仕事の意義を見出すことがストレス対策に

仕事量が多くてストレスを感じるだけでなく、自分の仕事がなんの役に立っているのか分からなくてストレスを感じることがあります。

業務の全体像が見えなくて、仕事の意義や自分の貢献を実感できないために、「なんのために自分は仕事をしているのか」、「毎日追われるように仕事をしているだけでは、人生がつまらない」と落ち込んでしまう人も多いようです。

実は私自身も、似たような体験をしたことがあります。使命感を持って医師になったものの、気がつくと書類の作成や整理に追われる日々が続くばかり。患者さんと向き合う時間が減っていると感じて悩んだことがありました。

転機は、白内障の手術をした患者さんの一言でした。

「先生のおかげで、孫の顔がはっきり見えるようになった」と喜んでくださった瞬間、「ああ、私の日々の仕事が、誰かの人生を変えていたのだ」と気づいたのです。

「誰かの役に立っている」という実感は、その人の幸福感をアップさせる重要な要素です。こうした「役に立てた」という瞬間の積み重ねが、次へのモチベーションを生み出すもとになると思うのです。

つまらないと思える仕事でも、ちょっと視点を変えることで意識はずいぶん違ってきます。自分の仕事が誰かの役に立っていると想像してみてはいかがでしょうか。

『休養ベスト100 科学的根拠に基づく戦略的に休むスキル』(日経BP)

加藤浩晃
デジタルハリウッド大学大学院 特任教授。東京科学大学医学部 臨床教授。アイリス株式会社共同創業者・取締役副社長CSO。著書に『医療4.0』『医療4.0実践編』(いずれも日経BP)、編著に『医療×起業』『デジタルヘルストレンド』(いずれもメディカ出版)など多数。

加藤浩晃
加藤浩晃

デジタルハリウッド大学大学院 特任教授、東京科学大学医学部 臨床教授、アイリス株式会社共同創業者・取締役副社長CSO。
2007年、浜松医科大学卒業。眼科専門医として1500件以上の手術を執刀し、白内障手術器具や眼科遠隔医療サービスを開発。2016年、厚生労働省医政局研究開発振興課に勤務。2017年、AI 医療機器開発企業であるアイリス株式会社を共同創業し、取締役副社長兼CSO(最高戦略責任者)に就任。2021年、一橋ビジネススクールにてMBA 取得。医療現場、医療制度、ビジネスという3つの領域を経験し、横断的に理解することで医療領域全般の新規事業開発支援を行う。大企業やベンチャーの顧問・アドバイザー・取締役も務める。著書に『医療4.0』『医療4.0実践編』(いずれも日経BP)、編著に『医療×起業』『デジタルヘルストレンド』(いずれもメディカ出版)など多数。