プレスリリース配信元:フォーバル GDXリサーチ研究所
~GXの認知度向上、外部のノウハウ活用や支援制度の整備が必要~
Green(グリーン)とDigital(デジタル)を活用した中小企業の変革を目指すフォーバル GDXリサーチ研究所(本社:東京都渋谷区、所長:平良学)は、全国の中小企業を対象にした「第4回 中小企業GX推進状況調査」(2024年)を実施しました。
政府は近年、GX(グリーントランスフォーメーション)を重要な政策として推進しています。その方向性は具体的な立法や施策にも現れています。2023年には「GX実現に向けた基本方針」が閣議決定され、GX推進法やGX脱炭素電源法が成立しました。そして2025年2月には「脱炭素成長型経済構造移行推進戦略」(GX推進戦略)を発展的に改訂する「GX2040ビジョン」が閣議決定されました。こうした流れは企業活動にも影響を与えており、大企業を中心にサプライチェーン全体の排出量の削減を求める動きへ展開し、中小企業もGXに取り組むことが求められています。そういった背景から、今回は中小企業におけるGXへの取り組み状況を調査いたしました。
【調査結果サマリー】
1.中小企業の経営者層のGX認知度は29.4%にとどまり、DX認知度の63.3%と比べ大きな差
GXとは何かを「知らない」と回答した中小企業経営者は45.7%に上り、認知度向上と具体的な支援策が急がれる
2.GXについて取り組めていない企業が62.9%
DX同様、過去調査より「取り組めていない」企業の割合が増加
より一層の認知向上と、支援制度の整備が必要
3.GX推進に取り組みについて、「必要だが取り組めていない」の項目は、
「社員へのGX関連の資格取得や知識習得の推進・支援」が最多の49.7%
「光熱費や燃料費の節約」など即効性のある施策が先行、知識習得は今後の課題に
外部のノウハウ活用や支援の導入が今後の推進には不可欠
【アンケート概要】
・調査主体 :フォーバル GDXリサーチ研究所
・調査期間 :2025年1月14日~2025年2月14日
・調査対象者 :全国の中小企業経営者
・調査方法 :ウェブでのアンケートを実施し、回答を分析
・有効回答数 :828人
本リリースの調査結果をご利用いただく際は、必ず【フォーバル GDXリサーチ研究所調べ】とご明記ください。
1.GXについて取り組めていない企業が62.9%
DX同様、過去調査より「取り組めていない」企業の割合が増加
より一層の認知向上と、支援制度の整備が必要
Q1. GX(グリーントランスフォーメーション)とは何かご存知ですか。(n=828)
GXおよびDXに関する認知度を尋ねた設問では、GXについて「知っており、他の人に説明できる」という回答はわずか5.4%にとどまり、「知らない」という回答は45.7%と、約半数近くを占めました。一方、DXについては「説明できる」という回答が19.3%、「知らない」という回答は15.2%にとどまり、GXとDXの間には大きな認知度の差が見られました。
この結果から、DXが一定程度認知・理解されているのに対し、GXはまだ十分に浸透していない状況が浮き彫りとなりました。特にGXについては、「聞いたことはあるが、よく知らない」(24.9%)や「知っているが、説明できるほどではない」(24.0%)という回答も合わせると、約9割近くが十分な理解には至っていないことがわかります。
DXはすでに多くの中小企業で取り組みが進み、ビジネスのデジタル化が進展している一方で、GXは概念としてまだ新しく、中小企業経営者への情報提供や理解促進の機会が不足していると考えられます。このままではGX推進に向けた具体的なアクションが取りづらく、全社的な取り組みが進まない要因となる恐れがあります。
今後は、GXの基礎的な情報提供や、事例共有を通じた理解促進が必要です。DXと同様に、GXに関してもまずは経営層がその意義やメリットを理解することが、社内全体の推進力につながると考えられます。
2.GXについて取り組めていない企業が62.9%
DX同様、過去調査より「取り組めていない」企業の割合が増加
より一層の認知向上と、支援制度の整備が必要
Q2.GXについて知っていると回答した方に伺います。
あなたの企業全体でのGXの取り組みレベルとして、当てはまるものをお選びください。
(n=450)
GXへの取り組み状況について尋ねた設問では、「意識改革:GXに向けた省エネ推進」と回答した企業が29.6%となった一方、「取り組めていない」と回答した企業は62.9%に達しました。また、「事業改革:事業戦略の再構築・新規事業創出」に取り組んでいる企業はわずか0.7%にとどまっています。
この結果から、多くの中小企業がGXへの本格的な取り組み以前の段階、あるいは意識改革の段階にとどまっており、課題に対する理解や知識が十分に浸透していない状況が浮き彫りとなりました。特に、GX推進の第一歩となる省エネ推進(意識改革段階)に取り組む中小企業は一定数存在するものの、その先の情報開示(6.9%)や事業改革(0.7%)に進んでいる中小企業はごくわずかであり、GXに対する理解と認知度の向上が次のステップに進むために不可欠であると考えられます。
