東京都内のドン・キホーテ前では4日早朝から、備蓄米を求めて200人超が行列を作り、約1400袋が即完売した。消費者は安い備蓄米を歓迎する一方、銘柄米は5kg5000円超で売れ残っており、農家からは新米との差別化と所得補償を望む声が上がっている。

備蓄米を求め早朝から大行列

備蓄米を求め、販売店には4日も長蛇の列ができていた。

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安く購入できて喜びの声が上がっているが、その一方、銘柄米は高止まりの状況だ。テーマは「備蓄米は人気も銘柄米は置いてきぼり?ソレってどうなの」だ。

平日の朝にも関わらず、4日午前7時半頃のMEGAドン・キホーテ成増店には、2000円台の備蓄米を求めて行列ができていた。

取材班:
午前7時半ですが、ドン・キホーテの前には、すでに長い行列ができています。先が見えないほど多くの方が並んでいます。

販売開始の2時間以上も前から、200人以上の大行列となっていた。一体何時から並んでいたのだろうか。

行列に並んでいる人:
午前6時半です。絶対に欲しかったから。4時から起きてクーポン入れてとか、ずっとやっていた。すごくありがたいです。

行列に並んでいる人:
午前6時過ぎ。このくらいの値段でやってくれるとありがたい。

4日、店に並んだ備蓄米は約1400袋だ。開店時間になると、行列客たちは続々と入店していく。

取材班:
午前10時です。皆さん続々と備蓄米を買っていきます。

次々に備蓄米を手に取る客には、笑顔が見える。

備蓄米を買った人
お米の心配は少しなくなりました。しかも一番に並べて良かった。小泉さんに代わったおかげで、2週間でこうやって買える。

備蓄米を買った人
(買えて)良かったです。農家さんのことを考えると、3000円前後かなという気がするが、消費者は安い方がいい。

備蓄米を巡り、新たな動きも出ている。ファミリーマートは予定を前倒しして、5日から一部の店で販売を始めると発表した。

ファミリーマートは随意契約で1000tを買い付けた。4日朝に神奈川県内の精米所に到着し、玄米から白米へ姿を変えていった。1kgサイズに袋詰めされ、5日に東京と大阪の一部店舗で360円で発売する。順次、全国に販売を広げる。

丹羽うらら記者:
5日から店舗で販売される備蓄米です。1kgなので片手で軽々と持てます。

ファミリーマート製造基盤整備部・仲沢正幸マネージャー:
いち早くお客にお届けする。しかも値頃感のある価格帯で、全国にあるコンビニ網を使用しながらお届けしたい。当初、各店10袋程度を納品。全体では1店舗あたり50袋前後を納品する。

1kg=360円という価格、これで採算は取れるのか。専門家の松平さんは、こう指摘する。

宇都宮大学農学部・松平尚也助教:
薄利多売の可能性もあるが、全体としては十分採算取れると思う。輸送費等も国持ちなので、利益は出しやすいのでは。

また、ローソンも5日から東京と大阪の一部の店で、1kgと2kgに小分けした商品の販売を開始する。

加速する備蓄米を巡る動き。一方、スーパーの棚には多くの銘柄米が残っていた。

20代:
(5kg)5000円はちょっと高い感覚。節約したいので備蓄米あれば買いたいが、今高騰している(銘柄米)がちょっと落ち着いた方が買いたい。

40代:
値段がどうしてもね、5000円近いと…。急に上がったから追いついていかない。

4日に取材したスーパーで販売されている銘柄米は、税込で5000円を超えていた。

千葉県オリジナルの銘柄米「粒すけ」を生産している加瀬さんは、この状況に不安を抱えている。

加瀬園芸・加瀬好基さん:
今後、新米が取れる時期になった時に、備蓄米と同じ値段、米は2000円台だという印象を持たれてしまうと農家も厳しい。古米と新米の差別化はしっかりしてほしい。いろんなコストが上がっているので、実際はお米の価格は上がってほしいと内心思っている。やっぱり政府として所得の補償を自分たちは求めている。

銘柄米高止まり…安価な備蓄米に農家は悲鳴

イット!のスタジオでは…

青井キャスター:
消費者は安く買いたいけど、農家さんの気持ちもあります。

SPキャスターパックン:
こういうことになると目に見えていたと思う。逆に、新米の値段を下げないと売れないという状況を作るのが備蓄米放出の狙いでしたが、長期的には維持不可能です。農家の皆さんが採算合わないんだったら、もう米作らない。安く作れるようにしよう。

青井キャスター:
早ければ8月には市場に出てくる新米ですが、専門家はすでに一部取引に影響が出ていると言います。

宇都宮大学農学部・松平尚也助教:
お米の取引において、業者間の取引とスポット取引というものがある。そのスポット取引が先週からかなり大きく暴落している。

青井キャスター:
では、今後のコメ価格の見通しはどうでしょうか。

宇都宮大学農学部・松平尚也助教:
随意契約の備蓄米放出後、早期契約をしようとしていた農協などが市場を静観している状況です。(新潟のコシヒカリなどの)銘柄米は高止まりして、他の地方、地域別では去年並みに落ち着く可能性もあります。

格差が広がる備蓄米と銘柄米の価格が、今後どうなっていくのか注目だ。
(「イット!」6月4日放送より)

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