ウォーキングの“常識”と言われてきた「1日1万歩」という目標。

しかし…群馬県・中之条町で65歳以上の全住民約5000人を対象にした研究では、1日平均8000歩、20分の「早歩き」をする人は、健康の割合が高く、高血圧症など病気の予防につながる可能性があるという結果が出ています。

下北沢病院 久道勝也理事長:
8000歩っていう数字が出ているんですけど、これは1つの目安であって、1人1人体型も違えば筋肉も違う、関節可動域も違うし、能力が全然違うじゃないですか。そもそもの能力を超えたことをするとかえってけがにつながってしまうのであくまで1つの目安だと思っていただければと思います。同じ年齢でも、例えば高齢者でもフルマラソンを走れるような方もいれば、身体機能が落ちてしまっている方もいますよね。

日本で唯一の足の総合病院・下北沢病院の久道勝也理事長によると、普段はいている靴底の減り方で間違った歩き方をしているかどうかがわかるといいます。
「サン!シャイン」では、久道理事長に、足を痛めない理想の歩き方、足の健康を保つ方法を解説していただきました。
靴底で歩き方チェック
歩き方に問題がある靴底の減り方は…

・かかと全体…重心が後ろに
歩行時、地面からの衝撃で腰痛の原因にも
・左右非対称…重心が偏っている
関節に痛みが出やすい
・内側だけ…バランスが体の中央に寄る
運動能力が低下。横に転倒しやすい
・外側だけ…衝撃を十分に吸収できていない
膝関節に負担。変形性膝関節症になりやすい
久道理事長に出演者の靴底で歩き方をチェックしていただきました。

久道勝也理事長:
谷原さんは、かかとの外側が減るのは正しいんですけれども、左右の減り方に差がありますね。具体的には左のかかとが強く使われていて、右側が弱いというのは、左右のバランスが悪い歩き方をしているんだろうなと思います。
松嶋尚美氏:
インソールとかで調整するんですか?

久道勝也理事長:
インソールだったり、靴の選択自体、正しい靴をはいているかどうかでだいぶ変わります。
武田さんも谷原さんと同じように、減っている場所(かかとの外側)はいいんですが、左右の減り方が違うのでバランスが悪いんだろうなと。
年齢にかかわらず左右均等に減っていてほしいんですよね。若くても左右非対称になっている人もいます。

久道勝也理事長:
靴のつま先側は内側の親指の方が減っていてほしいんですが、成田さんは、外側が減っています。
歩くときに、かかとの外側から親指の方に体重が抜けていくことで衝撃が吸収されます。しかし、小指側に抜けているということは衝撃吸収がうまくできていない歩き方をしているんだろうなと思います。
足元の荷重のトラブルって全部上に上がってきますから。膝も、股関節も、腰椎、脊椎まできますから。実は頭痛の原因になっている方も多いんです。

つま先の内側あたりとかかとの外側が左右で同じように減っているのが正しい靴底の減り方。
かかとから着地し、足裏全体をつけて親指の付け根で地面を蹴るのが正しい足の着き方です。

MC 谷原章介:
あんまり蹴るとすねが疲れる…。
久道勝也理事長:
すねの筋力は歩行するときに大事な筋力なので、それが歩行して疲れてしまうということは、すねの筋力が弱っているか、靴が合っていないので、足先をすごく上げて歩かざるを得ないような歩き方をしているんでしょうね。
理想の歩き方は…。

・視線は真っすぐに。視界に足先が入る場合は大股すぎます。
・へその下にある重心をブレさせない。ブレは2cm以内に抑える。
・親指を意識する。後ろ歩きで感覚をつかむ。

久道勝也理事長:
けがが少なく長距離歩けるというのが正しい歩行、というのが定義されています。
一番大事なのは「重心がブレないこと」です。丹田(へその下)が前後上下左右なるべくブレないのがいいです。
歩く力のカギは「アキレス腱」
歩く力を維持する上で重要なのは「アキレス腱」です。
アキレス腱の硬さのチェック方法があります。

足を腰幅に開き、手は前方に伸ばしてしゃがみます。その状態を少しキープしてから足を元に戻します。これができないと、アキレス腱が硬いということです。

アキレス腱が硬いと、歩くたびに足の裏に負荷がかかり、痛みにつながります。
筋肉をしっかり使うということは、ポンプが作用して血流がしっかり巡るということなので、アキレス腱が硬いと血流低下につながります。

〈柔らかくなるアキレス腱伸ばし〉
アキレス腱を柔らかくするには、伸ばすことが重要です。

壁に体重をかけて膝をゆっくり曲げながら30秒~60秒をキープ。
足を入れ替え各5回行います。
「つま先は真っすぐに」「後ろ足の膝は曲げない」「反動をつけない」ことがポイントです。
久道勝也理事長:
一番大事なのは「歩数」に過剰に意味づけしないこと。自分の足が健康な状態でなければやたら歩くとかえってケガにつながりますから。歩数を意識して実践する前に、最初に自分の足をチェックすることが大事です。
(「サン!シャイン」5月14日放送より)