鹿児島市の繁華街・天文館のメインストリートに “屋根”がかかろうとしている。市電が走るメインストリート「電車通り」をまたぐアーケードが、2025年7月に着工し、2026年9月の完成を目指すことが明らかになった。雨に加え火山灰対策も必要な鹿児島。市民も期待の声を寄せている。

6年越しの構想、ようやく実現へ

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地元の人や観光客でにぎわう天文館は鹿児島市の中心的スポット。しかし、複合商業施設・センテラス天文館前の「電車通り」にはアーケードがなく、雨や桜島の火山灰が降るたびに傘をさして横断しなければならない。この場所に整備される新アーケードは、長さ約30メートル、幅約20メートル、高さ約13メートルの規模を誇る。このプロジェクトは、地元商店街を中心とする実行委員会によって約6、7年前から構想されてきた。

買い物客や観光客の回遊性向上を目的としたこの計画。デザインは2023年7月に決定していて、2024年8月に着工、2025年1月の完成予定だった。しかし、工事費の高騰により、約2億6000万円と見込んでいた整備費が4億円以上にまで膨らみ、着工の見通しすら立たない状況が続いた。

国の追加支援などで整備費確保にめど 高まる期待

鹿児島市によると、国からの追加補助金約1億620万円と企業からの寄付金によって、ようやく整備費の確保のめどが立ったという。これにより、2025年7月の着工、2026年9月の完成という工程が示された。

天文館エリアでは2008年、電車通りと照国神社を結ぶ国道225号の「中町交差点」にアーケードが設置された。2021年には鹿児島銀行本店と老舗百貨店・山形屋をはさむ電車通りにもアーケードが完成した。今回センテラス前のアーケード整備が動き出したことで、地域の一体感がさらに高まることが期待されている。

天文館電車通りジョイントアーケード整備実行委員会の牧野田栄一委員長は、「市民の皆さんからの要望を実現できることがうれしい」と胸の内を明かした。また、「電車通りをはさんで2つに分かれていた印象のあった街が一体化し、中心市街地の商業エリアが一つに統合される」と、アーケード完成後の天文館エリアの新たな姿に期待を寄せている。

「雨も灰も」市民生活を守る機能性

鹿児島ならではの課題解決にも一役買いそうだ。火山灰対策として期待する街の声は多く、「灰が降る鹿児島なので助かる」「日差しが強い鹿児島では、屋根があるとありがたい」など、実用的な面での期待も大きい。

アーケードの下を行き交う買い物客や観光客は、雨や灰、強い日差しを気にせず天文館エリアを回遊できるようになる。これにより、地域の商業活性化にもつながることが期待されている。

施工業者の公募は2025年6月から始まる予定だ。鹿児島市の新たなシンボルとなる天文館アーケードの完成まで、あと1年余り。地元住民や観光客の期待は日増しに高まっている。

(鹿児島テレビ)

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