いわゆる「デート商法」で、約390人と3億9千万円にも上る契約を結ばせたとみられる男が、5月、特商法違反の疑いで逮捕された。男らの被害に遭った女性が明かす犯行の手口とは?

使用されたのはマッチングアプリ

「断る勇気があれば、そもそも100万円を支払うことはなかったのでは…」と語るのは、福岡県内在住の20代の女性。女性は、いわゆるデート商法で、金を騙し取られかけたことがあるという。

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女性は3年前、コンサルティング契約の勧誘と告げられずに男からデートを装って誘い出され、市内の事務所で違法な勧誘を受けた。使用されたのはマッチングアプリ。女性は「交友関係を少しでも広められたらいいなと思って使っていたんですけど…」と後悔を滲ませた。

マッチングアプリによるデート商法を巡っては、コンサルティング会社の実質的経営者だった會野英雄容疑者(38歳)が、デート商法のルールを作り、従業員だった男女と共謀して違法な勧誘などを行った特商法違反の疑いで逮捕されている。

警察によると會野容疑者らは、デート商法で2018年以降、約390人と契約。合わせて約3億9千万円を売り上げたとみられている。

取材に応じた女性も、會野容疑者の指示を受けた従業員により勧誘を受けたとみられている。女性は「『直接話さないことには雰囲気とか分からないから、お店で会って話しましょう』と誘いを受けて」とその手口を語った。

「会社としてやっている。詐欺じゃない」

メッセージによるやりとりの中で、2人は福岡市・天神の居酒屋で会うことに。その時の様子を「背が高くて、体ががっちり。スーツ姿で来たが、待ち合わせの時間にかなり遅れて。仕事の商談か何かの理由で…」と女性は語った。

待ち合わせ時間に遅れてきた男性。少し違和感を覚えながらも話は弾み、その後、給料や仕事の話になったという。「コンサルの仕事をやっていると。『赤坂に住めるくらいの給料をもらっている』というのを自慢っぽく言ってきて『貯金ができないと言っても何も変わらないから自分が動くしかない』とは言っていた。『無料で貯金とか相談できるところがあるから給与明細2ヵ月分とボーナスの明細を持って相談に行かない?』と言われて」

男は自身が所属するコンサルティング会社を紹介してきた。女性は詐欺を疑ったが、男は「こっちは会社としてやっているから詐欺じゃない」と大きな声で怒られたという。「怖いというのもあって断り切れなかった」と女性は振り返った。

そして女性は翌日、従業員Aと一緒に市内の会社事務所へ向かう。

事務所では男の付き添いのもと、営業担当と話す別の男によって話は進み「家賃を安くできる」「車を安く買える」「転職をサポートする」などといったコンサルティング契約の内容が示されたという。

提示されたその契約料が、100万円だった。

消費者金融でお金を借りて

男は女性に対して「期限はないから、ずっと会社がある限りずっとサポートできるから、一生分だと思えば100万円は安い方だよね」と説得したという。女性が「そのお金は無いです」と返答したが、男は「お金が借りられるから借りてきて支払える」と畳み掛けて来たと云う。「契約すると言わないと帰れないような雰囲気になっていた」と女性は述懐する。

そして、女性は、男と2件の消費者金融で50万円ずつを借り契約を結んだ。

しかし、SNSを通して不審な会社であることを知った女性は、その後、消費者生活センターに相談。無事に取り戻すことができたものの「もう一生、経験したくないことと思います」と話す。

警察は、デート商法による犯行に注意するよう呼びかけている。

(テレビ西日本)

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