有田町の陶芸家で白磁の人間国宝・井上萬二さんが亡くなりました。96歳でした。
【人間国宝 井上萬二さん】
「歳だと思ったら作品も枯れるし、自分自身も枯れてくるから俺は歳だと思わないでいつまでも現役で万年少年じゃないとだめなんです」
井上萬二さんは14日午後、入院していた福岡市内の病院で亡くなったということです。96歳でした。
井上さんは16歳から作陶を始め、有田でろくろ技術の第一人者として白磁の制作技法を高めました。
白磁は美しい純白と柔らかな造形が特徴で、1995年には国の重要無形文化財保持者、いわゆる人間国宝の認定を受けました。
また15歳で海軍飛行予科練習生となり、海軍の航空隊に入隊した経験のある井上さんは、厳しい訓練を受けたことなど、戦争体験を語り次ぐ活動も行っていました。
【十四代 今泉今右衛門さん】
「昨年の年末ある方が(井上さんに)お会いした時に『すごくお元気だった』ということを聞いていましたのでお元気でやっているんだな、よかったなと思っていましたので、今回(訃報を)聞いて驚いているというのが正直なところ。またひとり先輩が亡くなるのは残念な気持ち」
また有田町の松尾佳昭町長は・・・
【有田町 松尾佳昭町長】
「有田にとっても日本の要業界にとっても『巨星落つ』という感じ。先生の今までのご厚意に対しまして、恥じぬようしっかり今後450年500年と続く有田窯業界をつくっていくことを御誓いしたい」
井上さんは講演も積極的に行い、努力を続けることの大切さを伝えていました。
【井上萬二さん】
「みんな運は持っているけれど、努力しないから運がない。やはり努力すれば何か運が出てくるから、皆さん、どんなことでもいいから自分の道を一生懸命努力すればいいことだと思う」