太平洋戦争末期、アメリカ軍の攻撃を受けて沈没した学童疎開船「対馬丸」。その悲劇を伝える舞台が8月に那覇市で上演されます。

この舞台に出演する俳優の吉田妙子さんは、対馬丸で犠牲となった級友たちへの思いを戦後80年を経てようやく語ることができました。

舞台「生きているから~対馬丸ものがたり~」は、対馬丸事件の生存者で2023年亡くなった平良啓子さんの体験をもとに、演出家の宮本亞門さんが脚本などを手掛けます。

疎開する学童を演じるのはオーディションで選ばれた子ども達です。

演出家宮本亞門さん:
主役は子どもたちです。子どもたちが勢いよく、いきいきと対馬丸に乗る前にどれほどの夢を見てどれほどの熱い思いで船に乗った。その希望は戦争があっという間に失くしてしまう。しかしその思いはなくなっていないと思っている

語り部を務める国仲涼子さんは、命の尊さ戦争の愚かさを伝える舞台にしたいと意気込みを語りました。

国仲涼子さん:
(出演する)子ども達がちょうど私の息子たちと同じ年くらいなので、母目線ではないですけどもそういう子たちにも戦争や命の大切さを伝えていけたらと思います

主人公の祖母を演じる吉田妙子さんは長年抱え続けた思いを語りました。

吉田妙子さん:
私も(対馬丸に)乗るつもりだったんですよ。私も行きたい、行きたいって言って

本土への憧れを抱いていたという吉田さんでしたが、病気の母に反対され、対馬丸に乗る事は叶いませんでした。

吉田妙子さん:
対馬丸が沈んだと聞いてその時は自分たちは助かったけど喜んでいいのか悲しんでいいのかわからない

対馬丸に乗った友人たちはどうなったのか・・・吉田さんは葛藤を抱えてきました。

吉田妙子さん:
海の底にみんな行ってしまってその人たちの冥福を祈るばかり。こっち(対馬丸記念館)に来て見たいけど、見たいけど怖くて見られない

この日初めて記念館を訪れ、乗船した友人の1人が健在だったことがわかりました。

吉田妙子さん:
戦後80年、いま対馬丸に一緒に乗ろうと思っていた人たちを知ることができて本当に今日来てよかった

吉田さんは平和に対する思いを舞台で伝えたいと話していました。

吉田妙子さん:
命の尊さ、生きているありがたさを分かって頂いて二度と戦争のないように願いたいですね

舞台は8月16日に那覇文化芸術劇場なはーとで上演される予定で、クラウドファンディングで製作資金を募っています。

沖縄テレビ
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