京都市内の小学校で去年、当時4年生だった男子児童が同級生から暴力を受け、難聴となり、不登校の末、転校を余儀なくされていた事例が明らかになりました。

学校側は当初、事態を「いじめの重大事態」と認定せず、対応が遅れた問題も浮き彫りになっています。

■「はさみを投げつけられ、首を絞められた」児童の証言

【当時4年生だった男子児童】「学校に行っても殴られる日々やし、はさみを勝手にとって俺に投げつけてきたりとか」

こう語ったのは、京都市内の小学校でいじめを受けたと訴える男子児童。

男子児童と母親によると、い去年9月頃、男子児童が担任教師の指示で他の児童に勉強を教えるなどしたところ、複数の同級生から因縁をつけられ、殴られたり、暴言を吐かれたりるようになったといいます。

特に深刻だったのは去年11月の出来事です。

【当時4年生だった男子児童】「廊下を歩いていた時に、後ろから首を絞められて、右耳付近を3発殴られました。先生に言っても意味がないし、見てみぬふりするし。先生には言っていませんでした」

この暴行がきっかけで、男子児童は耳鳴りの症状が続き、3週間後に病院で「外傷性の感音難聴」と診断されました。

■「今さら言ってごめんなさい」子どもが母に発したSOS

【男子児童の母親】「(息子が)『お母さんずっと言おうか迷っててどうしようって言えなかったけど、あの時からずっと耳が一緒の状態で怖くなって、いまさら言ってごめんなさい、病院連れて行ってほしい』といわれた」

【男子児童の母親】「(早期治療が必要という)知識がなかったので連れていってあげることできなかったので。もう手遅れになってから病院に連れて行ったので。もう治らないと先生に言われて…」

男子児童はその後、適応障害も発症し、12月から不登校状態に陥りました。


■学校側「証拠がない。他の児童も傷つくだろうし証明できない」

ガイドラインでは、いじめにより生命や心身に重大な被害が生じた、または不登校の原因としていじめが疑われると児童や保護者から申立があった時は、「重大事態」が発生したものとして報告・調査等に当たるよう定めています。

男子児童の母親はすぐに学校や教育委員会に「いじめを受けている」と訴えましたが、同級生が暴行を否定したため、学校側はいじめの「重大事態」と認定しませんでした。

【男子児童の母親】「(学校側には)証拠がないだろうと言われました。他の児童も傷つくだろうから、『そういうことは言いたくない』と言われて。証明できない可能性も高いから、いじめではないと」

しかし、今年3月になって、同級生が首を絞めたことを認めたことなどから、ようやく「重大事態」と認定されました。

なぜもっと早く認定できなかったのか、教育委員会は「全く動いてなければ問題かもしれないが、まだ”いじめの疑い”がある段階で、いじめによる欠席かをまさに調べていたところだった」と説明しています。

■児童は転校、「もっと寄り添った対応を」と訴え

男子児童は学校での状況が改善されないことなどから、今年4月に転校を余儀なくされました。現在も学校の対応に疑問を抱いています。

【当時4年生だった男子児童】「傷ついた事とか知ってほしいと思います。自分に寄り添ってくれて、転校という選択肢にたどりつかないような対応をしてほしかったです」

教育委員会は今後、第三者委員会を設置して「できるだけ早く調査したい」としています。


■弁護士「長期欠席という早期に解決すべき問題がありながら対策を怠った」

元検事の亀井正貴弁護士は「児童が対象となるいじめの調査は難しい」としながらも、「長期欠席という早期に解決すべき問題がありながら対策を怠った」と批判します。

【亀井正貴弁護士】「児童相手のヒアリングは大変難しくて、加害者児童側を調査してまた何か起こるかもしれないのだけども、『長期欠席』という状況は早期に解消しないといけない問題。こういったケースでは被害児童、申告する側に寄り添ったうえでの深刻な調査を迅速にすべき」

11月に難聴と診断されて、12月に不登校と、そこからかなり時間がかかっています。

【亀井正貴弁護士】「その後も認定できていないわけですから、これは(学校・教育委員会側が)怠っていたのではないかと思う」

(関西テレビ「newsランナー」2025年7月4日放送)

関西テレビ
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