東京都内などの小中学校では、今週末に終業式を迎えて長い夏休みが始まりますが、そんな夏休み、思い出とともに記憶に残っているのが膨大な宿題ですよね。

ということで、「ソレってどうなの?」15日のテーマは“イマドキ小学校 夏休みの宿題ゼロ?”です。

15日、取材に伺ったのは東京・武蔵野市立境南小学校です。

教室で授業を受けているのは6年生です。
今週末から始まる夏休みの宿題について聞いてみると、「宿題ないです」「去年もなかった」という声が。

一体どういうことなのか、校長先生に聞きました。

武蔵野市立境南小学校・杉谷努校長:
うちの学校は一律一斉の宿題がないのが特徴。自由研究も「やってきていいよ」というスタイル。

この小学校では、5年ほど前から一律の夏休みの宿題をなくしました。
漢字の書き取りも算数ドリルも読書感想文も自由研究も、やるかやらないかは自分次第だそうです。

親御さんの感想はさまざま。
「やりたいことをやってほしいというところはあるので、夏休みの宿題がないメリットもあると思う」「(宿題が)何もないと、こっちで考えて与えなきゃいけないのでだいぶ厳しい」「『おうちでやってください。お母さんお父さんお願いします』の時、かなり大変だった。親子のトラブルが発生する。全部任せられるのはちょっと…」と、いろんな意見がありましたが、こうしたこともありまして、冒頭で紹介した学校では夏休み中の勉強のやり方にヒントを与える方式を導入しています。

さらに、自由に選択できるプリントなどを用意。
でも、勉強の計画を立てるのは子供たちです。

学校に提出する場合は、丸付けは本人と親が担当。
教員は提出物の確認だけを行います。

こういった夏休みの宿題をなくした狙いについて、校長先生は「当たり前のように同じことを、人によって実力違うのに同じことをやることにすごく違和感があった。『6年になったとき、必要な学びを自分で決められる子を育てたいね』と話して、主体的に生きてほしいという思いが一番強い」と話します。

実はこの学校、夏休みだけではなく、普段の宿題もありません。
子供たちはどう思っているんでしょうか。

6年生に聞いてみると、「自分が不得意なところがあまり気づけなかったが、自分で計画を立てるようになって、『ここが得意じゃない』と分かるように」「(宿題は)あったほうがいいが、自分の苦手なところを自分で選んでできるからいい」「習い事の習字に行ったりして、好きなことがたくさんできる」「提出しなくていいから気楽にやれる。宿題がないと、塾の勉強ができてめっちゃいい」「(今年の夏休みは)本が好きだから、学校から配られたチラシ見て、読書感想文のコンクールに出そうかなと思ってる」と話していました。

杉谷校長は「子供たちにとって『宿題なし』がすべて良いか悪いか分からないが、今後生きていくためには小学校の経験が大人になって響くのではないか」と話し、この経験が将来に役立つだろうと期待しています。

一方、宿題だけではなくて夏休みの前にもらう通知表にも変化が出ているようなんです。

岐阜・美濃市の小学校が、2025年度から1年生の通知表を廃止したんです。

美濃市教育委員会の島田昌紀教育長は狙いについて、「例えば『◎』があったかどうか、『△』があったかどうか。いくつあったか、他の子より多いか少ないか。特に低学年の発達段階を考えると、そういうところに着目しがち。劣等感を覚えて自信や意欲を失うことがないように」と話します。

勉強への苦手意識や劣等感を抱かせないように、2026年度からは2年生の通知表も廃止するということです。

変わる夏休みの過ごし方ですが、待ち遠しいのは今も昔も変わりません。

皆さん、どうか最高の夏休みにしてください。