カナダで16日(日本時間17日)、G7に合わせた日米首脳会談が行われ、関税交渉の継続は確認したものの合意には至らなかった。自動車関税の引き下げも参院選後へ先送りする見方も出ている。

日米関税交渉「合意は想定より遠い…」

G7が開催されているカナダで、日米首脳会談が行われた。関税交渉の行方はどうなったのか、そしてG7を切り上げ帰国するトランプ大統領の思惑はどうなっているのか。

ここからは、カナダで取材中の首相官邸キャップの瀬島隆太郎記者、ワシントン支局の中西孝介記者が解説する。

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青井実キャスター:
日米首脳会談では関税交渉の継続を確認したものの、合意には至らなかったということですが日本の手応えはどのように感じますか?

首相官邸キャップ・瀬島隆太郎記者:
会談前から「高い確率で交渉継続になる」との見方があがっていたので、結果は「想定の範囲内」との見方が大勢です。ただ、合意が想定より遠いことが浮き彫りとなり、官邸幹部は「アメリカの都合は正直わからない」と漏らしていた他、同行筋も「早期の合意を目指すような雰囲気ではない」としています。一方で、自動車関税の引き下げを念頭に「参院選後に合理的判断をするのもありだ」との見方も出ています。

宮司愛海キャスター:
関税交渉について、アメリカ側の反応はどうでしょうか?

FNNワシントン支局・中西孝介記者:
トランプ大統領は関税交渉について「良かった」と一言だけ触れています。しかし、アメリカ政府は、日米首脳会談について、現時点で何も発表はしていません。これは他の国にも言えまして、アメリカ政府側は二国間会談の言及は、貿易交渉で最終合意したイギリスにほとんど集中していて、成果の強調だけが際立っている形です。

トランプ氏早期帰国でG7結束揺らぐ

宮司キャスター:
トランプ大統領を巡っては、中東情勢に対応するためG7サミットを切り上げて異例の帰国を発表していますが、帰国の詳しい理由は分かっているのでしょうか?

ワシントン支局・中西孝介記者:
様々な情報が飛び交っています。イスラエルによるイランへの大規模攻撃を把握しているとの話も出てます。フランスのマクロン大統領は、トランプ氏がイスラエルとイランの停戦を提案したと明かしましたが、トランプ氏は先程SNSで「間違っている。私がワシントンに戻るのは(イスラエル・イラン)停戦と何の関係もない。もっと大きな問題だ!」と否定しましたが、詳細は説明していません。そのため「アメリカがイランの核施設に直接攻撃を行うのでは?」などの憶測も出ています。

青井キャスター:
日本の反応ですが、トランプ大統領の異例の帰国はどう受け止められているでしょうか?

首相官邸キャップ・瀬島隆太郎記者:
官邸幹部に話をしたところ「自由でトランプ大統領らしい」と苦笑いしていました。また、複数の関係者が「トランプ大統領が来ない可能性もあったので、初日の議論に参加し、個別会談も実現した意味は大きい」との見方を示していました。ただ、混乱があるのも事実で、こうした評価は、欧米の「橋渡し役」を狙う日本独自の立ち位置といえそうです。

青井キャスター:
世界各国の記者も、ビックリしているのでしょうか?

首相官邸キャップ・瀬島隆太郎記者:
まさに、トランプ劇場といったところではないでしょうか。

宮司キャスター:
トランプ大統領不在の中、G7では様々な議題があると思いますが、他の首脳は今後どういったことを話し合うのでしょうか?

ワシントン支局・中西孝介記者:
最終日となる2日目には、ウクライナのゼレンスキー大統領も出席する会合や、G7の招待国など含めた協議も予定されています。トランプ氏がいわば、G7首脳との協調よりも単独行動を優先したことで、主要国の足並みが揃っていません。今後の議論が深まるか不透明と言えそうです。

青井キャスター:
トランプ大統領がいない中で共同声明を出すわけですが、日本はどんな主張をしていくのでしょうか?

首相官邸キャップ・瀬島隆太郎記者:
首脳宣言の採択は、2008年以降初めて見送られる方向となっています。ただ、トランプ大統領の帰国で、亀裂が鮮明なウクライナ情勢では欧米が決裂するシナリオは薄れた、ということも言えそうです。石破首相としては、ウクライナ支援での結束を訴える見通しです。
(「イット!」6月17日放送より)

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