に流通し1ヵ月あまり。県内では中小の米穀店でもようやく販売が始まった。

■契約した備蓄米がようやく入荷
米の卸売りや小売りをしている相馬屋の倉庫。ここに積み上げられているのは、備蓄米で申請から約1ヵ月あまりが経ち、ようやく搬入された。
いわき市で100年以上続く米の専門店「相馬屋」。物価の高騰が続くなか、消費者に安価でコメを提供したいと、5月末に政府の備蓄米12トンを契約した。契約から1ヵ月半ほど経った15日、ようやく入荷。16日からの販売開始に間に合わせるため急ピッチで精米作業を行っていた。

■2021年度産の備蓄米の品質は
五つ星お米マイスターの資格を持つ営業部長の井塚雄三(いづかゆうぞう)さんは、2021年度産の「古古古米」の品質を心配していたが…「きょうの朝入荷して、まず玄米で見た時に品質的にはすごくいいなって感じました。きょうのお昼に炊飯してみたんですけど、結果もすごく良くて、いいお米だなって感じましたね」と話す。

■スーパーの備蓄米はすぐに売り切れ
県内の複数のスーパーなどによると、放出された備蓄米は流通しているもののすぐに売り切れ、消費者に広く行き渡っていないのが現状だ。相馬屋では16日から5kg1890円で店頭での販売を始め、一部電話での注文も受け付けるということだ。
相馬屋の井塚さんは「まだ購入出来ていないってお客様もいると思いますので、うちも少しではありますが、そういった方に届くといいなって思います」と話した。

■備蓄米以外は価格に大きな変化なし
一方、一足早く備蓄米の流通が始まったスーパーでは…。
6月中旬から毎月一回、店頭で20袋ほど備蓄米を販売しているブイチェーン富田東店。2025年3月下旬に販売価格を10%ほど値上げして以降、現在も備蓄米以外のコメは、5キロあたり4000円前後と、大きな変化はない。
ブイチェーン富田東店・遠藤尚仁店長は「だいぶ高くなったねっていう声は、今でもお聞きしますね。一応、年間契約としても、相場状況ありますので、そこらへんは臨機応変に業者の方と相談しながら値段を決めさせていただいております」という。

■全体の流通量は増加
一方で、備蓄米の放出やアメリカ産のコメの輸入で、全体の流通量は増えていて前年の同時期に比べて選択肢は豊富だという。ブイチェーン富田東店の遠藤店長は「これから新米とか出てきますので、少しでも価格が安定して、お客さまに買いやすい値段で提供できればと思います」と話した。

■最新のコメの価格
7月14日の農林水産省の発表では、7週連続でコメの価格が下がった。コメ全体の価格で見ると、6月30日から7月6日までの1週間は5キロ3602円で、ピーク時からは700円ほど下落した。
一方、ブランド米だけを見ると、4273円とピーク時から200円ほどしか下がっていない状況だ。消費者・生産者がともに納得いく価格には、いつ・どのくらいに落ち着くのか。参議院選挙の大きな争点だ。

福島テレビ
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