大分県別府市で起きたひき逃げ事件は6月29日で発生から3年を迎えた。

この日、大分県警は八田與一容疑者の目撃情報などを集めるため、大分を含む7つの都道府県でチラシを配って情報提供を呼びかけた。

TOSでは今回、事件に巻き込まれた被害者に今の思いを聞いたほか、八田容疑者の足取りが途絶えた海側で、独自に防犯カメラなどの取材を行った。

事件が起きた大分県別府市
事件が起きた大分県別府市
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被害者の男子大学生「3年かかって申し訳ない」「ようやく希望が見えてきた」

今から3年前の2022年6月29日。別府市野口原の交差点でバイクに乗っていた男子大学生2人が車に追突され死傷した。

現場から逃走した八田容疑者は全国に重要指名手配され、6月2日警察は殺人容疑などを追加、事件は新たな局面を迎えている。

6月10日、事件現場を訪れたのは亡くなった大学生と当時一緒にいたもう1人の被害者の男性。

時効の無い殺人事件となったことでようやく希望が見えてきたと話す。

ーー被害者の男子大学生
「やっと前進したなと感じた。 亡くなった彼にもすごく3年かかって申し訳ないという気持ちはあるし、でもこれからも捜査は当たり前に続いて行くのでそこは安心してねというふうに伝えたい」

互いに経営者になることを夢見ていた2人。しかし、1人は八田容疑者にその夢を奪われてしまいました。被害者の大学生は亡くなった友人の分まで強く生きようと前を向いている。

「彼に生かされていると思っているし彼と二人三脚で2人で肩を組みながら自分の人生だが彼の人生でもあると僕は思っているので2人の人生というか最後まで走り切りたいとは思っている」

未解決のまま、事件発生からまもなく3年…八田容疑者はどこへ逃げたのか。

被害者の男子大学生
被害者の男子大学生

事件当日、8か所の防犯カメラが八田與一容疑者の姿をとらえる

事件当日、8か所の防犯カメラにその姿がとらえられていた。

事件発生の約3時間半前、八田容疑者は現場近くの商業施設で買い物をしていた。

事件直前にも同じ商業施設付近で姿が確認されている。そして、事件の直後には住宅街を走る様子が。

約6分後にはJR別府駅の近くを通過。

防犯カメラに映る八田與一容疑者の姿
防犯カメラに映る八田與一容疑者の姿

別府市の北浜エリアで足取りが途絶える

そして、繁華街の防犯カメラにも姿がとらえられていた。足元を見ると、裸足だったことが分かる。

約15分後、国道10号に出てきた八田容疑者は車が行き交う中を横切り、海の方へ。

この先にあるヨットハーバーで着ていたTシャツが発見されたものの、ここで足取りは途絶えた。

TOSでは改めて周辺の防犯カメラなどを独自に調べた。

八田容疑者の足取りが途絶えた別府市の北浜エリアで、私たちは周辺の防犯カメラを1つ1つ確認した。

調べたのは南北にホテルや飲食店などが建ち並ぶおよそ1.3キロメートルの範囲である。

足取りが途絶えた別府市北浜
足取りが途絶えた別府市北浜

TOSは69台の防犯カメラを調査、その結果「よく似た裸足の男」の姿が…

TOSは40か所の建物に設置されたあわせて69台の防犯カメラについて所有者に、八田容疑者が映っていなかったか聞いていった。
その結果…八田容疑者の足取りを掴む決定的な映像は見つからなかった。しかし…。

ーーTOS児玉直輝記者
「こちらはヨットハーバーから歩いて5分ほどの距離あるホテル街です。ここでは周辺の防犯カメラに八田容疑者によく似た裸足の男がヨットハーバーの方に向かって移動する様子が映っていたということです。」


八田容疑者と似た男が映っていたのはヨットハーバーから北に約400メートル離れた場所にある防犯カメラ。事件当日の夜、男が裸足でヨットハーバーの方に向かう姿が映っていた。

警察もこの映像を把握していて八田容疑者の可能性があるという。

これまでの警察の発表では事件当日の午後8時ごろ国道10号を走って渡り、ヨットハーバーの方に向かう映像が八田容疑者の最後の姿だった。

今回確認出来た防犯カメラは別府タワー近くの建物に設置されている。

このことから八田容疑者は、国道を渡ったあとすぐにヨットハーバーに向かい服を脱ぎ捨てたのではなく、国道を渡ったあと北浜エリアをうろついた可能性がある。

捜査関係者は「八田はどこに逃げようか迷っていた可能性がある」と話している。

捜査関係者「八田はどこに逃げようか迷っていた可能性がある」
捜査関係者「八田はどこに逃げようか迷っていた可能性がある」

足取り途絶えたその先には別府湾 警察は海の捜索も

TOSの取材の結果、北浜エリア周辺にある69台の防犯カメラに八田容疑者に似た男が映っていたのは1台だけだった。

足取りが途絶えたヨットハーバーの先には別府湾が広がっている。

警察は事件後に海の捜索も行っているが、有力な手掛かりは見つかっていない。

別府湾
別府湾

遺族「私たちの生活から八田を捜す時間をなくしたい」

県警には6月26日までに事件に関する情報提供が1万件以上寄せられている。このうち、八田容疑者に似た人物を見たという目撃情報は9469件。内訳は関東から寄せられたものが約3割を占めている。

また、20件ほどと数は少ないですが海外からの情報もあったという。

遺族は事件の1日も早い解決を望んでいる。

亡くなった男子大学生の母親は「あっという間に3年が過ぎようとしていて、いまだに信じられない。私たちの生活から八田を捜す時間をなくしたい」とコメントしている。

八田與一容疑者の似顔絵(大分県警提供)
八田與一容疑者の似顔絵(大分県警提供)
テレビ大分
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