浪江町は7月15日から特定帰還居住区域で初めてとなる住民の“準備宿泊”の受付を開始した。
「特定帰還居住区域」は、立ち入りが制限される「帰還困難区域」のなかにあり、帰還意向のある住民が帰還できるよう、国費で除染やインフラ整備を進めるエリア。帰還困難区域を抱える自治体が復興再生計画を作成し、内閣総理大臣の認定を受けて設定される。
2025年7月16日時点で、大熊町、双葉町、浪江町、富岡町、南相馬市に設定されているが、“準備宿泊”の受付は初。
浪江町では「特定帰還居住区域」を設定するために、これまでに2回にわたり住民へ帰還意向調査を行っていて、332世帯が「帰還意向あり」と回答している。“準備宿泊”は、この「帰還意向あり」の住民や、作業などを手伝うために同行する親戚などが対象となるが、現在「特定帰還居住区域」内で除染が進んでいるのは、すでに避難指示が解除されたエリアの外縁にとどまっている。除染が完了し、放射線量が下がっていることが確認されていることが“準備宿泊”許可の前提となるため、現時点では332世帯すべてが対象とはならない。
町によると、住民から“準備宿泊”の申請があった場合、国が除染の完了状況などを確認し、“準備宿泊”エリアとして指定するという手続きが発生するため、準備宿泊の許可までは早くても1週間ほどかかると見込まれるという。
また、浪江町は、これからお盆の時期を迎えるにあたり、墓参り目的での立ち入りのニーズが高まるなどとして、帰還困難区域にある墓地など6か所で7月15日から立ち入り規制を緩和。通行証の申請を不要としている。
「特定帰還居住区域」の設定をめぐっては、葛尾村も計画を作成していて、7月16日に県がこれに同意。国に計画を提出し、認定を受ければ6自治体目の区域設定となる。また、認定を受けた自治体でも、住民の帰還意向を踏まえながら区域の拡大を申請、認定されたところもある。
国は、希望するすべての住民が2020年代に帰還することを目指している。