今から80年前、福山市でも市街地が爆撃される福山空襲がありました。
戦禍を体験した男性が中学生に当時の悲惨な状況を語りました。
1日、福山市の中学校で証言をしたのは当時、福山市の中心部で空襲を体験した近藤茂久さん(91)です。
1年生およそ130人を前に80年前の戦禍を振り返りました。
福山空襲があったのは広島に原爆が投下された2日後の1945年8月8日午後10時25分。
91機の爆撃機がおよそ1時間にわたり556トンの焼夷弾を投下。
市街地のおよそ8割が焼け野原となりました。
犠牲者は、子どもを含む355人、864人が重軽傷を負いました。
当時11歳だった近藤さんは自宅付近が爆撃された状況を思い出しながら中学生に語りかけました。
【福山空襲を体験した近藤茂久さん(91)】
「その当時は木造の家がほとんどですから、またたく間に火の海になる。消すことができないんですから」
両親や妹と一緒に防空壕から近くの小川に避難した近藤さんは福山城の天守閣が焼け落ちる様子を目撃しました。
【福山空襲を体験した近藤茂久さん(91)】
「あの福山城が落城したときに、川にたくさん入っておられた方が一様に何とも言えない声で、『おおお』というような声で、たくさんの人ですからそういう声が聞こえました。福山市のシンボルですから」
生徒たちは真剣な表情で貴重な体験談に耳を傾け、平和への思いを新たにしていました。
【福山空襲を体験した近藤茂久さん(91)】
「その手で平和をつかんでください。お願いしますよ」
【講演を聞いた生徒】
「経験した人だからこその恐ろしさやそのときに感じたことが知れて良かったです」「普段の生活でみんなで仲良くしていったり、ニュースとかを見たりして、こんなことが起こっているんだなみたいなことを知って考えていきたいです」
近藤さんは空襲のあった来月8日にも福山空襲の体験を語ることになっています。
<スタジオ>
戦争の恐ろしさ、平和の尊さを改めて伝えていきたいですね。
【コメンテーター:広島大学大学院・匹田篤准教授】
「貴重な経験だと思います。やはり語り継ぐということは大切だと思います。自分がその壇上で喋るというのも大切ですが、みんなで対話していく。議論し続けるということをぜひ続けていただきたいと思います」