3日公示された参議院議員選挙。
争点のひとつでもある「米対策」について政治ジャーナリストの青山和弘さんが解説しました。

青山さんは6月30日に関西テレビ「旬感LIVEとれたてっ!」に出演した小泉進次郎農水相の発言を通して今後の「米対策」に切り込みます。

【青山和弘さん】「小泉農相は5キロで3801円という数字を明らかにし、それが大きなニュースになりましたが、いくらまで値段を下げるのか、どこまで値段が下がったら、今の政策をやめるのかということについては、あんまりはっきり言いいませんでした」

【青木源太キャスター】「いわゆる出口戦略」

【青山和弘さん】「つまり出口がない改革は、ただぶっ壊しているだけになってしまう。スクラップ・アンド・ビルドという言い方があるように、出口があってその先に何を見据えているかということが分からないと、改革にならないんです。

ただこの段階では、まだ言えないということなのかもしれないのですが、小泉さんも当然考えていなくてはいけないし、それがそろそろ問われる段階にきてるなということだと思います」

【青木源太キャスター】「小泉農水相は「米の増産」と発言しました。石破首相も口にしています」

【青山和弘さん】「やはり米を作りたい人に作ってもらえるようにすると言っていましたので、今までみたいな調整をしていくということから、舵を切っていくことは間違いないです」

■各党の公約「米対策」

米政策は参議院選挙の争点のひとつにもなっています。

【自民】
・コメ事前契約推進、官民で備蓄
・将来も安定経営できる水田政策に

【立憲】
・コメ流通の透明化、備蓄見直し
・農家への直接「食農支払」創設

【公明】
・コメ取引監視強化と生産性向上
・農家の収益力強化し所得向上

【維新】
・時限的に輸入米の関税大幅値下げ
・拡大生産に転換、稼げる農業に

【共産】
・減反から増産に転換、備蓄米を倍増
・農家への価格保証、所得補償を充実

【国民】
・主食用米を増産
・農家に「食料安保礎払い」

【れいわ】
・主食米だけでなく飼料米も増産支援
・生産者に所得補償、MA米廃止

【参政】
・備蓄米1年分を市町村で確保
・コメ増産、食料自給率50年に100%

【社民】
・農家活性化で価格安定
・所得補償、自給率50%即時達成

【保守】
・農業人口の増大と増産
・農林水産行政の抜本的見直し

【青木源太キャスター】「米の取り引きや流通を改善させようという党もあれば、米の輸入や減反政策の見直しに触れている党もあります」

【関西テレビ 神崎博報道デスク】「今のお米の値段については、かなり落ちてきているので、この秋以降、新米以降でどうなるかどうかというところに各党照準を合わせています。米だけじゃなくて、農業政策全体を見直そうと言っている党もあって、中にはお米がだいぶ安くなってしまって、農家の収入が減ったら、その農家の所得の保障していこうという党があったりとか、あとは今回話題になりましたけど、輸入するお米、今これに高い関税がかかっていますが、それを一時的にもグッと関税を下げて、輸入米が入ってきやすいようにしようとか、各党野党は様々な農業政策を訴えてます」

【青木源太キャスター】「私も街の人にマイクを向けさせていただいたのですが、米を安く買いたいという気持ちは皆さんあるんですけれども、同時に農家の皆さんも、しっかり利益を乗せて、しっかりと儲かって、長く続く形にしてほしいという声が多かったです」

■「零細米農家」は切り捨て? 各党の温度差を嗅ぎ取って判断をと青山氏

スタジオでは米の価格について「自由経済に任せて、競争原理を効かせてというよりは、ある程度統制したほうがいいのでは?」という話題になりました。

【青山和弘さん】「実は今回の参議院選挙でも結構、与野党で違いのあるところなんです。つまり、零細兼業農家も守るのかどうか。小泉さんも『とれたてっ!』に出演した時に言及していましたが、『集約できる、まとめられるところはまとめていきたい。行かなきゃいけない』と言っていました。

小泉さん『何が一番大事ですか?』と問うと、『とにかく将来もお米を作り続ける人がいっぱいいるようにする』、と。

これは裏を返せば、企業なども参入させていくということなんです」

【青木源太キャスター】「新規参入、新規就農者を促す政策?」

【青山和弘さん】「それでお米をどんどん作れば値段が下がっていく。そこで値段が下がると、どうしても作り続けられない人が出る。『これは一定程度仕方ない』という雰囲気のことを、小泉さんは言っているんです。はっきりとは言いませんけど。

ところが野党の中では、『零細も守りますよ、そこにも支援しますよ』というところがある。米政策は大きな対立軸にはならないのですが、この辺の温度差を嗅ぎとって、ぜひ有権者の皆さんにも判断してもらえるといいかなと思います」

■自民党内でも温度差 参院選の後の小泉農水相の行動に注目

【青木源太キャスター】「農家を守りたいという気持ちはもちろんあるにせよ、その守り方、何が適切なのかというのも、よく分からないですよね」

【フリーアナウンサー 豊崎由里絵さん】「本当そうですね。作りたい人に作ってもらうという政策、作りたい人の解像度ですよね。今やってらっしゃる方々の中には、『もう限界、これ以上は』という高齢の方もいらっしゃるわけで、そこにもっと頑張ってもらうという話なのか、それとも私の周りにも『スタートアップで農業やってみた。でもやっぱり農業は儲からない』と撤退したという人もいて、そういう若い人たち、『大規模にやりたいんです。こんなことしたいんです。どうでしょ』という人達を応援していくという話なのかによって、全然変わってくる。

でも今のタイミングで票数というのを考えると、今やっている農家さんたちが、できるだけ長くという方に行ってしまうのかなと思ったり。そこのバランスをどう取って行くと思って、投票したらいいのかなっていうのは難しい」

【青山和弘さん】「自民党内でも温度差があるわけです。農水族の議員は、とにかく『みんな守りたい』となるし、JAもそういう立場ですよね。ただ、将来のことを考えたり、増産して輸出もするとなると、あんまりお米の値段が高いと、輸出の競争力がなくなるので、ある程度値段を下げないといけない。それこそ大規模な企業などが参入することも許さないといけない。この辺は自民党内でも違うし、与野党間でも違う。この辺りをどう小泉さんが整理していけるのか、どうなのかというのも、参議院選挙後問われていくことになると思いますね」

【青木源太キャスター】「選挙後のその行動が一番大事ですね」

(関西テレビ「旬感LIVEとれたてっ!」2025年7月4日放送)

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