三菱UFJ・三井住友・みずほの3メガバンクが揃って過去最高益を記録した。主な要因は、企業融資などの本業収益や政策保有株の売却益の増加で、非金利収益の強化も進んでいる。一方、アメリカの政治不確実性や日銀の利上げ動向が、今後のリスクになると専門家は指摘する。
3メガバンクが過去最高益…合計“4兆円”目前に
大手銀行グループ3社の決算が出揃い、最終利益はいずれも過去最高を更新し、3社合わせて4兆円近い規模となった。

三菱UFJフィナンシャルグループが発表した2024年度の最終利益は、2023年度から25.0%増えて、1兆8629億円となった。

三井住友フィナンシャルグループも22.3%増えて、1兆1780億円と、グループとして初めて最終利益で1兆円を超えた。

また、みずほフィナンシャルグループは30.4%増えて、8854億円だった。

メガバンク3社の最終利益は、いずれも過去最高を更新し、3社の合計は4兆円近い規模の3兆9263億円となった。

金利のある世界が到来する中、企業への融資といった本業が好調だったことに加えて、政策保有株の売却益も業績を押し上げた。
金利上昇の収益押し上げ・非金利分野への展開も本格化
「Live News α」では、市場の分析や企業経営に詳しい、経済アナリストの馬渕磨理子さんに話を聞いた。
堤礼実キャスター:
メガバンクの好決算、馬渕さんはどうご覧になりますか。

経済アナリスト・馬渕磨理子さん:
2025年3月期の連結決算で、3メガバンクの最終利益を合わせると約3兆9000億円となります。こうした業績の好調を支えているのが、金利のある世界の復活ですね。
資金金利と呼ばれる、銀行本来の業務である融資などから得られる利息や、手数料が増えています。ここが確実に、成長に寄与してきています。
こうした金利環境の変化を生かしつつ、一方では、金利に頼らない収益の拡大にも力を入れています。
堤キャスター:
金利に頼らないというのは、どういったものなんでしょうか。
経済アナリスト・馬渕磨理子さん:
これは非金利収益と呼ばれるもので、主に融資以外の業務から得られる収益を言います。具体的には、コンサルティング業務、不動産売買、さらには資産運用などが該当してきます。
かつて、銀行員といえば、口座の開設や、定期預金の獲得に奔走していましたが、今は資産形成や、ライフプランの設計の頼れるパートナーとしての役割が増えてきていますね。
金利環境が追い風となる中、トランプ氏に警戒感
堤キャスター:
一方で、不安材料などについてはいかがですか。

経済アナリスト・馬渕磨理子さん:
今お伝えした、金利のある世界が収益を生む大きな追い風ならば、その逆の向かい風と言えるのが、トランプ大統領のいる世界です。
トランプ関税の影響が懸念されていて、銀行が引き受ける企業の業績や資金需要に不透明さが出てきています。
さらには、日銀は景気の動向などを見極めて、追加での利上げを判断するわけですが、銀行の利益の積み増しのところにプラスに働いてくる、この利上げが後ろにずれればずれるほど、銀行経営にとっては少しマイナスになってきます。
堤キャスター:
メガバンクは広く海外展開も行っていますけれども、ここにも影響がありそうですね

経済アナリスト・馬渕磨理子さん:
このトランプ大統領のいる世界で悩ましいのは、グローバル経済の動向と、地政学リスクにも強い影響を及ぼすことです。
海外事業の比重が高いメガバンクにとって、これはそもそも強みなんですけれども、やはりトランプ大統領の存在によって、世界経済の成長率や各国の金融政策、さらには国際紛争、貿易摩擦などが影響して、貸し出し需要であるとか、与信コストに影響を与える可能性がありそうです。
(「Live News α」5月15日放送分より)