コメの価格が高止まりする中、富山県内では5キロ2000円ほどの「備蓄米」が即完売となるなど、県民の食卓に変化が現れている。品質を重視する人、価格で妥協する人、そして知り合いの農家から直接購入する人など、その対応はさまざまだ。

「備蓄米」即完売、次回入荷は未定

富山市のファボーレ内にあるアル・プラザ富山では、17日に5キロ税込み2139円の備蓄米の販売が始まったが、即完売となった。次の入荷時期は現時点で未定となっている。19日の店頭には県産のコシヒカリやてんこもりなどが並び、5キロ4000円台で販売されていた。
農林水産省によると、今月2日から8日に全国のスーパーで販売されたコメの5キロあたりの平均価格は4176円と、3週連続で値下がりしているものの、依然として去年の約2倍の価格が続いている。
県民は何を重視してコメを選ぶのか

買い物客の多くは、価格が高くても味や品質を重視する傾向がみられる。ある買い物客は「コシヒカリと玄米を買った。美味しさと値段ですかね。健康のために玄米と混ぜている」と話す。また別の買い物客は「品質は小さい子がいるので気にしている。(コメが高いので)麺や朝ご飯をパンに変えたりしている」と対応策を語った。
「やっぱりコシヒカリを買う。美味しいから」という声もあり、銘柄米に対する根強い支持も感じられる。

価格高騰への創意工夫、知り合いの農家から直接購入も
一方で、価格高騰に対応するため、知り合いの農家から直接購入している県民も少なくない。「最近高くなってから知り合いに頼んで買っている」「まとめて近所の農家から買っている」という声も聞かれた。

また、雑穀米をコメに混ぜて食べる県民も増えているという。アル・プラザ富山の平隆博食品店長は「雑穀米をお米に混ぜて食べていただく方が増えたかなと思う。お米の価格が高くなっているので、その分の補填のためや健康のためといった部分で人気がある」と話す。
備蓄米の流通拡大に期待
アル・プラザ富山の担当者は、備蓄米の流通が進み、銘柄米の価格が落ち着くことに期待を寄せている。平食品店長は「備蓄米がそこまで出回っていないこともあり、いつも通りお米を買う方がいる」と現状を説明する。
富山県はコメの主要産地として知られるが、全国的なコメ価格の高騰は県民の食生活にも変化をもたらしている。備蓄米の販売拡大や価格の落ち着きが期待される一方、県民は品質と価格のバランスを考えながら、それぞれの方法でこの状況に対応している。こうした状況が当面続きそうだ。