東京で17日から、脱炭素社会を体験しながら学べるイベントが開催された。電動モビリティーや代替肉フード、アップサイクルアートなど、身近な工夫を通じてGXを楽しく伝える。専門家は、GXが全業種に関連しているという認知が広がることで、人材も増えると期待を語る。
脱炭素社会を楽しく学ぶGXイベント始動
私たちの未来を変える「脱炭素社会」を体験できる。

上中勇樹キャスター:
動きました、前進しています。スマホを前に倒すと、この電動モビリティーが動きました。

スマホで操縦できるトヨタ自動車の和風の電動モビリティー「&brella」に、伝統と最新技術が融合した電動の山車「ツナグルマ」。
17日から2日間、東京・江東区の東京ビッグサイトで「TOKYO GX ACTION」が開催された。
開幕を前に展示の一部が16日に報道陣に公開された。

「TOKYO GX ACTION」は、その名の通り、脱炭素社会の実現に向けた、グリーントランスフォーメーションを体験できるイベントだ。
上中キャスター:
電動モビリティーに乗っていると、どうしても窮屈な感じや圧迫感があるんですが、mercari R4D「poimo」は、ソファになっているので、くつろぎながら移動もできる画期的な電動モビリティーです。
イベントを主催する東京都は、次のように話す。

東京都 産業労働局 産業・エネルギー政策部 毛塚健太 計画担当課長:
このプロジェクト自体が2024年の9月からスタートしたが、10月に1回アンケートを実施している。GXの認知度を聞いたところ、2割ぐらいの方しか認知していなかった。こういった普及啓発を通して、都民の方の認知度を上げていくことが非常に重要。
食と創造力で実現する脱炭素な未来の暮らし
GXの取り組みは、さまざまな分野に渡る。

こちらのカレーもその一つだ。
上中キャスター:
容器を触ってみると、非常に冷たいんです。冷たいカレーは初めて食べるので楽しみです。冷たいんですけど、カレーのスパイスを感じて、なおかつおいしいです。
このカレーは、冷めた状態でおいしく食べられるように作られていて、再加熱のエネルギーを必要としない。

こちらは、大豆由来の代替肉「ソヤチャンク」を使ったビリヤニだ。
上中キャスター:
おいしい。これが代替肉なんですね。代替肉と聞いて食べないと分からないような肉肉しい食感です。

17日以降は、規格外の野菜や未利用魚を使い、フードロス削減につながるカレーなど、13の店がGXカレーを提供する。

ブースに並んでいるオシャレなバッグは、廃棄された傘をアップサイクルしたものだ。

また、会場を彩るアート作品は、よく見るとその一部に靴が使われている。
これらの作品の材料は海洋ゴミで、先ほどのバッグ同様、再び価値を与えられたものだ。
究極の目標は、このイベントの価値がなくなることだという。

TOKYO GX ACTION 総合プロデューサー 佐藤勇介さん:
今はエンタメ・モビリティーと色んな物を通じて脱炭素を普及しているが、このスタイルがある程度確立されれば、多くのイベントに出ているものはすでに脱炭素のものになっていく。こういう脱炭素イベンという形は、今後はなくなっていくと思う。
多角的な体験で若い世代にも広がるGX
海老原優香キャスター:
上中さん、取材してみていかがでしたか。
上中キャスター:
電動モビリティーや、アートやファッションというさまざまな視点で学べるのは面白かったですし、中でも印象的だったのが、食を通じたアプローチです。カレーひとつでさまざまな社会課題を解決できるというのが、新しい発見でした。担当の方も、これからのカーボンニュートラルの時代を生きていく、今の若い人たちの認知度を上げたいと話されていて、誰でも楽しく学べる工夫が詰まったイベントでした。
GXは全職種に関わるとの認識が必要
「Live News α」では、デロイトトーマツグループ執行役の松江英夫さんに話を聞いた。
海老原キャスター:
今後、こういった流れが広がっていくといいですね。

デロイトトーマツグループ執行役・松江英夫さん:
GXに携わる人たちがもっともっと広がっていくと盛り上がると思います。
デロイトトーマツグループが、2024年10月にフルタイム就業者約3000万人を対象に行った「グリーントランスメーション人材調査」によると、現在GXに仕事として携わっている方は8%(254万人)ですが、これからやってみたいという18%(550万人)の方を含めると、全体の約4分の1となり、大きな可能性があると思います。
(調査形式:Webアンケート)
海老原キャスター:
今後、GX人材を増やすには何が必要になるのでしょうか。

デロイトトーマツグループ執行役・松江英夫さん:
GXがすべての職種や業種に関係している認識を広げることだと思います。技術開発の方だけでなく、営業の方も携わりますし、メーカーだけでなく、金融やサービスなどさまざまな業種の方も携わるといった認知が広がっていくと、ますます盛り上げると思います。
我々の身近なところからGXに絡む人材が増えることによって、さらに世界が盛り上がる展開に期待します。
海老原キャスター:
再生可能なエネルギーを暮らしの中に取り入れることや、環境負荷の少ない乗り物を選ぶなど、脱炭素に向けた取り組みが、ますます浸透していきそうです。
(「Live News α」5月16日放送分より)