また、過去の同様の調査結果と比較すると、「取り組めていない」企業の割合が増加し、「ステップ1」の割合が減少しています。これは、DXの調査と同じ傾向です。GXにおいても、取り組みが進んでいない、取り組めていない企業が増えていることについては、施策としての優先度が低い、または、対応したくても、対応できる人材がいないなど可能性が考えられます。さらに、DXの「取り組めていない」企業の37.2%と比べるとGXは62.9%と大幅に高い結果でした。過去の調査と比べてもGXの取り組みは進んでいないが、DXと比較しても遅れていることがわかりました。GXの推進にはより一層の認知向上と、具体的な取り組みを進めるための支援制度の整備が必要であると考えられます。
3.GX推進における社員教育は「必要だが取り組めていない」が最多の49.7%
光熱費節約など即効性のある施策が先行、知識習得は今後の課題に
外部のノウハウ活用や支援の導入が今後の推進には不可欠
Q3.GXに取り組みを行っていると回答した方にに伺います。
あなたの事業所における以下の項目について、それぞれ当てはまるものをお選びください。
(n=167) ※複数回答可
Q4. GXに取り組みを行っていると回答した方にに伺います。
あなたの企業で今後GX(グリーントランスフォーメーション)の取り組みとして行いたいことは
何ですか。 (n=167) ※複数回答可
社員へのGX関連資格の取得や知識習得の推進・支援について尋ねた設問では、「必要だと思うが取り組めていない」と回答した中小企業が49.7%と半数近くに達し、「すでに取り組んでいる」と回答した企業はわずか6.0%にとどまりました。この項目は、必要性を認識しながらも実行できていない企業の割合が最も大きいことが特徴です。
また、今後の取り組み意向を尋ねた設問でも、「社員へのGX関連資格の取得や知識習得の推進・支援」は23.4%と5位に位置しています。この結果から、社員教育に対する取り組み意向は一定数存在するものの、他の具体的な施策に比べ優先度が低いことがうかがえます。
一方で、「光熱費や燃料費の節約」に関しては、既に「取り組んでいる」と回答した企業が47.9%と今後取り組みたい分野と回答した企業も70.1%と、どちらも最も高い数値となっています。今後取り組みたい分野の第2位は「再生可能エネルギーの利用・利用率向上」(39.5%)、第3位は「廃棄物の削減とリサイクルの推進」(31.7%)と続き、コスト削減や即効性の高い施策が優先されています。
この結果から、中小企業のGX推進においては、「光熱費や燃料費の節約」といった即効性の高い施策が先行して進められているとわかります。これは、政府の対策や業界内の成功事例が広く共有されており、経営者が情報を目にすることで取り組みやすい環境が整っているためと考えられます。一方で、社員教育などの取り組みはノウハウや事例が不足しており、必要性を感じながらも実行に移せない企業が多いのが現状です。こうした分野でも、成功事例の共有や外部支援の充実が、GX推進を加速させる1つのポイントだと思われます。
【有識者のコメント】中小企業のGX進化への対応の現状について
フォーバル GDXリサーチ研究所所長平良 学(たいら・まなぶ)
■経歴
1992年、株式会社フォーバルに入社。九州支店での赤字経営の立て直し、コンサル
ティング事業の新規立ち上げ、
全体統括を経て、2022年に新たに発足した中立の独立機関「フォーバルGDXリサーチ研究所」の初代所長に就任。
中小企業経営の実態をまとめた白書「ブルーレポート」の発刊、全国の自治体と連携し、地域の中小企業経営者に向けたDX、GXの講演、中小企業経営者向けのイベントの企画などを通じて、中小企業のGDXを世に発信している。

■コメント
前回のDXと合わせ、中小企業のGXについても調査を実施しました。
今回の調査で、認知度や取り組み度合いそれぞれで、DXよりGXの方が進んでいない、という現状が明らかになりました。具体的な取り組みを行っている企業においても、「温室効果ガス排出量の測定」の自社の現状を把握する取り組みを実施している企業はわずか2割弱でした。
GXに限らず、経営施策を行う場合には目指すべきあるべき姿を設定し、現状を把握し、そのギャップを埋めることが重要です。
ぜひ、伴走支援も活用し、GXを進める中小企業が増えることを期待します。
■フォーバル GDXリサーチ研究所とは
日本に存在する法人の99%以上を占める中小企業。この中小企業1社1社が成長することこそが日本の活力につながります。中小企業が成長するための原動力の1つにGreen(グリーン)とDigital(デジタル)を活用し企業そのものを変革するGDX(Green Digital transformation)があります。
フォーバルGDXリサーチ研究所は、中小企業のGDXに関する実態を調査し、各種レポートや論文、報告書などをまとめ、世に発信するための研究機関です。「中小企業のGDXにおける現状や実態を調査し、世に発信する」をミッションに「中小企業のGDXにおいてなくてはならない存在」を目指し活動していきます。
HP:https://gdx-research.com/

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