ろうを花びらのように絞って作られる韓国発祥のかわいらしいキャンドルが並ぶ店が秋田・北秋田市にある。そして、まるでキャンドルのような華やかな“和菓子”も販売されているのがこの店の売りだ。その和菓子は「おはぎ」。あんこを絞って作った花が飾られたおはぎをあなたも食べてみてはいかが。
韓国仕込みの手作りキャンドルの店
北秋田市花園町に2024年8月にオープンした「花咲菓家(はなさかや)」。店内をのぞいてみると色鮮やかな花や動物が並んでいる。

これらは手作りのキャンドルで、火を灯して楽しむだけでなく、そのかわいらしい見た目からオブジェとして購入する人も多いという。
店を営むのは小谷いるひさん(45)。小谷さんは韓国・釜山の出身で、結婚を機に日本に移住。2017年に夫の転勤先である北秋田市にやってきた。

「秋田の方が住みやすく、海の幸も山の幸もおいしくて、すごくいいところなので魅力的」と話す小谷さんだが、冬の雪には手を焼いているようだ。

そんな小谷さんが作るキャンドルは、ろうを花びらのように絞る技法を使う。小谷さんのふるさと・韓国は、こうしたキャンドルの発祥といわれている。
小谷さんも韓国でキャンドル作りの資格を取得し、以前住んでいた長野や北秋田市に来てからもキャンドルを販売したりワークショップを開いたりしてきた。
花形のあんこ飾り華やかなおはぎに
花咲菓家は手作りキャンドルの専門店というわけではない。キャンドルのほかに小谷さんが手作りしているのは、なんと「おはぎ」だ。

「あんこでも花を絞ってみたくなった」という小谷さん。「練習してみたらかわいい花ができたので、それを教室に来た生徒に出したら『すごくおいしい』『珍しい』と言われ、販売してほしいという声をたくさんもらったので、販売してみたいと思った」とおはぎ作りを始めたきっかけを語る。

キャンドルのろうを絞る手法を生かし、食用の色素で色を付けた白あんを花の形に仕上げていく。その花々をカップに入ったおはぎに飾り付ければ、まるで花畑のような華やかなおはぎの完成だ。

材料にもこだわり、おはぎには県産のあきたこまちともち米を使用している。また、白あんには国産のインゲン豆を多めに使い、甘さを控えめにしている。
小谷いるひさん:
洋菓子も和菓子も好きだが、白い砂糖を食べるとすごく肌が荒れる体質で、前から自分で砂糖の代替品を入れて甘さ控えめのものを作って食べていた。自分と同じような人たちにも安心して食べてもらえる材料で作ったおはぎを提供したい気持ちもあった。
祝い事におはぎオーダー 冷凍販売も
趣味で作り続けていたお菓子をいざ販売するとなると不安も大きかったと話す小谷さんだが、意外な発見もあったという。
お供えの時しか使わないイメージだったおはぎを、和菓子が好きな人の誕生日ケーキの代わりにするなど、祝い事でオーダーをもらうことが多くなったのだ。

店から離れた場所に住む人にも楽しんでもらいたいと「冷凍おはぎ」の販売も始めた。口コミやSNSの効果で県外からの注文もあり、特に関東圏が多いという。

小谷さんは「和菓子が好きな人も洋菓子が好きな人も来られる店にしたいので、洋菓子もいろいろレシピを試して開発していきたい」と意気込む。
彩り豊かなキャンドルとおはぎでほっとできる温かい時間を…。多くの人に笑顔を届けようと小谷さんの挑戦はこれからも続く。
(秋田テレビ)