全国で芸能人やスポーツ選手の関与が発覚し、検挙数が3年で5倍に跳ね上がったオンライン賭博。スマホ1台で24時間いつでも賭博が可能な手軽さが、深刻な依存症を引き起こし、利用者337万人のうち4割が違法と認識していない実態が明らかになってきた。
検挙数が増加 オンライン賭博
全国では芸能人やスポーツ選手のオンラインカジノへの関与が次々と明るみになり、全国でのオンライン賭博の検挙数はここ3年で5倍近くにまで跳ねあがっている。

そもそも「オンラインカジノ」とは、スマホやパソコンでゲームを行い現金や電子マネー、暗号資産などを賭けるもの。「カジノ」のイメージにあるスロットやカードだけでなく、パズルや格闘技・スポーツなどの勝敗を競うものもある。

福島県警察本部の大門貴司次席は「スマートフォン1台あれば簡単にできる。24時間どこでも利用可能なので、少しの空き時間でも次々とお金をかけてしまって、依存症になりやすいと言われている」と説明する。
身近に潜む依存の危険
誰しもが陥る恐れがある「依存」、街では不安の声も聞かれた。疑わしい広告を見たことがあるという人は「これも、もしかしたら違法なのかなと思うと気が気じゃない」と話す。また手軽さが怖いという人は「手軽にできちゃうがゆえに、依存性も高いと思う」と話した。

さらに、趣味に多額のお金を使った経験があるという人は「熱中しているときは一点集中みたいな感じになってしまう」と話す。
スマホやパソコンといった、すぐ身近にあるものから簡単に手をのばせるだけに、一度沼にはまると抜け出すのは困難だ。
夫がギャンブル依存症に
「夫が失踪してしまって。その後、夫が入院して、ギャンブル依存だと聞かされた」と話す福島県在住のAさん。夫は、ギャンブルの借金が返せなくなったことで自殺未遂をして医療機関に入院。それでも依存から抜け出せず、いまは更生施設に入っているという。

「もうやらないって電話口で言われて、その次の日にはやっていた。それを打ち明けられた時が一番つらかった。この人、本当に病気なのだと突きつけられた瞬間だった」と語る。
病気という認識がもてるか
当事者だけでなく、家族にも絶望をもたらすギャンブル依存症。Aさんはいま、同じ悩みを抱えるギャンブル依存症の家族へのサポートを行っているが、最近はオンラインカジノに関する相談も増えてきたという。

スマホ1台あれば24時間利用でき、脳が休まらない分パンクするまで自制もきかない…女性の夫もオンラインカジノではなかったが、スマホを使って公営ギャンブルへのめり込んでいったといい、自身や家族が「病気」という認識を持って第三者に相談できるかが最も重要だと話す。

「やはり恥ずかしいとか、こんなこと相談しているのは自分だけなんじゃないかとか。それも結構思いこみで。自分たちでどうにかしようと頑張っている人がたくさんいると思うので、まずは相談電話に連絡いただければと思います」と話した。
4割が違法性を認識せず
オンラインカジノの賭け金の総額は、年間1兆2000億円あまりと推計されている。利用経験者は約337万人、この4割ほどが違法性を認識していなかったという。

その理由の一つとして、福島県警察本部は「誤った認識が広がっていること」を挙げる。
インターネット上に「海外では合法だから問題ない」「日本には取り締まる法律がない」とあってもこれは誤りで、国内では「賭博罪」にあたる。

対策も進み、6月3日には、カジノサイトの開設や運営などを禁止する法案が衆院で可決された。SNSなどからサイトへ誘導する行為も禁じることが盛り込まれ、今国会での成立を目指している。
2023年度の厚生労働省調査によると、ギャンブル依存症の疑いがある人は国民の1.7%(約60人に1人)ともいわれる。違法なものが紛れ込んでいるという危機意識を持つことが必要だ。
(福島テレビ)