菅内閣の目玉政策として挙げられるデジタル化推進。デジタル庁の創設を見据え、政府は具体的にどのような政策を進めるのか。デジタル化した社会において我々はどのような幸福・メリットを享受できるのか。予想される軋轢をどう乗り越え、どのようなデジタル庁を目指していくのか。
今回の放送では、平井卓也デジタル相を迎え、デジタル庁創設への道筋と課題について、またマイナンバー普及についても掘り下げて伺った。

デジタル化は目的ではなく、共助の社会のための手段

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長野美郷キャスター:
デジタル改革関係閣僚会議の初会合が開かれ、菅総理はデジタル庁創設への強い意欲を示しました。これによりどんな社会を作り、我々にはどのようなメリットがあるのでしょうか。

平井卓也 デジタル相:
今回のコロナで、密を避けるため人の接触頻度を下げ、会社や行政機関に行かなくてよい、人が動かなくてよい状況が必要となった。本来はもっとデジタル技術でカバーできたはず。しかし肝心なときに役に立たなかった。それで私は「デジタル敗戦」と言っている。この反省に基づき進める。
今回のような出来事は、過去を振り返ってもSARS(重症急性呼吸器症候群)、MERS(中東呼吸器症候群)、今回のコロナウイルス(COVID-19)と20年間に3回起きている。今後10年、20年の間にも可能性がある。日本の高齢化もどんどん進んでおり、感染症などに対して耐性のある強い社会を作らなければ。わざわざ人が動いてサービスを受けるという状況を一段進歩させたい。

反町理キャスター:
デジタル社会で幸せを享受するには、機器などの操作にも習熟しなければいけない?

平井卓也 デジタル相:
ある程度使えた方がいいが、使えない人もデジタルを意識せずに恩恵を受けられるようにしなければならない。
日本は、IT基本法を作ったときからデジタル・ディバイドを大きな問題としている。”誰も置いていかずに”と進めたために他国に比べてデジタル化へのシフトが遅れたというところはある。そこで、そばに機器を使える人がいれば使えない人の目的を果たせるようにする。デジタル活用支援も総務省で用意している。自助・共助・公助のうち共助の部分を支援する政策を我々はやりたい。社会全体がもっと人間に優しくなり、高齢化などの問題をカバーしていくようなデジタル化をしたい。デジタル化は手段であって目的ではない。

デジタル庁は総理直轄が望ましい

反町理キャスター:
デジタル庁の立ち位置について。昔の防衛庁のようにある程度独立したものか、文科省の外郭にくっつく文化庁やスポーツ庁のようなのか。あるいは復興庁のように総理直轄か。

平井卓也 デジタル相:
設置法を作るにあたり、様々な議論をしている。予算の要求段階から集約するのは一つの権能となるが、それだけでは変わらない。システムに対して強く干渉することを法律にどのような言葉で示すか。デジタル化の基本的な思想は譲れないから、そこに逆らえない権能を。すると総理の直轄が一番いいと思う

反町理キャスター:
3年や5年で解消するなど年限を切った役所にするという話が一部で出ていた。一方、日本のデジタル化に一定のメドがつくまでに5年かかるという平井大臣の発言があった。

平井卓也 デジタル相:
この成長戦略の柱であるミッションが簡単に終わるとは私には思えない。現在動いているシステムを止められない中で新しいものにするには、スケジュールをうまく管理しなければ。全部取っ払い新しいものにできるような簡単な仕事ではない。その意味で大きな方向性が5年で見えると。
法律や制度が変わるたびに莫大な改修費などがかかる日本のシステムは効率が悪い。それをクラウド化にするなど、連携基盤を整備することによってコストを下げたい。

従来の霞ヶ関文化や働き方とは違うデジタル庁を作る

反町理キャスター:
各省庁におけるデジタル・IT関係の公文書管理もある。それら担当部局を徐々に縮小・統合することでデジタル庁に寄せられていく形?

