2025年は昭和元年から数えてちょうど100年目にあたる節目の年。静岡県熱海市には半世紀前に開業し、今も当時の雰囲気を残した人気のホテルがある。
人気観光地・熱海の老舗ホテル
伊豆半島の玄関口にして東洋のモナコとも称される熱海。

スイーツの食べ歩きで注目を浴び、最近でも老若男女問わず多くの人でにぎわいを見せているが、昭和30年代~40年代にかけては新婚旅行や社員旅行の聖地といわれ、昭和44年度には宿泊客数が532万人を記録した。

そんな熱海が最も活況に満ちていた昭和48年に開業した老舗、それが350ある客室すべてがオーシャンビューというホテルニューアカオだ。
ロビーに入ると大きな窓越しに見える相模灘の絶景が印象的で、杉山聖也マネージャーは「来館者が到着して驚くポイント」と胸を張る。
また、ロビーに並ぶ細かな装飾が施されたイスや重厚なソファ、クラシカルなシャンデリアは開業当時の物をそのまま使用しているという。

そして、このロビーに現在設置されているのが黒電話やおもちゃといった懐かしの娯楽グッズを無料で貸し出す“昭和レトロバイキング”で、杉山マネージャーは「部屋へと自由に持ち帰り遊んだり、ロビーでの待ち時間に楽しんだりしてもらうもの」と狙いを話す。
開業当時の香りが至る所に
続いて案内されたのがメインダイニング錦。

古代ローマの宮殿を思わせるシアターレストランで、収容可能人数は圧巻の500人だ。
ここではビュッフェスタイルで夕食は和洋中あわせて90種類、朝食は70種類の料理を味わうことができるが、イスやテーブルの“枠自体”は開業当時のままで、座面や天板を張り替えて使用しているそうだ。

さらに、ダンスホールやバーラウンジとして使われるサロン・ド・錦鱗を半世紀以上にわたって照らし続けるシャンデリアはスワロフスキー製で、開業当時の価格で何と1000万円。
また、昭和の飲み屋街を思わせるにぎわい横丁では、昔懐かしのテーブルゲームや手打ち式のパチンコ、射的などを楽しむことができる。
一度は歴史に幕を下ろすも…
新型コロナウイルスの感染拡大に伴う宿泊客数の落ち込みなどを理由に4年前、一度は歴史に幕を下ろしたものの、新たな運営会社のもと2023年にリニューアルオープンしたホテルニューアカオ。

内装を大きく変えることなく、あえて昭和の華やかさと美しさを残すことにこだわり、屋上に掲げられたレトロな電飾看板も大切に使い続けていて、礒崎慎 総支配人は「ホテルニューアカオが最新型のシティホテルに生まれ変わるというのは全然イメージが違うし、利用客も求めていないと思うので、このホテルの良さを残しつつ、どうリニューアルできるかというのが一番のポイントだった」と振り返る。

このため昭和を知る世代からは若き日の思い出が詰まった場所として、一方、若い世代からは写真映えするスポットとして人気を博し、50代女性が「昭和的な感じがすごく出ていて、私たちの年代にしっくりくる」と話せば、20代男性は「普段は東京に住んでいて、レトロで趣のある空間はなかなか感じることのできないので、とても居心地が良い」と口にする。

ノスタルジーあふれる昭和の世界で非日常を感じることができるホテルニューアカオ。
一度、訪れてみてはどうだろうか。
(テレビ静岡)