1月に埼玉県八潮市で起きた道路陥没事故。
いまだ見つかっていない、転落したトラック運転手の捜索に向け、5月1日に警察や消防などが事故後初めて下水道管の中に入り調査を開始しました。

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八潮市の事故後、全国で“インフラの老朽化による事故”の懸念が叫ばれるさなか、4月30日未明に、京都市でも陥没した幹線道路から大量の水があふれ出し、大規模な冠水が発生しました。

現場は、京都駅からわずか1kmほどの国道1号線。
現場近くの住宅街で撮影された映像を見てみると、水が流れはじめてから1分もたたないうちに、道路は川のような状態になっていくのが分かります。

1分もしないうちに、みるみる冠水していく
1分もしないうちに、みるみる冠水していく

近隣住民:
雨かなと思って気が付いて外を見たら、(水が)ざーっと川のように流れていたので、消防の方にすぐ電話しまして。水は、くるぶしの上くらいまで。

時刻は午前3時半。未明に発生した冠水に、気が付かなかった住民も多かったのか、その後駆けつけた消防が住宅を回り状況を知らせる姿も。

道路が冠水してから約3時間半経過した、午前6時半ごろになっても水の勢いは収まりません。中には、駐車スペースが半地下になっていたため、車が水没したという住宅も。

被害に遭った住民:
外見たら、えらいことになっていると。こんな感じで駐車場が冠水しているという状態で、大変ですね。もう廃車だと思います。砂も入っているので、動かないでしょうね。

午後1時すぎにようやく水は止まったものの、その後も交通規制が行われ、さらに水が濁るなどの影響が、現場を中心に約600mの範囲にまで拡大。

京都市は6台の給水車を出動させるなど、対応に追われました。

水道管破裂の影響で、水道からは濁った水が
水道管破裂の影響で、水道からは濁った水が

スーパーフレスコ五条店 小西浩生店長:
普段は(水道水で)ものを洗ったりとか、食材を洗ったりとか、そういったことに使っています。今はペットボトルの水で対応しています。

――代用せざるを得ない?
そうですね、食品の安全のためにも。

なぜ?長期間放置された水道管…工事進まない理由とは

京都市水道局によると、今回の大規模な冠水の原因は「配水管の老朽化」によるものだといいます。現場からは、中央が大きく破損した直径約30cmの水道管が掘り出されました。

一般的に上水道管の耐用年数は40年ですが、当該の配水管は66年前の1959年に敷設されたもので、2025年1月に行われた漏水調査では漏水は確認されなかったものの、現在行われている周辺の配水管敷設替え工事で、撤去する予定だったといいます。

まさにこれから撤去しようという時に起きてしまった事故。
水道事業に詳しい近畿大学経営学部の浦上拓也教授は、今回の事故の原因をこう話します。

近畿大学経営学部 浦上拓也教授:
(水道管の)内側と外側の腐食が進みますと、水圧がかかっていますので、どうしても弱いところが強く影響を受けて一気に破損すると。

――周辺で配水管を替える工事を行っていたということですが、周りが新しい物になったことで古い部分に負荷がかかった可能性は?
その可能性は十分に考えられます。漏水を直せば直すほど他の弱いところが漏水しますので、実は100%漏水を押さえることはできないんです。

――もっと早いタイミングで新しい物に換えられないのか?
(耐久年数の)40年というのは、減価償却のための40年で、水道管の性能を保証する40年ではなく、実は京都市ではこの水道管の材質に関しては60年もつという想定での工事計画なんですね。ただし、66年経過していましたので、そこは本当に時間の問題で。もうすでに更新の計画には入っていましたけども、更新の前に事故を起こしてしまったと。

――今回のようなケースは多いのですか?
(上)水道の方が早くに整備されましたので、老朽化が非常に進んでいます。下水道は整備がずっと遅れて進んでいますので、実は下水道の老朽化というのは、10年後、20年後の問題だったんですけど、ただそちらも八潮市で事故が起きましたので、国交省は緊急点検を進めているというところです。
大都市ほど老朽化が進んでいます。東京は(水道の整備が)早いですから、老朽化の進行も早かったのですが、大規模事業体ほど技術力やマンパワー、財力がありますので、おそらく東京都はかなり計画的に更新が進んでいると思います。

――水道管の交換は税金でまかなわれていない?
水道料金でまかなうことになっています。施設を作るときは半分政府から補助があるのですが、交換については、水道料金でまかなうことになっていますから、結果的に水道料金を上げられない自治体は老朽化も放置されたままリスクが高まっているという状態です。

近畿大学経営学部 浦上拓也教授:
水道料金は地方自治体の議会で承認されなくてはいけない、非常に政治的な影響を受けやすい料金になります。
ですので、住民の皆さんの代表である議員が「水道料金を上げます」と声をあげにくいとなると、水道料金を低くすることが目的になってしまい、結果的に我々は非常に安い水道料金で生活できていますが、それは“老朽化を放置している”ということの裏返しになりますから、更新を進めるためには、一定の料金を上げていくということも考えていかないといけない。
(「サン!シャイン」 5月1日放送)