平井卓也 デジタル相:
そのようにデジタル庁という巨大官庁を作ってしまっては霞が関と同じくなり、ダメ。コンパクトで、ルーティーンの仕事を抱えることのない、司令塔機能をきっちり果たすものにしたい。今までの霞が関の文化とは違う役所にしなければ。

反町理キャスター:
役所自体はどこに作るんですか。

平井卓也 デジタル相:
今の準備室は虎ノ門。しかし極端な話、人のネットワークさえあればデジタル庁はバーチャルの存在でもできる。エンジニアは、たぶん在宅勤務前提のほうが良い方が集まる。全国にいるいろんなエンジニアの皆さんも、わざわざ東京に来なければデジタル庁に参加できないというのは面白くない。どうせやるなら新しい日本の形につながるような、日本全国どこでも参加できるようにしたいと思うんです。

マイナンバーカード自体は「鍵」

長野美郷キャスター:
マイナンバーカードの普及状況は、9月2日現在で19.4パーセントです。

平井卓也 デジタル相:
最新の数字では20パーセントを超えた。私としては感慨深いものがある。自治体によってばらつきもあるが。

長野美郷キャスター:
個人情報を国に管理されることへの根強い不信感も国民の中にあるが、払拭に向けてのお考えは。

平井卓也 デジタル相:
マイナンバーカードとは、デジタル社会の中で最高位につける身分証明書。中に入っているものはデータではなく「鍵」。各データはそれぞれの役所で機関が保管していて、必要なときにその「鍵」で呼び出して情報が取れるようになっているだけ。実はマイナンバーカードに入っている情報は基本的に顔写真と住所・氏名・生年月日・性別の4情報、そして「鍵」だけ。銀行、年金、健康保険証の情報などは入っていない。紛失しても比較的安全だと考えている。

反町理キャスター:
マイナンバーカードを落としたら、もう全ての個人情報が漏洩して終わりじゃないかと文句を言う人もいます。そうではないと。

平井卓也 デジタル相:
まったくそうではない。24時間再発行の手続きができるし、他人が使おうとするとチップが物理的に壊れるように設計してある。他のものに比べて非常に安全性が高い。

銀行口座、健康保険証などと紐付けでさらなる利便性を

平井卓也 デジタル相

反町理キャスター:
マイナンバーと銀行口座との紐付けに関しては。

平井卓也 デジタル相:
先日、特別定額給付金の10万円お配りする際非常に困った。個人の銀行口座をきっちり突合する作業は大変で、マイナンバーが繋ぐことができればものすごく楽。次の国会に出る議員立法は、国から給付がある場合の振込口座をマイナンバーカードと紐付けて置いておくというもの。

反町理キャスター:
登録しておくことによるメリットは、早くもらえること?

平井卓也 デジタル相:
書類についても、毎回書かずに「前回通りで」ということができます。

長野美郷キャスター(左)、反町理キャスター(中)、平井卓也 デジタル相

反町理キャスター:
そのほか、健康保険証や運転免許証のデジタル化、一体化もある。

平井卓也 デジタル相:
健康保険証はいろんなところが発行しているが、マイナンバーカードさえ持っていれば医療機関で「鍵」がデータベースにアクセスして、その方の保険証が有効かどうかを知らせてくる。だから健康保険証になる。健康保険証は本人にしか使えないということが厳格化される。運転免許証についても、免許証自体がなくなるわけではなく、「運転免許証が有効であるという情報」をマイナンバーカードが呼び出すことができるというもの。そのほか、今後たとえば国家資格や免許があることの証明を紐づけることもできる。

反町理キャスター:
今後の国会審議に向けて。

平井卓也 デジタル相:
有効に活用してくれるのであれば個人情報を提供したいという人はたくさんいる。事前同意の問題やどんなサービスをしていくのかということは、これから国民の皆さんの理解を得ながら進める話。
また、基礎自治体をまたいだ個人情報保護法や条例の問題、また災害や感染症といった緊急時の対応について。来年の通常国会の大きなテーマとなる。

BSフジLIVE「プライムニュース」9月24日放送