脱毛サロン「ミュゼプラチナム」で給与未払いが続き、16日、元従業員らが運営会社MPHの破産を東京地裁に申し立てた。給与は3カ月以上支払われず、生活困窮者も出ている。元従業員は涙ながらに早期解決を訴え、会社の誠意ある対応を求めている。
給与未払いで従業員が破産申立て
脱毛サロン大手「ミュゼプラチナム」の給与未払い問題で、一部の従業員たちが東京地裁に運営会社の破産を申し立てた。

16日午後1時頃、「ミュゼプラチナム」の元従業員たちが代理人弁護士と共に会見を行った。
元従業員:
給与の未払いが続いていて精神的にも苦痛が長らく続く中で、通常の日常がまず過ごせない。ミュゼを信じて通ってくれたお客様に対しても申し訳ない気持ちが強く、申し立てをした。

全国に約170店舗を展開し、従業員2300人あまりを抱える「ミュゼプラチナム」。
一部の従業員に対し、2024年12月分の給与は70%しか支払われておらず、2025年1月〜3月は一切支払われていないという。
元従業員側・代理人弁護士:
このままMPH株式会社(運営会社)が何の監視・監督もなく経営すると、会社資産が毀損(きそん)されてしまうのではないか。
元従業員側・代理人弁護士は、運営会社「MPH」に対する破産の申し立ては、資産を流出させないための手段だと説明した。

会見では元従業員が、言葉を詰まらせながら涙声で訴える場面もあった。
元従業員:
従業員が今も窮地(きゅうち)に立たされ、辛い状態で日々過ごしています。絶対に、この件は放置してはいけない問題。1日でも早く解決に至ることを、私自身願っています。
給与が払われないことで、生活に困窮する人も出ているという。4月23日、フジテレビが元従業員に取材した際、当時の生活についてこう話していた。
元従業員:
未払いの額が給料の額面だけで75万〜80万円くらい。本当に生活が苦しくなってきている状態。
元従業員:
子どもの貯金も取り崩し始めて、自分の年金も個人年金も取り崩して。会社の未払いのせいで安定した将来が見えない。

会社からは未払いの給与について、長期的な支払いスケジュールが案内されたという。
元従業員:
今までも給与の遅滞があった際に「必ず何日まで、いつまで待ってください」と何度もあった。今回のこの件があったからといって、信用できるようなものではなかった。
元従業員:
会社から「退職勧奨」の形で半ば強制的に3月31日付で(退職)。「同意をしないと離職票は出さない、出せない」と同意せざるを得ない状況で、今は「退職済み」という形になっています。
経営権をめぐる対立なども発生
青井実キャスター:
中村さん、こうやって見ますと深刻のように感じますが。

SPキャスター中村竜太郎さん:
こうして我慢されていることを考えると、会社に対して忠誠心があったということですから、それを本当に裏切る形になったと思います。ですから、運営会社には本当に誠意ある対応を求めたいと思います。
青井キャスター:
その中で、お客さんにも思いを寄せているというのが印象的でした。
そして16日、元従業員たちが破産の申し立てを行ったが、脱毛サロン業界の去年の倒産件数は16件と過去最多を更新。中規模以上の企業で倒産が相次いでいる。
また「ミュゼ」を巡っては給与未払いだけではなく、経営権を巡る対立なども発生し、3月22日からすべての店舗で一時休業している。ホームページでは、6月1日から営業再開する予定としているが、今後の経営について16日に担当弁護士はこう話した。

元従業員側・代理人弁護士:
ホームページ等で「別法人を設立」、「ミュゼプラチナム直営店と同じ機器を導入」して、「顧客に追加料金なくお手入れを可能にする」と発表しているが、賃金すら3カ月以上支払われていない状況下で、お客さまから追加料金なく、“お手入れ”を提供できるのか。
今回の件について、イット!は運営会社の「MPH」にコメントを求めているが、現在のところ返答はない。今後、東京地裁が破産開始を決定するかどうか判断するという。
(「イット!」5月16日放送より)