4月、熊本市にある13階建てマンションの洗車用スペースで50代男性が作業していたところ…上層階から、小学生の男の子が投げた泥団子が頭に直撃。頭に全治2カ月から3カ月の大けがをしました。

泥団子は作ってからかなりの時間がたち、陶器ほどの硬さだったといいます。
被害に遭った男性は現在も治療を続けていて、記憶力低下の後遺症もあるといいます。

あなたにも突然襲いかかるかもしれない、危険な落下物トラブル。
普段、私たちが注意できることは?
そして、自分たちが加害者にならないためにどんなことに注意をすればいいのでしょうか?
ぶつかったときの衝撃はどのくらい?
投げられた泥団子がぶつかった時の衝撃はどれくらいになるのか、サイエンストレーナーの千葉大学・桑子研氏によると…。

泥団子を90gと仮定すると、高さ30mから落とした場合、時速87km以上、頭に当たったときの力は22kg重以上になるということで、「2Lのペットボトル11本分の重さが瞬間的に働いたことになる」といいます。
「サン!シャイン」は災害危機管理アドバイザーの和田隆昌氏に話を聞きました。

災害危機管理アドバイザー 和田隆昌氏:
高層階からの物の落下というのは日常的に全国で起きている事象なんですけれども、高層住宅に住まれている方々は、被害者にも加害者にもなる可能性があるということは意識しておいたほうがいいですね。
峯村健司氏:
中国にいたときに、マンションの近くを歩いていたら後ろで「ボコッ」っていう音が聞こえて、外壁のコンクリート40cmくらいのが落ちてたんですけど…、気づかないんですよね。
和田隆昌氏:
特に地震とか台風で頻繁にそういうことが起きるので対策をするんですけど、やはり建物の近くを移動するというときは必ずそういったリスクがあるということは覚えておいてください。

遙洋子氏:
高い建物の、ギリギリ近づいた動線のほうが安全ですか?
和田隆昌氏:
落ちてくるものにもよります。外壁が落ちた場合は直下に落ちるケースもあるので。ひさしの中に入っていれば大丈夫ですけれども、近いからといって安全とは限りません。
罪は?補償は?
若狭勝弁護士によると、一般的に下に人がいると知っていてわざと落とした場合は「暴行罪」か「傷害罪」に問われる可能性があるといいます。

・下の人がけがをしなかった場合は「暴行罪」
2年以下の懲役または30万円以下の罰金。
・下の人がけがした場合は「傷害罪」
15年以下の懲役または50万円以下の罰金。
子供の過失の場合は保護者が損害賠償責任を負うことになります。

多くのマンションで特に高層階では、ベランダに物を置かない、洗濯物や布団を干さないなどの対策が取られていますが、落下物トラブルには色々なものがあります。
例えば、洗濯物、スリッパ、物干しざお、洗濯かご、アンテナ、ヘルメット、靴、メガネ、液体入りペットボトル、傘、植木鉢、寝具など…。

思わぬ落下で損害を出してしまったときの補償はどうすればいいのでしょうか。

老朽化などマンション側の不備が合った場合は管理会社の責任となり、「マンション総合保険」が適用されます。
マンション側に不備がない場合は個人の責任になります。
その場合、「個人賠償責任保険」に加入していれば、治療費・修理費・慰謝料などの損害賠償金、弁護士費用・訴訟の費用などが支払われますが、大手保険会社によると、ケースバイケースのためすべてが保険適用されるわけではないということです。

「個人賠償責任保険」は火災保険やクレジットカードに付帯されていることが多いものです。損保ジャパンが2021年に行った調査によると、加入率は約60%。
ファイナンシャルプランナーの飯村久美氏によると「一家で1人でも入っていれば、扶養家族や別居している学生の子供などにも適用される。年間数千円程度なので、加入して損はない」ということです。
MC 谷原章介:
ものを落下させないため、落下物でけがをしないために大事なことはどんなことですか?
和田隆昌氏:
被害に遭わないためには動線を常に意識することと、加害者にならないためには、強風が入るようなベランダというのは高層階にはいっぱいあります。外に置いてあるものを片付ける、放置しないということが重要です。
(「サン!シャイン」5月22日放送より)