福島テレビの気象予報士・清野貴大が、あらゆる角度から「天気予報」を楽しく深く解説。
2025年2月、大雪に見舞われた福島県・奥会津地方。いまだ影響も残る中、多くの人に奥会津を楽しんでほしいということで、鉄道好きの清野がJR只見線の旅を提案する。

地元の人も予想外だった雪の影響

JR只見線は大雪やなだれなどの影響で除雪が難航し、約3カ月間、会津川口と只見の間で運休が続いた。只見町インフォメーションセンターの吉津てるみさんは「100日間も運休するとは思ってなかったから、2月の雪まつりの頃にはもうすぐ通行できるでしょう再開通するでしょうみたいな話でいた。結局3カ月過ぎて」と話す。

線路を塞ぐ大量の雪(提供:福島県)
線路を塞ぐ大量の雪(提供:福島県)
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突然の運休から約3カ月。2025年5月16日にようやく全線が再開通したが、新潟県魚沼市方面へ抜ける国道252号線の出逢橋が大雪の影響で流失。新緑のドライブやツーリングに訪れる方が激減している。

流失してしまった国道252号線の出逢橋(提供:福島県)
流失してしまった国道252号線の出逢橋(提供:福島県)

そば処しおさわ庵の渡部仁一さんによると、2024年はこの時期に訪れた客が一日120~130人くらいだったというが、2025年は40~50人にとどまるという。
JR只見線は開通したが、国道が寸断されて新潟方面からの車やバイクで訪れる観光客が減り大きな痛手となっている。

日帰り旅は難しい?

JR只見線の時刻表を見てみると、定期列車で会津若松から只見まで行ける列車は一日3本だけ。さらに会津若松駅・午前6時8分発の次は、午後1時5分発。これに乗ると只見に着く時間が夕方4時半頃になってしまう。

JR只見線の時刻表
JR只見線の時刻表

そこで、鉄道オタクでもある清野が考えた「只見線・日帰りプラン」を紹介する。
まずは福島県会津若松市の会津若松駅に午前9時前に集合。これなら福島県浜通りからでも、車で朝7時前後に出れば間に合う。

福島県内からの日帰り旅プラン
福島県内からの日帰り旅プラン

まずは、会津若松駅・午前9時2分発の会津鉄道で会津田島駅へ。そこから路線バスで只見に向かう。そうすると、昼過ぎに只見に到着。
約2時間観光をしたのち、午後2時半頃に出る只見線に乗って夕方5時半頃に会津若松に帰ってくるというプランだ。これだと、福島県内からなら日帰り旅が可能だ。

只見の旅 おすすめスポット

このプランでは約2時間、只見町に滞在することができる。只見駅周辺で楽しめるスポットを紹介する。まずは、只見駅の目の前にある「只見インフォメーションセンター」。只見町産の野菜や加工品・酒などが並ぶ。

只見町の特産品が並ぶ 春はやはり山菜
只見町の特産品が並ぶ 春はやはり山菜

ここで飛ぶように売れているのが、駅前の旅館「只見荘」の女将が作る大きなおにぎりだ。
只見線の始発は会津若松発が朝6時。朝ご飯を食べないで乗車する人も多く、そんな客を思って誕生したという。

女将の思いやりが詰まった大きなおにぎり
女将の思いやりが詰まった大きなおにぎり

季節によって変わるおにぎりの具。いまは山椒味噌で、只見荘の女将が駅の裏にある畑で山椒の新芽を摘み取る。通常なら、山菜のワラビを採りに行く時期だというが、2025年は大雪でワラビの出る時期が遅れたおかげで、たくさんの新芽を採ることができているそう。

春の味 山椒味噌
春の味 山椒味噌

しばらくは山椒味噌のおにぎりが食べられそうだ。女将の目黒ゆかりさんは「沢山準備して待っていますので、ぜひいらしてください」と話した。

山椒の新芽を摘む女将の目黒ゆかりさん
山椒の新芽を摘む女将の目黒ゆかりさん

《只見町インフォメーションセンター》【営業時間】午前9:00~午後5:00 【定休日】なし
◆大きな山椒おにぎり 200円

奥会津の山菜・そばを堪能

続いて紹介するのは、只見駅から徒歩・約3分のところにある「そば処しおさわ庵」。ここは只見町塩沢地区のみなさんが、十割蕎麦を土・日・祝日限定で提供する店。

地区の皆さんが切り盛りするそば処
地区の皆さんが切り盛りするそば処

雪で遅れていた山菜も味わえる。この日の山菜は「タラの芽」と「ウド」が天ぷらで提供されていたが、これからの季節は「ササダケ(根曲がり竹)」も味わえるとのこと。
十割のかけそばに名物のかき揚げの組み合わせがおすすめ。さらに山菜の天ぷらやキノコもトッピングすれば、只見の味を満喫できる。トッピングはすべて100円。山菜やキノコはすべて只見産だ。

しおさわ庵 おすすめの組み合わせ
しおさわ庵 おすすめの組み合わせ

《しおさわ庵》【営業日】土・日・祝 【営業時間】午前11:00~午後2:00
◆かけそば 800円 ◆かき揚げ 100円

仕上げは土産とスイーツと絶景

お腹がいっぱいになったところで、お土産を買いに行く。只見駅から徒歩9分のところにある「目黒麹店」。
麹店ということで味噌はもちろんだが…味噌と同じ量並んでいるのが麺。只見の知る人ぞ知る逸品だそう。生麺は、常温で持ち帰り可能。おうちに帰っても只見を楽しめるお土産だ。

《目黒麹店》【営業時間】午前8:30~午後6:30【定休日】火曜日

麹店の生麺 知る人ぞ知る逸品
麹店の生麺 知る人ぞ知る逸品

最後にスイーツを。只見のソウルフード「そぼろパン」で有名な「三石屋」。あわせて頂きたいのが暑い夏におすすめのシェイク。

ローカルパン「そぼろパン」
ローカルパン「そぼろパン」

《お菓子の店 三石屋》
【営業時間】平日 午前8:00~午後7:00 土曜日 午前8:00~午後6:00
【定休日】日曜日
◆そぼろパン 155円◆シェイク 350円

三石屋のシェイク 帰り道のおともに
三石屋のシェイク 帰り道のおともに

2時間駅前を散策したところで、シェイクを片手に只見線に乗り込む。ここからは、車窓から見える只見線の絶景を楽しんでほしい。雪解け水が多かった2025年、只見川の濁りもようやく緑色に落ち着いてきた。これから気温が上昇すると川霧の季節が始まる。

絶景が人気 秘境路線のJR只見線から見る景色
絶景が人気 秘境路線のJR只見線から見る景色

今回は日帰りプランをご紹介したが、只見線沿線は地元の物が頂ける民宿や温泉の宝庫でもある。車や鉄道を駆使して、春が遅れてやってきた只見にお出かけしてみては。

(福島テレビ)

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