1日正午前、東京・池袋の高層ビル「サンシャイン60(ろくじゅう)」の31階にある法律事務所で、従業員の男性が刃物で刺され死亡した事件について、元埼玉県警捜査1課の佐々木成三さんと見ていきます。
事件について改めて詳しく見ていきます。今回、殺人未遂の疑いで緊急逮捕されたのが50歳くらいの男です。
この男が法律事務所で刃物を振り回して、30代の従業員の男性の喉を複数回刺したということです。この男性は亡くなりました。
最新の情報では被害者と人間関係のトラブルがあったとの趣旨の供述を男はしているということです。
そして、捜査関係者によりますと2人は同僚関係にあり、逮捕された男は通常どおり出勤したあと、犯行に及んだとみられるということです。
青井実キャスター:
佐々木さん、人間関係のトラブルという話がありましたが動機につながる供述となるんでしょうか。
元埼玉県警捜査1課・佐々木成三さん:
容疑者からの供述なので重要な証言にはなると思います。ただ、こういった証言は容疑者だけではなく同僚、あとは2人を知る人物からの供述、情報提供もこちらの捜査には必要になってくると思います。
宮司愛海キャスター:
それから逮捕直後ですが「刺したことは覚えていないが気が付いたら刺していた」と話していたわけですが、この点に関して佐々木さんはどう捉えますか?
元埼玉県警捜査1課・佐々木成三さん:
この事件のポイントは、この刃物がどこにあったものなのかということです。これは容疑者が用意したものなのか、事務所にあったものなのか、または、違う場所から持ってきたものなのか。
こういった状況からも、計画的なのか突発的なのかが明らかにはなるということだと思います。
青井実キャスター:
殺意という面ではのどを複数回刺しているわけじゃないですか。この辺りはどう見ますか?
元埼玉県警捜査1課・佐々木成三さん:
これは現場の状況から喉という部分と、複数回刺している。あとはもちろん刃物の刃体の長さ。こういったものから殺意があるかどうかを明らかにしなければいけないですが、実際に被害者の方が亡くなっているので殺意は明確にあると感じますね。
宮司愛海キャスター:
改めて犯行経緯を振り返ります。
男はサンシャイン60の31階にあるアディーレ法律事務所で、男性を刺したあと徒歩で10分ほどの距離、約450メートルほどの場所にある池袋東口交番に出頭して、殺人未遂の疑いで緊急逮捕されたということで、その際、男は犯行に使ったとみられる包丁を所持していたということです。
青井実キャスター:
この辺り、佐々木さんちょっと分からないのは10分ほど歩く場所までわざわざ行って出頭したということですが。
元埼玉県警捜査1課・佐々木成三さん:
法律事務所に勤務する容疑者ですので、法律は熟知していると思うんですね。ましてや、こういった大胆に他の方、目撃者がいるかもしれない状況下で犯行を行っていますので、犯行したあとは出頭することが本人にとってはメリットがあるんじゃないかということで、出頭することを選んだんじゃないかと思いますが、喉を刺しているということに関しては、かなり返り血を浴びていると思うんです。その中で、今のところ連行されている服装には血痕が付いていないと。脱いだ可能性もあるのではないかと感じますね。
青井実キャスター:
その辺りどうだったかも捜査が進むわけですが、緊急逮捕というのはどういうことでしょうか。
元埼玉県警捜査1課・佐々木成三さん:
これは令状主義の例外ということで、逮捕状を請求するいとまがない時と犯行を行った十分な証拠があるということですね。今回、出頭している際に刃物を持って交番に出頭していますので、もしかするとその刃物には血痕が付着している、そういった容疑者の供述以外に、犯罪の証跡が十分にあったということだと思います。
宮司愛海キャスター:
そして今回、事件があったアディーレ法律事務所ですが事務所のホームページによりますと、北海道から沖縄まで全国に65以上の事務所があって230人以上もの弁護士の方々が所属しているということ。大規模なんですね。
青井実キャスター:
佐々木さん、弁護士事務所でこういった事件が起きるってなかなか聞かないと思うんですが。
元埼玉県警捜査1課・佐々木成三さん:
ましてや法を知っている方々が多い中での犯罪を選ぶことが私も、殺人事件が法律事務所で起きたというのは聞いたことはないですね。
青井実キャスター:
今後の捜査のポイント、どのように進められていくでしょうか。
元埼玉県警捜査1課・佐々木成三さん:
やはり2人の関係性だと思いますね。何が引き金になったのか。喉を刺しているということは殺意が明確にありますので、どのようなトラブルがあったかを捜査で明らかにしないといけないと思います。