最大11連休となった今年の春の大型連休。稲作農家にとっては田植えに大忙しの連休となったようだ。ただ、コメ不足が続く中、今年のコメ作りは例年との違いがみられた。コメの高騰も続くが、農家からは「やっと、この値段になったという感じ」と本音もこぼれていた。
大型連休“田植え”作業に追われるコメ農家
田植えの最盛期である大型連休。各地の田んぼで作業に追われる農家の姿があった。

連休終盤を迎え、天気に恵まれた新潟市江南区では、田植え作業のピークを迎え、家族総出で作業を急ぐ農家もいた。
知り合いの農家を手伝いに来ていた男性は「いっぱいとれればいいなと思っている。豊作になるように、お祈りしながら田植えをしている」と今年の豊作を願っていた。
首都圏からの問い合わせ殺到 全て“主食用米”に切り替え
一方、今年は例年とやや違う田植え作業となっている農家も少なくないようだ。

「東京とかは新潟に比べれば、コメが高い。それでまた『送ってもらえませんか』という問い合わせがある。今年はおかげ様で、秋の収穫まで在庫がもつか、もたないか」
こう話すのは、新潟市江南区で家族とともに30年以上コメを作る波多野誠一さん。約6haの田んぼで、コシヒカリやコシイブキを栽培している。
コメ不足や価格高騰が続く中、波多野さんのもとには、今年に入り首都圏の販売業者などからの問い合わせが殺到。
通常であれば、去年に収穫したコメは今年の秋ごろまで在庫があるはずが、すでにほどんど残っていないという。
こうした状況に、波多野さんは「加工用米はなくして、全部普通の一般米で売ることにした」と話す。
これまで毎年生産する約30tのコメのうち、3割を加工用米としてきたが、今年は全て主食用米に切り替えた。
コメの販売価格上昇に喜びの声「これまでが安すぎた」
一方、コメの価格については、「俺らからすれば、やっとこの値段になったという感じ。一時的なコメの高騰ではなくて、これぐらいの値段で推移して行ってもらえれば、一番農家としてはうれしい」と喜びの声をあげる。

「資材費や労力を考えると、これまでは価格が安すぎた」と話す波多野さん。自身もコメ農家だけでは食べていけず、現在も地元で造園業のアルバイトをしながら生計を立てている。
そんな中、販売価格が上がったことで、収入の増加が見込めるだけでなく、家族もコメ作りを前向きに手伝ってくれるようになったという。
この日、一緒に田植え作業をしていた息子に対し、「息子は息子の暮らしがある、コメの値段が安くて、農家を継げと今までは言えなかった。田植えの手伝いをやってくれるのはうれしい」と素直な思いを口にした。
コメの価格が高騰し、消費者のコメに対する品薄感が広がる中、消費者にとっても、生産者にとっても今年の豊作が期待される。
(NST新潟総合テレビ)