「20代の若者の4人に1人」が既に終活を始めているという調査結果が明らかに。

近年話題となっている「終活」について、秦アナウンサーが最前線を調査しました。

入棺体験をする秦アナウンサー
入棺体験をする秦アナウンサー
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■変わりゆく「終活」の形

50歳〜79歳を対象にした「終活にかける費用」の調査によると、44パーセントの人がすでに終活を始めており、実際にかかった平均額はおよそ503万円。4年前と比べて180万円以上も増加しています。

街で聞いてみると、60代後半の方々からは「遺言を公証人役場で作成しました。弁護士さんに20万円ほど払いました」という声や、「旅行は歩けるうちにと思って、月に1、2回、10万から20万円ほどかけて行っています」という声も聞かれました。

終活にかける費用
終活にかける費用

■葬儀の形も大きく変化

葬儀の形も大きく変化しています。

葬儀会社に話を聞くと、「最近は家族葬が大変多いので、コンパクトな作りとなっています。若い世代を中心に宗教感の薄まりとともに、お通夜を省いた一日葬や、無宗教葬という宗教者をお招きしない葬儀も大変増えています」と説明します。

この葬儀会社では、葬儀の最安値プランは33万円から。これには通夜・葬儀・初七日までが含まれています。さらに細かなオプションも充実しており、例えば霊柩車をセンチュリーリムジンに変更すると差額3万8500円がかかります。

その理由について、「核家族化が進み、子どもたちが離れて暮らしているため、親の交友関係まで把握できていないからでは」ということです。

家族葬ではさまざまなニーズに応じたプランも
家族葬ではさまざまなニーズに応じたプランも

■若者たちの「デス活」の現場

さらに調査を進めると、ある世代に驚きの変化が見られました。

葬儀社のアンケートで、20代で終活の準備をしているという回答が高い傾向にあり、その割合は「約4人に1人」もいるのだそうです。

実態を探るため、秦アナは「終活スナック」へ。

「終活スナック」という看板に、秦アナは「初めて聞く名前。そしてかなり入りづらい名前です」と戸惑いながらも入店。中ではドクロが出迎えます。

スタッフのYOMIさんによると、ここは「若い世代の方たちが、お酒を飲みながら他のお客さんとデス活をする場所」とのこと。

「死についてフラットに語り合える場所」として、葬儀業界に携わるオーナーが去年オープンしたそうです。

店内にいた27歳の客に話を聞くと、「もともと介護の仕事をしていて、お看取りの現場に携わったことで本格的に死について考えるようになりました。活動している仲間たちに出会えたことで、ちゃんと生きなきゃという思いが強まり、今頑張って生きています」と話します。

終活スナックめめんともり
終活スナックめめんともり

■終活スナックでは入棺体験も

終活スナックでは、オーダーメイドの棺桶や死装束などを販売。棺桶作家のミケラさんが製作した「おしゃれな棺桶」は35万円から。さらに、1100円で入棺体験もできるとのことで、秦アナが体験することに。

「すごく複雑な気持ちになるな」と緊張しながら棺桶に横たわる秦アナ。

スタッフは「ゆっくりお休みください。またお会いできるのを楽しみにしております」と葬儀さながらの言葉をかけます。

さらに「蓋も閉めますね」と言われ、「待って」と秦アナが動揺する場面も。

「上から撮るとすごく映えるので」というスタッフの言葉に「この状況で映えるという言葉はやめてください」と必死に訴える秦アナ。

3分間の入棺体験を終えると「なんか妙に気持ちが落ち着いてます」と感想を述べました。

秦アナ
秦アナ

■「終活って大好きなオムライスと一緒。『美味しかったな』って噛み締めて…」

店内で若者たちと「デス活」について語り合う中で、ある客はこう語りました。

【客】「私もめっちゃ生きたいんですよ。でも終活って大好きなオムライスと一緒だなと思っていて。『あー美味しかったな』って噛み締めながら最後の一口を食べ終えるようなもの。最後の残された時間をどう楽しむかを考える前向きな作業だと思うんです」

その言葉に秦アナも「なるほど、終活っていいですね」と納得の表情。

「デス活」をの魅力を語る
「デス活」をの魅力を語る

■令和時代の新サービス「対話できる遺影」

終活の多様化はさらに進み、令和の時代を象徴する「遺影」のサービスも登場しています。それは、生前の映像や音声をAIに学習させ、死後も対話ができるというもの。

AI故人サービスを開発した株式会社ニュウジア代表の柏口之宏さんは「臨機応変に対話を楽しめるタイプのデジタルヒューマンです」と説明します。

ネット環境があればいつでもスマホやパソコンから対話が可能で、料金は年間預かり料とアップデート料を含めて30万円。さらに通話料が1分10円かかるそうです。

このサービスを利用して父親の遺影を作成した坂井さんは「父は孫たちを可愛がっていて、自分が忘れ去られるのが寂しいと言っていました。まだ小さい子どもたちの記憶から薄れていくのを防ぐため、写真や動画よりも記憶に残り続けてくれると思って」と理由を語ります。

「死んだ人に対する冒涜だという批判も理解できますが、家族にしかわからないものがあります。周りの目を気にして、やりたいことをやらないのはおかしいと思います」と坂井さんは付け加えました。

時代とともに多様化する「死」の受け止め方。あなたはどう考えますか?

(関西テレビ「newsランナー」 2025年6月20日放送)

対話できる遺影
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関西テレビ
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