米の価格高騰が続く中、検討されているのが、日本酒など加工用向けへの備蓄米の放出です。

都内にある酒蔵はどう受け止めているのでしょうか。

東京港醸造 杜氏(とうじ)・寺澤善実さん:
(備蓄米は)古米臭という部分があって、不適切な香りがあった報告を受けている。果たしてどういうお酒になるのか、やってみないと分かりません。

備蓄米を食用だけでなく、日本酒やみそなど加工用向けへの放出を検討していると明らかにした小泉農水相は、6日の会見で「週明けに日本酒、おみそ関係の皆さんと面会の予定がありますので、まずはよくそのお話を伺った上で対応策は考えていきたい」と述べました。

実際、日本屈指の酒どころ、福井県では日本酒の価格が1.5倍くらいになるのではないかとの声も上がっています。

福井酒販・飯田雄真専務:
来年以降一気に値上がりするという話を(蔵元から)頂いている。

値上げの背景にあるのが、日本酒の原料となる酒米よりコシヒカリなど主食用の米の価格が高くなっていること。

このため、酒米を作っていた農家が主食用の米の生産にシフト。

今後、酒米の生産が大きく減ると見込まれ、日本酒の価格高騰が懸念されています。

これを受けて検討されているのが、備蓄米の日本酒など加工用向けへの放出です。

しかし、ネット上では「日本酒は備蓄米で作れるのかな?」「古古古米を使った酒で『ヴィンテージ日本酒』?」といった声が上がっています。

実際に、備蓄米で日本酒造りは可能なのか。
「イット!」は東京23区で唯一の酒蔵を取材。

東京港醸造 杜氏・寺澤善実さん:
(Q. 備蓄米を使うとどういう香りに?)想像できませんけど、こうはなりませんよね。(備蓄米は)ほかの香りがついてきたり、今とは全然違うお酒になると思います。

東京港醸造では、山田錦など日本酒造りに適した米を厳選して使用。
“酒米の王様”と呼ばれる山田錦で作った純米吟醸「江戸開城」は、キリッとしつつも芳醇(ほうじゅん)ないい香りがします。

2025年の秋には、仕入れ単価がこれまでの2倍近くになる見込みだといいます。

しかし、現時点で備蓄米を使って日本酒を造ることは考えていないといいます。

東京港醸造 杜氏・寺澤善実さん:
(備蓄米は)品種も分かりませんし、保存状態も分かりませんし、現時点でリスクを負って、安いからという理由で使う気はありません。ただ、ほかのメーカーは価格的なところを重んじて使うところある。それがどっちに転ぶか分かりません。

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