東京・文京区の東京都議選に向けた巨大ポスター掲示板がSNSで話題となっている。コスト削減のため、参院選と共用しており、真ん中の一部分以外はブルーシートで覆われていた。一方、葛飾区では至近距離に2つの掲示板が設置されていた。専門家は掲示板について、税金負担と効果を再考すべきとしつつ、将来の主権者教育には一定の意味があると指摘している。
コスト削減策で掲示板にブルーシート
13日は東京都議会議員選挙の告示日だが、2024年の都知事選を踏まえて様変わりしている物がある。それは、候補者のポスターを貼る掲示板だ。

12日のテーマは「デカすぎる選挙掲示板は必要?ソレってどうなの」。
2024年の都知事選では、動物の写真や商品の宣伝などが大量に掲示され、問題になった。
街の人:
インパクトがあるポスターを作りたいというのは分かるが、選挙と関係ないところで目立つのは違うかなと思います。
この事態を受け、法改正が行われ、ポスターの品位を保つことを求める規定が新設された。
そんな中、13日選挙戦の火ぶたが切られる都議選を巡り、「大きすぎる掲示板」がSNSで話題になっている。
東京・文京区で見かけた掲示板は、大部分がブルーシートで覆われ、都議選の枠は真ん中のごく一部だけだった。東京・文京区の街の方は、どう感じているかを聞いた。
街の人:
「まだ準備中なのかな」と。
街の人:
(ブルーシートは)安っぽい。なんとなく抵抗がある。
街の人:
(ブルーシート)なんか陰気くさい。
街の人:
ベニヤ板で隠したりすればね。
ブルーシートで覆われている理由を文京区の担当者に聞いた。

文京区選挙管理委員会 事務局:
先に執行される都議選の板面が手前になるよう設置し、都議選が終わるまでの間は参院選の板面はシートで覆い、見えないようにしています。

22日の都議選の投開票後にブルーシートを外せば、参院選のポスター枠が現れるようになっていた。なぜこんなことが必要なのか、選挙制度に詳しい法政大学の白鳥教授に聞いた。
法政大学・白鳥浩教授:
今年は12年に1回、都議会議員選挙と参議院議員選挙が1カ月違いで行われる年。選挙が行われる自治体、選挙管理委員会は様々な工夫をしてコスト削減を考えている。
校門を挟んだ両脇に2つの巨大な掲示板
大きすぎる掲示板は、設置や撤去にかかるコストを抑えようという工夫だった。しかしその一方、無駄が指摘されているこんなケースもあった。

取材班:
こちら葛飾区内にある選挙ポスター掲示場なんですが、かなり大きなサイズになっていて、30m先にも同じ大きさの掲示場が設置されています。
葛飾区の学校の前には、門を挟んだ両脇に2つの巨大な掲示板が設置されていた。
取材班:
2つの掲示板についてどう思われますか?
街の人:
「必要なのかしら」とまず思った。「え?何?」と思った。
街の人:
設置するだけでも税金がかかっていると思うと、もったいない。
街の人:
(間隔が)近い。向こう出てもあるし。近いと思うが、必要な人はいるのでは。
葛飾区の担当者に、すぐ近くに掲示板がある理由を聞くと「場所を選定した経緯が残っていないため詳細は不明」とした上で、こんな答えが返ってきた。
葛飾区の担当者:
この中学校は投票所であり、多くの選挙人の目に触れる場所でもあることから、設置場所は近接しているものの、当該設置場所を選定したものと推察する。ただし現在、中学校は新校舎となり、周囲のフェンスも新しくなっているため、より効果的な場所への移設を検討中です。

そんな中、掲示板の削減に踏み切ったのが、東京・中央区だ。設置できる場所が限られている中、間隔が非常に近いため、住民から苦情があったという。
中央区選挙管理委員会 事務局:
ポスター掲示場の設置を整理するため協議を行い、掲示場の数を減らしました。
税金ムダ使いと指摘がある一方で主権者教育効果も
青井実キャスター:
金子さん、選ばれる側からすると、掲示板の存在ってどうですか?

SPキャスター金子恵美さん:
名前と顔を覚えてもらうために、候補者としては必要であって。ないと新人の候補ほど不利になるかなとは思うんですね。名前も顔も分からないから。ただ、いずれデジタルでの対応になっていって良いのではないかなと、私は個人的に思いますね。
青井キャスター:
では今後、掲示板のあり方はどうなっていくのだろうか、専門家の白鳥教授に聞きました。
法政大学・白鳥浩教授:
(掲示板は)一定の(選挙啓発)効果は見込めるが、タダではない。ポスター掲示板の設置にも皆さんの税金を使っている。あまり効率的でない使われ方をされるのなら、少し考えることが必要では。

一方、目に触れやすい掲示板があることで、18歳未満の子どもや幼児など、将来の有権者への「主権者教育」の効果もあるともいう。
SNSなどで候補者について簡単に調べられる時代だが、アナログの掲示板だからこその意味もあるようだ。
(「イット!」6月12日放送より)