土地と建物の所有者になりすまし、架空の不動産の売却を持ち掛け、代金を騙し取る手口の地面師詐欺。

先週、東大阪市の会社役員・福田裕容疑者(52)が詐欺の疑いで逮捕・送検されました。さらに福田容疑者とともに、うその登記を申請した疑いなどで粂陵平容疑者ら2人も逮捕。

被害額はおよそ14億5000万円という巨額詐欺事件の手口がこの地面師詐欺だ。

10日放送の関西テレビ「旬感LIVE とれたてっ!」では、去年、話題となった綾野剛さん、豊川悦司さんら出演の配信ドラマ「地面師たち」で登記・土地取引シーンを監修した司法書士の長田修和さんが地面師事件について解説した。

地面師詐欺
地面師詐欺
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■ドラマ「地面師たち」監修の司法書士が解説 「上層部の存在がまだあるのでは」

【青木源太キャスター】「今回の事件の規模は大きいのでしょうか?」

【司法書士 長田修和さん】「かなり大きいと思われます。10億超えていますので。久しぶりだと思います、これ」

【青木源太キャスター】「計画などはどういう印象ですか?」

【司法書士 長田修和さん】「まあ、こんなもんかなって感じですけれどもね。犯行としてはどちらかというと稚拙というところでしょう」

長田さんの見立てによると、上層部の存在がまだあるのではないかと、そして闇バイトを雇っているかもというお話が出ています。

【司法書士 長田修和さん】「逮捕されたのが、ニュースでまだ3人と聞いています、地面師グループって、もっといるんですね。例えば、絵を書くプロデューサー的な、リーダー格がいますよね。他にも細かい法律をかいくぐっているので、いわゆる法律屋と言うんでしょうか、元司法書士さんとか、元弁護士さん、、もしかしたら現役かもしれませんけど、監修があるはずなんです」

司法書士 長田修和さん
司法書士 長田修和さん

【青木源太キャスター】「そういう法律屋の人たちって犯罪、悪いことをやっていると分かって集まっているんですか?」

【司法書士 長田修和さん】「それは一概に言えないです。例えば小説を考えているとか、寸劇を考えてるとかっていう依頼もあるんです。何とでも言えます。あとは本当に闇堕ちしちゃってるんで、稼げるなら一発当てようかと」

【青木源太キャスター】『地面師たち』がヒットして、地面師という存在が世にある程度広がったわけですが、それでもこういった犯罪はまだまだ続いてるんですね」

【司法書士 長田修和さん】「儲かるっていうことがあれば、やろうとする人はいますよね。普通の人が一生働いたって、稼げないような金額が稼げるわけですよ。例えば5人か6人のグループがいたとするじゃないですか。2億ずつ分けても余るわけです」

監修者の見立て
監修者の見立て

■地面師詐欺は「タイミングが大事」これから地面師たちの時代が到来する…

長田さんによると、これから地面師たちの時代が到来…?ということです。理由が2つあります。まずは不動産バブルだ。

【司法書士 長田修和さん】「やはり国がインバウンドを推進していますので、東京、大阪、京都、福岡とか、かなり不動産価格が上がっていると聞いてます。地面師グループにとっては狙い目なんですよね。多少荒い仕事ぶりをしても、リターンが大きい。闇バイトもそうですけど、ネットで簡単に下っ端をリクルートすることができる。タイミングが合えば、どんどん稼ごうとする、そういった可能性はあると思います」

【青木源太キャスター】「不動産バブルってことは、土地の価格が上がる、80年代後半から90年代前半にかけてのバブルのときも、地面師のこういった犯罪が増えたということなんですか?」

【司法書士 長田修和さん】「ついこの間、東京オリンピックバブルとかあったと思うんですけど、需要が著しく高まる時って、地面師事件はやっぱり出ますよね。最近大人しくしてたのは、大物が結構逮捕されちゃっているのでリーダー格の人が少ないわけですよ。地面師って簡単にできるものじゃなくて、どちらかといえば調査が大事。で、タイミングが大事。そういったのを見計らって、実行をかけるって感じなので」

地面師たちの時代が到来…?
地面師たちの時代が到来…?

■刑務所で情報交換からインターネットで情報を入手する時代に

【青木源太キャスター】「地面師たちは地面師たちなりのやり方があります。2つ目の簡単にマニュアルが入手できるようになったというのはどういうことでしょうか?」

【司法書士 長田修和さん】「昔はアナログな時代だったので例えば、刑務所の中で情報交換をしたりとか、狭い組織の中でノウハウを共有していた。外に情報は漏れないように。しかし今って小説もそうだし、ドラマもそうだし、ネットでいろんな人が解説してるじゃないですか。

ドラマでの決済のシーンは10分ぐらいなんですけど、見たらかなりのことがわかるんですね。こんな本人確認してくるのかなと。ここ肝なんで。結局、司法書士を騙さないと進まないわけですよ、取引って。そういったことが、ネットでわかるようになっちゃった。地面師詐欺って当たれば大きいので、しかもどちらかといえば逮捕リスクも低いので、これからまだまだ増えていくんじゃないかなと思います」

インターネットで情報を入手
インターネットで情報を入手

■ドラマ監修の司法書士「対策は国民全員がマイナンバーカード持つしかない」

ドラマのような手段が通じるということは、ドラマで流れているような手段に騙される司法書士もいるということなのか?

【司法書士 長田修和さん】「もちろんです」

決定的に犯罪を防ぐ法の改正や書類の変更などはないのでしょうか?

【司法書士 長田修和さん】「おそらく近々できるのは、国民皆さんに全員、マイナンバーカードを持ってもらう。できるだけ国民全員がマイナンバーカードを持って、本人確認をしていく。ICチップを必ず読み込んでいく。こういう方法しかないと思うんです、現状では。結局、お年寄りの方とか、施設にいらっしゃる方って役所に行けないじゃないですか。偽造は今すごく精工なで、表面だけじゃなかなか見破れないんですよ。

あと、司法書士だったらって言いますけど、料理屋さんで美味い店もあれば、まずい店もあるわけで、専門家だってピンキリなわけですよ。お医者さんだって、ヤブもいれば、天才みたいな人もいるでしょうし、どこ行っても同じなんですよ」

(関西テレビ「旬感LIVEとれたてっ!」2025年6月10日放送)

司法書士 長田修和さん
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関西テレビ
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