「これは女性の問題ではなく、いかに強い経済と強い社会をつくるかということです。1975年のアイスランドのように、“人口の半分が働いていないと社会が回らない”と気付けば物事は変わります」

柔らかな表情で、しかし力強くこう話すのは、アイスランドのハトラ・トーマスドッティル大統領です。

WEF(世界経済フォーラム)は6月12日、2025年の『グローバル・ジェンダーギャップ・レポート(男女格差報告)』を発表しました。「経済」「教育」「健康」「政治」の4分野のデータを元に各国の男女平等の格差を順位付けしたもので、148カ国中、日本は前年と変わらず118位と低い順位を保ったままです。一方で、アイスランドは16年連続の1位を達成しました。

終始、穏やかな笑顔でインタビューに答えたトーマスドッティル大統領
終始、穏やかな笑顔でインタビューに答えたトーマスドッティル大統領
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5月下旬、来日していたトーマスドッティル大統領に、フジテレビの島田彩夏アナウンサーがインタビューしました。

特に経済や政治の分野を中心に、男女平等が進んでいないとされている日本。これについて大統領は「これは女性の問題ではなく、いかに強い経済と社会をつくるかということ」と述べ、「日本の経済は長らく成長をしていません」と指摘。その上で、「日本は非常に多くの事に優れた国です」「そして今でも日本は何事も素晴らしくこなしている。最高品質で全ての人を活かす国になれば、誰にも止められない最強の国になります」と話しました。

“女性の力を引き出すことは、男性から何かを奪うことではない”

50年前の1975年。アイスランドでは、「女性の役割の重要性をもっと知らしめよう」と、約9割の女性が仕事や家事などを放棄する大規模なストライキを行いました。そして1980年に、世界初となる女性大統領が誕生しました。

大規模ストライキの様子(1975年)
大規模ストライキの様子(1975年)

ハトラ・トーマスドッティル大統領:
アイスランドは大きな国ではなく、人口も多くありません。1975年に女性がストライキをしたのは、「女性が働かないとこの国が回らない」事を示すためでした。そして実際にその日は何も機能しなかった。それが5年後に女性大統領を民主的に選ぶ勇気を国にもたらしたのだと思います。
そしてアイスランドの女性達はちょっと「言うことをきかなくても」いいと思っている、反抗的なところもあるのです。女性は大切なことのため、子供や孫たちの未来のために闘う覚悟があります。

ーー日本は特に政治・経済の分野で女性のリーダーが少ないと指摘されています。どのようにしたら日本のジェンダー平等が実現できるか、“最も進んでいる国”としてのアドバイスがあれば
まず日本が理解すべきなのはこれは女性の問題ではなく、いかに強い経済と強い社会をつくるかということです。1975年のアイスランドのように、人口の半分が働いていないと社会が回らないと気付けば物事は変わります。その時、日本も本気で行動し始めると思います。意識の問題でもあるのです。
日本の経済は長らく成長をしていません。だからこそ今こそが日本にとって最大の経済的チャンスだと思います。日本は非常に多くの事に優れた国です。私は日本が大好きです。日本が「品質」で世界一を目指すと決めた時から私はずっと注目していました。そして今でも日本は何事も素晴らしくこなしている。最高品質で全ての人を活かす国になれば、誰にも止められない最強の国になります。
第一歩はジェンダー平等が日本の未来や競争力、経済成長、社会の進歩にとってどれほど重要かを理解することです。

そして、「女性や少女の力を引き出すことは、男性や少年から何かを奪うことではありません」と話しました。

(インタビューの続きと様子は、動画をご覧下さい)
【動画】「女性が働かないと国が回らない」示したことがきっかけ “ジェンダー平等先進国”アイスランド大統領にインタビュー「今こそ日本にとって最大の経済的チャンス」

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