特殊詐欺被害が急増しており、特に警察官をかたる詐欺が目立ってきている。電話で警察官を名乗る者から「口座が不正に利用されている」「逮捕状が出ている」等と告げられるが、ある10代の女性は詐欺に気づいて被害を免れた。一方、70代の女性は同様の手口で3400万円を騙し取られた。被害者は高齢者だけでなく若者にも広がってきている。

急増する特殊詐欺被害

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県警によると、2024年、宮崎県内での特殊詐欺被害の認知件数は74件。被害総額は2億235万円だった。2025年は、3月末時点で35件、総額1億6535万円。わずか3カ月で2024年の半分を超える被害額となっている。

特殊詐欺には、「オレオレ詐欺」や「架空料金請求詐欺」などいくつか種類があるが、警察によると、最近増えてきているのが「警察官をかたるケース」とのことだ。今回、UMKテレビ宮崎は、実際の音声を入手した。

詐欺電話の実際のやりとり

実際の音声・警察官をかたる男:
口座が麻薬取引とマネーロンダリングに関与していることが判明しました。

4月、福岡から宮崎に帰省中だった10代の女性に、知らない番号から一本の電話があった。

電話を受けた女性:
最初、ピーって鳴って、機械音で「あなたの携帯番号は停止されます」と聞こえて、そしたらコールセンターみたいな女の人につながって、総合通信局って言ったのかな?「なんで電話番号停止されるんですか?」と聞いたら、「私の電話番号を使って民間の人に迷惑メールなどを送っている」と言われた。

心当たりがない女性に対し、電話口の女は、東京の警察に電話するよう促したという。女性が指定された番号に電話すると、イイヅカという警察官を名乗る男につながった。

実際の音声・警察官を名乗る男:
口座が麻薬取引とマネーロンダリングに関与していることが判明しました。関与している金額は6800万円に上ります。これはいったいどういうことですか?

電話を受けた女性:
知らないです。

実際の音声・警察官を名乗る男:
分からないですよね?

電話を受けた女性:
カナダ銀行って何ですか?

実際の音声・警察官を名乗る男:
カナダロイヤル銀行です。

女性は、警察官を名乗る男から「カナダロイヤル銀行で6000万円、人身売買や薬物などで使用している」と言われたという。

不審に思った女性は、警察官であることを証明するよう伝えると、LINEに誘導された。女性が「警察がLINEを聞き出すことがあるのか」と追及すると、男は焦りを見せたという。

実際の音声・警察官を名乗る男:
SNSを使わないと先ほどおっしゃっていましたが、それが変更になってLINEオッケーという指令が出ている。

結局、特殊詐欺だと気づいた女性は電話を切り、お金をだまし取られることはなかった。

電話を受けた女性:
こういう詐欺電話って、私のような若い人にもかけてくるんだと驚いた。お年寄りなどにもだまされてほしくない。かかってきたら、焦らないでほしい。

3400万円をだまし取られた事例も

この女性は被害に遭う事はなかったが、宮崎県内では、警察官を語る特殊詐欺で被害も出ている。

2025年1月から2月にかけて、都城市の70代の女性に警察官や検察官を名乗る男から電話があり、「逮捕状が出ている。金を購入すれば換金して紙幣を調べる」などと言われた。

女性は指示された通り、金塊約1800万円相当を購入。指定された場所に置いたところ、持ち去られた。

その後も、検察官を名乗る男から「調査にもっとお金が必要」などと連絡があり、女性は数回にわたり、指定された口座に約1600万円の現金を振り込み、合計約3400万円をだまし取られた。

SNSやビデオ電話でやりとりしないで!

県警によると、2024年1年間で宮崎県内で警察官をかたる特殊詐欺被害の認知件数は21件、被害総額は1億4077万円だったが、2025年は1〜3月で10件発生。被害総額は1億4073万円に上る。

警察官を語る特殊詐欺の被害にあった年齢別の割合で見てみると、80歳以上が最も多いが、他の年齢層もまんべんなく被害にあっている。

その手口は、まず携帯電話などに「口座が不正に利用されている」「逮捕状が出ている」などとして、SNSやビデオ通話に誘導。そこで制服を着たニセ警察官が画面に登場し、ニセの警察手帳などを見せて信じ込ませるということだ。

警察は、電話で警察がSNSなどへ誘導する場合は詐欺だとしている。怪しいと思った相手とは、絶対にSNSやビデオ通話でやりとりをしないでほしい。

(テレビ宮崎)

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