新学期を迎えた春、多くの親子が習い事の選択に悩む季節だ。「子どもの才能を伸ばしたい」「将来役立つスキルを身につけさせたい」との思いから始まる習い事選び。そこには最近の傾向として「親世代がやっておけばよかった」という願望も強く反映されているという。

県内の習い事事情、最も多いのは「スイミング」

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「ピアノとか練習する」「そろばんとプールとドッジボールです」「野球やってます」

富山県内の子どもたちが取り組む習い事は多種多様だ。子育て情報誌「はっぴーママ」(春号)の県内読者アンケートによると、習い事をしている子どもの数は「1つ」が最も多く、半数を占める。開始年齢は3〜4歳が多数派だ。

人気の習い事は、スイミングを筆頭に、英語、ピアノ、体操、サッカーと続く。これらは子どもの身体能力や知的好奇心を刺激する基礎的な活動として長く支持されている。

「親がやっておけばよかった」が最近の習い事選びのキーワード

最近の習い事選びには特徴的な傾向がある。富山短期大学幼児教育学科の石動瑞代教授は「子どもの世界や興味が広がる1つのきっかけ」と習い事の本質を語る。そして「子どもがやりたいものでもいいし、保護者の方が経験させたいものでもいい」と柔軟な選択を勧める。

特に注目されているのが、「親がやっておけばよかった」と感じる習い事だ。その筆頭が「英語」である。

富山市内にある英語教育と保育を融合させたインターナショナルスクールでは、1歳から英語環境に触れられる。スタッフの吉田沙織さんは「これだけグローバル化と言われている世の中だったり、進学に有利だったり、子どもたちの経験する幅が増える」と英語習得の早期化を後押しする理由を説明する。

また、小学生向けのアフタースクールでは、学童保育の機能を持ちながらプログラミングや運動などを英語で学ぶ新しいスタイルの習い事も人気だ。従来の決まった曜日・時間に親が送迎する形式とは異なり、学校や自宅までの送迎サービスや当日利用が可能なフレキシブルな体制が共働き家庭の支持を集めている。

「お金」の勉強も注目の的、キッズマネースクールが人気

もう一つの「親がやっておけばよかった」習い事が「お金」の勉強だ。2022年から高校で資産形成に関する金融教育が始まったが、自分自身が学んでこなかった親世代が子どもには早くから学ばせたいという思いが強い。

資産形成を扱うマネジメント会社が定期的に開催する「キッズマネースクール」では、子どもたちが店長となり仕入れや開店準備、お金の計算、販売などを通じて金銭感覚を養う。株式会社アイライフの泉英光さんは「子どものうちからこれは貯めておこう、これは増やすお金、これは使っていいお金という風に早いうちから学んでおく」ことの重要性を指摘する。

子どもの気持ちと親の願い、落としどころは

習い事選びで重要なのは、子どもの気持ちと親の願いのバランスだ。石動教授は「子どもに年齢を超えた判断を委ねすぎている」との懸念を示す。「なんで練習しないの?あなたやりたいって言ったじゃない」といった責任の押しつけは避けるべきだという。

「子どもの声を聞くことは大事だけど、まだ幼い子どもがその時に言ったことを全てかのように理由づけて『やりなさい』はおかしい」と石動教授。子どもの発達段階に合わせた親の判断が求められている。

習い事についての質問に石動教授はこう答えた。

習い事は子どもの発達にプラスになる?「○」。習い事は親が決めていい?「○」。習い事は未就学児から始めるといい?「○」。子どもが習い事に行きたがらなかったらやめていい?「○」。仲良しの友人が習い事に通っているから一緒に習うといい?「×」

「経験させたいことと、本人が求めていることがぴったり合うと習い事の効果は高まる」と石動教授。「習い事は必須ではない」とも語り、子どもの好奇心を大切にした時間の使い方を工夫することの大切さを示唆している。

富山テレビ
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