北海道南部のスルメイカ漁が危機的状態だ。
初日は、11隻が出漁しましたが漁獲量はほぼゼロ。
初競りが初めて中止となった。
イカの街、函館市に動揺が広がっている。
“イカの街”函館市に動揺 水揚げ「ゼロ」も
夕暮れが迫る函館市の港。
6月1日、漁を終えたイカ釣り漁船が港に戻ってきた。
「わたしゼロ、ゼロだもん。こんなの初めてだ」(イカ漁師)
1日に解禁されたばかりの道南のスルメイカ漁。
11隻が初出漁したが、イカは漁場にいなかったという。

「全然いなかった」(イカ漁師)
漁の結果を見ると―
「この船で取れたスルメイカはたった2匹だそうです」(熊坂友紀子記者)

一方、こちらの船は―。
「4匹しかいないよ!イカ専業という感じだからね。イカがないと、われわれもいなくなってしまうよ」(イカ漁師)
1匹も取れなかった船も半数以上あり、初日は水揚げを断念する事態に。
「(Q:燃料費はどうなる?)なんとかして…5万円。廃業だね、本当に廃業だ。やってられないもん」(イカ漁師)

スルメイカの初競りは「中止」に
「本来はここ(函館市水産物地方卸売市場)でスルメイカの初競りが行われる予定でしたが、イカは一切なく、がらんとしています」(熊坂記者)
水揚げがなかったことで、2日に予定されていた初競りは中止に。
不漁での見送りは史上初めてとなる。

「残念な気持ちでしかありません。観光客を含めた需要期に、イカが並ぶことを願っています」(函館魚市場の美ノ谷貴宏取締役)
「6月2日にイカがないと、気持ちがダダ下がりですね」(スルメイカを買いに来た鮮魚店社長)

スルメイカの不漁は続く
スルメイカの不漁は続いている。
取扱量はピーク時に約9000トンもあったが、2023年は過去最低の317トン。
2024年は過去2番目に少ない400トンまで落ち込んでいる。

イカ製品が主力の加工会社も「大変厳しい状態」
イカ製品が主力の水産加工会社では―
「スルメイカの代替として海外イカを中心として輸入して、原料を切り替えてやっているのが一番多いです。今、円安が続いているので加工業者としては大変厳しい状態」(トナミ食品工業の利波英樹社長)

この会社では、イカの加工品を生産し続けるため、5年ほど前から外国産のイカを輸入している。
しかし、円安などの影響で価格が高騰。
「500~600円だったものが、いま1000円くらい」(利波社長)

イカの街“函館”観光にも影響
観光客にとっても寂しい結果に。
「やっぱり函館っていったらイカだと思ってたから、ちょっと寂しい」(関西からの客)

朝市で人気の活イカの釣り堀。
2日、スルメイカが水揚げしなかったため、水槽にヤリイカを入れて営業していた。
「ヤリイカも今月いっぱいあるか、ないかかな。だからスルメが取れないと(店が)開けられない」(活いか釣り堀の櫻庭のり子さん)

イカ専門の鮮魚店も危機感
創業70年をこえるイカ専門の鮮魚店も、危機感を募らせる。
「イカ1本でやって来てるから、他のもの売るわけにはいかないし、できない。この先どうなるか分からないけど、考えないといけないなという不安がありますね」(イカ専門店 富田鮮魚店の富田和子さん)
動揺が広がるスルメイカ漁初日。
イカ釣り漁船も2日は出漁を見合わせていて、しばらく影響は続きそうだ。
