コメの店頭価格が前年同期比で2倍近くになっている。子育て世帯の負担を軽減しようと、福井市は独自で“お米券”を配布することを決めた。

政府の備蓄米放出後も下がらないコメの価格。5キロで4233円と17週連続で最高値を更新中だ。

子育て世帯に5000円分の県産米購入券
福井市は9日の臨時議会で、市内の子育て世帯を対象に5000円分のコメの購入支援券を配布する議案を提案。西行茂市長は「コメ購入による家計負担増の影響を強く受ける子育て世帯へ迅速な支援を行うことで1日でも早く負担軽減を図り、消費減退によるコメ離れを防ぎ、市内の農家を支援する」と提案理由を述べた。

5000円分の支援券の配布対象は18歳以下の子供がいる約2万4000世帯。ひとり親世帯には3000円分を上乗せする。事業予算は1億5000万円。農家を支援するため、購入対象は県産米に限定している。
議案は可決され、新米が流通する前の7月上旬を目途に各家庭に郵送されることになった。

福井県内でコメの購入支援券の配布を決めた市町は、9日時点では福井市だけ。一方、県では2025年2月から子育て世帯を対象にコメの購入支援をしている。県産米を購入する際、1世帯あたり月1000円分の地域通貨「はぴコイン」をプレゼントするというもの。8月末までに5回まで応募できることになっている。

「分け隔てない支援」求める声も
コメの購入に関する行政の支援制度について県民に話を聞いた。
県の支援制度を「2回利用した」という女性は「コメは主食なので支援があると(価格を)気にせず買いやすい」と話す。また、別の子育て世帯の女性も「嬉しいし助かる」と歓迎の声を上げる。

一方で、支援対象ではない世帯の人からは「娘家族にとっては支援は助かると思うが…うちらのような年金生活者にも支援はしてほしい」「その世代の人にはいいかなと思うが、分け隔てなく支援があるとありがたい」という意見も聞かれた。

“少量買い”にシフト
コメの価格が高止まりする中、福井県内のスーパーでは消費者の買い方に“ある変化”が現れている。
福井市のAコープやしろ店では4月10日から備蓄米を販売している。その売れ行きは好調で、入荷後5日以内には売り切れるという。そのため山上剛副店長は「先週までは1週間に150袋ずつ仕入れていたが、今週からは200袋に入荷を増やした」と話す。

ただ、依然として下がらないコメの価格について買い物客は「ちょっと異常。備蓄米が出たのに値段が上がっていくのはおかしい」「これまでは銘柄を気にして買っていたが最近は安いものを選んでいる。どうしても必要だから買わないと」と現状を嘆く。

県内でもコメの価格が下がらない理由について山上副店長は「(備蓄米は)ハナエチゼンしか放出されていないので、他の品種の価格に影響する要因が見受けられない」とする。

価格高騰が“買い控え”にはつながっていないとする一方、客の購入傾向に変化があったという。山上副店長は「今まで10キロを買っていた客が5キロを買う傾向にある」とし、これまでの10キロから5キロに主力商品を移して販売をしている。
購入時の金額を抑えるためか、少量の商品にシフトするという消費者の切実な現状が浮かび上がってきた。

比較的安価で人気が高い備蓄米。この店では新米の入荷が始まる7月末まで販売することにしている。
