「寝相の悪い子ほど元気なんですよ」。日本カイロプラクティック連合会講師の木下耕三さんは笑顔でそう語る。ゲームやスマートフォンの普及で、頭が前かがみ、背中が丸くなった「猫背」の子どもたちが増加している。子どもの姿勢改善に取り組む専門家たちが警鐘を鳴らす中、その対策法を紹介する。

「猫背」が7割以上、3歳から症状が現れることも

富山県富山市のカイロプラクティック院では、子どもたちが姿勢改善のための運動に取り組んでいる。30年以上施術を続けてきた木下さんによると、現代の子どもたちの姿勢で最も多いのが「あごが出る」「口が開く」「骨盤が後ろに傾く」いわゆる「猫背」の姿勢だという。

「姿勢の悪い子どものおよそ7割から8割がこの状態です」と木下さん。さらに気になるのは症状が現れる年齢の低さだ。「何か頭痛があるとか、歩き方が変だとか、いろんな症状で来られるお子さんがいるんですけど、大体3歳ぐらいから来られますね」

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小学1年生の成幹くんたちはYouTubeに夢中だ。なぜ寝ながら見るのかと尋ねると「こっちの方が見やすいから」と飛那さんは答える。この姿勢が日常化すると、風邪をひきやすくなったり、朝起きられなくなったり、集中力が続かなくなったりと、生活習慣全般に悪影響を及ぼす可能性があるという。最悪の場合、背骨が湾曲する「側湾症」に発展することもある。

「添い寝」と「柔らかい布団」が姿勢悪化の原因?

姿勢悪化の原因として木下さんが特に注目するのが「睡眠環境」だ。日本では幼い子どものおよそ7割が親との添い寝で眠っており、スペースが狭く寝返りがしにくい状態が続いている。さらに、いびきや騒音を感じやすい環境も良質な睡眠の妨げになる。

「沈んでいたり柔らかかったり、寝返りができない状態、かごの鳥のように寝返りができないという状態を作ってしまうと、子どもはやっぱり姿勢が悪くなります」と木下さん。寝返りは骨盤と背骨の歪みを取り、筋肉のバランスを整える重要な動きだという。

自身の経験から子どもの姿勢を守りたい

カイロプラクティックの先生である鍜治聡美さんは、小学校高学年の頃に骨格の歪みが原因で起立性調節障害を患った経験がある。

「朝まず起きれなくなっちゃって、ずっと頭が痛い。風邪かなって思ってたんですけど、それがもう長い間ずっと毎朝毎朝続いて」と当時を振り返る鍜治さん。学校に行けない罪悪感から自分を責める日々が続いた。

「実は起立性調節障害って、心が弱いからとかじゃなくて、骨格が歪んでるから、姿勢が正しくないから起こる症状なんだということを知って、すごく救われた気がしました」

この経験から、もうすぐ2歳になる長男の颯亮くんには自分のようになってほしくないと、スマートフォンをできるだけ見せず、外で遊ぶ時間を多く作るよう心がけている。

フェイスタオル一本で姿勢改善!簡単体操3選

取材では、家庭でもできる姿勢改善体操も紹介された。フェイスタオル一本で行う3つの体操だ。

1. 首のアーチを作る運動:首の後ろにタオルを当ててゆっくりと引っ張る。首のそりを作るように斜め上を見ながらじっくり行う。

2. 巻き肩を改善する運動:両手を上げてから肩甲骨を引き寄せ、上下に動かす。10回行い、上を見ながら舌を突き出すとより効果的。

3. 柔軟性を高める運動:両手でタオルを引っ張りながら、肘を曲げないようにタオルを後ろに回し、足の下を通して1周する。これも10回行う。

正しい姿勢は、壁に背中をつけて横から見たとき、「耳、肩、股関節、膝、くるぶし」が一直線になっているかどうかでチェックできる。姿勢の歪みが深刻な場合は、専門家のアドバイスを早めに受けることが大切だ。

富山テレビ
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