歯止めがかからないコメの値上がり。2025年4月20日までの1週間に販売されたコメの平均価格は5キロ当たり4220円で、16週連続で過去最高値を更新した。

苦渋の決断 麦を混ぜ“かさ増し”

福岡市博多区の弁当店「やっこい」。人気のチキン南蛮弁当には、蓋が閉まらないほどのご飯が盛られる。この弁当店では、購入客にお腹いっぱいになってもらいたいと6年前のオープンからご飯の大盛無料サービスを続けている。

弁当店「やっこい」名物”ご飯の大盛り”
弁当店「やっこい」名物”ご飯の大盛り”
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しかし弁当店の宮坂裕司さんは「コメの価格が倍になったでしょ。だから今、麦をちょっと入れている」と話す。この1年でコメの仕入れ価格が倍になり、白米に1割程度の麦を混ぜて、かさ増しする苦渋の決断をしたのだ。

宮坂さんは「ご飯の量を減らすわけにいかないから、何とか耐え凌いでいる。『備蓄米が出た出た』って言っているけど、全然、こっちに値段が響かないし、逆に上がってる。下がる傾向が全然見られない。この先どうなるか全然わからない」と不安を隠さない。

値上がり続けるコメ。一向に歯止めがかからない。

不足する国産米 増加する輸入米

牛丼チェーンなどを展開する『松屋フーズホールディングス』は、国産米の不足に対応して2024年5月からアメリカ産と国産のブレンド米を使用していた。しかし2025年4月からは、アメリカ産のコメ『カルローズ』に100パーセント切り替えている。

また外食大手『リンガーハット』もコメの高騰を受け、現在、国産米を使用しているチャーハンに外国産米をブレンドすることを検討していると明らかにした。

さらに、コメ売り場にも動きが見られる。福岡市内のディスカウントストア。取材した5月2日に並んでいたのは、入荷したばかりのアメリカ産のカルローズだ。

価格は10キロ6802円で、5キロに換算すると3400円ほど。この店では国産米が品薄になった2024年5月から、かつて取り扱っていたカルローズの販売を再開。コメの値上がりとともに売れ行きは好調で、店舗によっては入荷した日に売り切れることもあるという。

『ミスターマックス』広報課の丸山佳祐さんは「カルローズ再開時は、初めての購入には、なかなか手が出辛いといった声もありましたが、徐々に販売数量が増えていますので、一度お試し頂いたお客様にはご支持頂いている。国産米の供給が、いま難しい状態ですので、そのなかで『次はいつ入荷するの?』という声も頂いています」と話す。

購入者も続々と現れた。話を聞くと「カルローズがあるって話を聞いたから買いに来た。だってこれ、国産米とあまり味が変わらない。安くて、これでいいですよ」(男性)や「国産米は高いじゃないですか。安いほうがいい。気持ちの持ちよう。国産米だと思って食べる」(女性)などと概ね好評のようだ。

アメリカ産と台湾産を食べ比べ

また福岡市内のドラッグストアでは、台湾産の”台湾米”を販売。価格は5キロ3598円だ。

5キロ3598円の「台湾米」
5キロ3598円の「台湾米」

カルローズと台湾米。食べ比べた記者によるとカリフォルニア米は、普段、食べている国産米とさほど変わらず、食べやすいという。カレーや牛丼になっていたら分からないのではないかとのことだ。

カリフォルニア米に比べると台湾米は、あっさりしている食感だという。パラっとしているので、チャーハンなどにはピッタリではないかとのことだ。

コメの価格が上がり続けるなか、福岡でも広がる輸入米導入の動き。政府内では安定供給のため、アメリカ産米の輸入を拡大する案も浮上しているが、一方で「国産離れ」を懸念する声もあり、より深い議論が求められるところだ。

(テレビ西日本)

テレビ西日本
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