備蓄米放出が始まる中、小泉農水相のスピード決断に元農水相が苦言を呈したということで、なぜ党内からそんな声が上がっているのかをフジテレビ政治部・高田圭太デスクとお伝えします。

野村元農水相は小泉農水相が自民党の農林部会に諮っていないとして、「自分で決めて自分で発表してしまう、そういう大臣。やっぱりルールというのを覚えていただかなきゃいかん」と発言しました。

青井実キャスター:
今回、話し合って決めなければ、やはりいけなかったんですか?

フジテレビ政治部・高田圭太デスク:
このルールというのは、自民党というのは政府が大きな決定をする時には事前に部会というところで議論をするんです。ただ、今回の件は法案みたいな必ずやらなければいけないものではないので、マストではなかった。そこで小泉さんはやらない選択をしたんです。なぜかというと、ひと言で言えば党内の納得感よりも国民へのスピード感のほうを重視したと。部会をやると、プラス面は党内でコンセンサスを得られて安定するんですが、マイナス面でスピード感は落ちるし、いろんな意見を聞くことで政策の角度が鈍るので、今回はスピード感とやりたいことを思い切ってやるというほうに振り切ったのが小泉さんの決断です。

青井実キャスター:
ルール的に問題ない、スピードも放出できた、ただ元大臣は苦言ということですが、選挙に影響してるんですか?

フジテレビ政治部・高田圭太デスク:
やっぱり野村さんは自民党の大事な支持基盤である農林部会で大事なポジションです。参議院選挙の激戦区は、農業が盛んな1人区、人口が少ない都道府県が多いもので、そういった人たちを意識する。これは野党もそうです。

青井実キャスター:
その中で、立憲民主党の小沢氏は、自身のSNSで「自民党のシナリオどおりの茶番劇。敵・悪役を作り小泉氏の人気を上げ、彼を看板にして選挙は楽勝という魂胆。裏では話がついている」と苦言を呈しました。この発言の真意は?

SPキャスター・岩田明子さん:
かつての小泉首相も郵政解散の時は「抵抗勢力」と名指しをすることで摩擦熱を上げていたので、それを想定しておっしゃっていると思う。ただ、野村さんはそこまで計算しておっしゃっているとは思えなくて、やはり支持基盤や自分の思っていることをそのまま言ってしまってこうなってしまった。でもかえって小泉さんとしてはやりやすくなったのではないか。

青井実キャスター:
高田さん、野村元農水相は自身の発言をどう考えているでしょうか。

フジテレビ政治部・高田圭太デスク:
野村さんはFNNの取材に対して、「小泉さんに敵対していくつもりはない」「スピード感のある備蓄米の放出は小泉さんじゃないとできなかった」「(あの苦言は)もう済んだこと」と言っていて、また自民党議員は、野村さんに合わせて平場で一度やってほしいという気持ちは分かるが、今回のことは緊急事態だし仕方ない。あと、「古い考えの人に立ち向かう進次郎さんというのは、党として悪いことじゃない」という意見が出ていて、2日午後に森山幹事長が小泉さんに会って、そのあとに「小泉さんは当然のことをしたと思うし、農林部会に言う必要はなかった」「時間との戦いだから」ということで、事実上、軍配を「小泉さんのやり方は良かったし、野村さんの気持ちも分からないでもないけど」と落とし込もうとしています。

青井実キャスター:
また、2日の国会で江藤元農水相時代の競争入札によって売り渡された備蓄米についてですが、随意契約の備蓄米よりも価格が高く、もし業者が返還を希望する場合、小泉農水相は「適切に対応したい」と述べています。再び買い戻して、安くして業者に売る可能性はあるわけですか?

フジテレビ政治部・高田圭太デスク:
政府が短期間に大きく政策を変えたわけですから、そこで高く買ってしまった人たちから悲鳴が上がれば、何かしらの対応はする必要があると小泉さんが考える可能性はあるかと。

青井実キャスター:
このようにスピード感を持ってやってきたわけですが、今はいいとして、今後の小泉農水相の課題はどういうところだと思いますか。

SPキャスター・岩田明子さん:
まずはマーケットを冷ますところですが、今度は公平性ですよね。お米が手に入らない人が出てこないようにきちんと対応する。さらには長期ビジョンですね。ちゃんと農家を守る大規模区画化していくところをちゃんと示すことだと思います。