8月にルーマニアで開催される水泳世界ジュニア選手権。この舞台に立つ逸材が東北高校3年生の長岡海涼選手です。思いがけない苦難を乗り越え世界の舞台に挑みます。
バタフライ・背泳ぎ・平泳ぎ・クロール、4泳法を順に泳ぐ、個人メドレー。
この種目で県記録を持ち高校総体200m個人メドレー3連覇を果たしたのが、競泳界期待の新星・東北高校3年長岡海涼選手です。
長岡海涼選手
「1種目だけやるっていうより種目が変わるので楽しくやってます」
水泳のインストラクターをする父と母の影響で3歳から水泳をはじめ、小学生の頃から全国大会に出場するなど、幼少期から頭角を現していました。
現在は東北高校で練習する長岡選手ですが、高校一年生の時の練習拠点は地元の山形に置いていました。
長岡海涼選手
「結構人も少なくて、女子だけのチームでやってて、コーチもちょっと怖かったんですけど、きつい練習して、みんなで頑張ってました」
競泳では、練習拠点をクラブチームに置きながらも学校の部活にも所属し大会に出場することが可能です。
中学から所属していた山形ドルフィンクラブ。全国トップレベルの女子8人だけのクラブチームで高校入学後もこの場所で練習していました。
慣れ親しんだ地元を拠点に成長を続けようと思っていた、その矢先でした。
長岡海涼選手
「高1の春にドルフィンクラブがなくなるとなって、移籍など困りました」
所属クラブが営業不振で閉鎖。通い続けてきた練習拠点が突然失われました。
代わりの練習先として選んだのが東北高校の水泳部。実家のある山形市から、毎朝5時半に起き電車で通学し帰宅するのは10時。最初は慣れない生活に戸惑いがありました。
長岡海涼選手
「これからどうすればいいんだろうって思いました」
水泳部女子監督の吉岡靖泰先生。長岡選手の様子を見て前向きなサポートを続けました。
吉岡靖泰先生
「ずっとやってきたコーチとかクラブっていうところで、精神的にだいぶ不安定なところがあったと思うんですけれども、次の大会とか次の目標ってところをしっかり見据えた形で、前向きに取り組めるようには考えてました」
先生の手厚いサポートで少しずつ環境に適応してきた長岡選手。さらに、気付いたことも。
長岡海涼選手
「山形はあんまり人もいなくて環境もあんまりよくなかったので、人が多くなったことで練習で競う相手が変わるので、自分的にはすごく嬉しかったです。チームの仲間なので一人ずつ声かけるのを意識してます」
女子8人のチームから男女混合の20人越えの部活に。男子とも競いながらさらに実力を伸ばしていきました。
思いがけず東北高校が拠点に変わったからこそ「仲間と戦う楽しさ」を再確認しました。
さらに指導者が変わったからこその成果も。吉岡先生は長岡選手が苦手とする平泳ぎの強化に着手しました。
吉岡靖泰先生
「個人メドレーは前半バタフライ・背泳ぎで3種目目から平泳ぎなんですが、後半の平泳ぎからしっかりした泳ぎとスピード感を持って後半あげられるという感覚がすごく重要な種目だと思っています」
平泳ぎのキックを重点的に練習し泳ぎの姿勢を改善。高総体ではこれまで出場してこなかった200m平泳ぎにも出場し徹底的に強化しました。
すると2年生秋に出場した国スポでは、400m個人メドレーで自己ベストを更新!見事優勝を果たしました。
次なる舞台は8月にルーマニアで行なわれる世界ジュニア選手権。さらなる高みを目指します。
長岡海涼選手
「世界ジュニアで決勝に残ってベストを出して表彰台登ることです。みんなから応援される選手になりたい」