2025年のゴールデンウィークが始まったが、物価高や円安による影響はあるのだろうか。
Mr.サンデーは、“巣ごもり”から海外旅行を楽しむ人たちまで、様々なゴールデンウィークの過ごし方を取材した。
「今回は高すぎ」“花見ガニ”にも物価高直撃
ゴールデンウィークの楽しみといえば「お花見」というのが青森県。例年、この時期に桜が満開を迎えるのだ。

週末、花見の様子を見ていると、花見客の皿には…カニ!?別の花見客も、さらに別のグループもカニを食べている。まさに“花よりカニ”状態だが…。
花見客:
トゲクリガニです。陸奥湾の。毛ガニみたいに身が詰まっていて、濃厚ですごくおいしいですよ。ジューシーで美味しい。
花見客:
正月に食べる餅と同じくらいのものかな。春の風物詩。
花見客:
雑煮を食べなきゃ年越しできないのと同じだよ。トゲクリガニ食べなきゃ花見が終わらない。
聞けば、地元・陸奥湾で獲れる毛ガニの仲間「トゲクリガニ」を食べるのが、青森流の花見だという。
市内のスーパー「スーパートーエー」をのぞくと、鮮魚コーナーの一角に人だかりができいて、その先にはトゲクリガニの山があった。

スーパートーエー鮮魚部門担当 新井田剛専務:
花見の時期だと、トゲクリガニはいつもの1.5~2倍ぐらいは売れる。
青森でいつから「花見にカニ」となったのかは定かではないというが、ちょうどゴールデンウィークの花見シーズンに旬を迎え、古くから当たり前のように食べられてきたトゲクリガニ。しかし2025年は、当たり前ではない事態が…。

スーパートーエー鮮魚部門担当 新井田剛専務:
不漁に加えて物価高もあるんで、今日だとメスは1200~1500円ぐらい。(トゲクリガニのメスは)値段が高いのでちょっと売れる状況じゃない。
卵の濃厚な味わいで人気のメスだが、2025年は物価高の影響もあって価格が例年の1.5倍(スーパートーエーの場合)に。そこで、人によっては…。
花見客:
ちょっと高くて手が出ないんですよ、安ければ買ってるけど。
花見客:
今回は高すぎ。まぁいいか今回は。
親子でオンライン料理教室に参加
物価高に揺れる2025年のゴールデンウィーク。人々の過ごし方について調査したアンケートによると、圧倒的に多かったのが「自宅で過ごす」37.3%で、2024年よりも3ポイント以上増えている。
ゴールデンウィーク初日の26日、Mr.サンデーが訪ねたのは、さいたま市に住む古暮さん一家。長女は受験勉強、長男は部活で忙しいというが、夫婦と小学1年生の釉菜ちゃんも旅行などには行かず、自宅で過ごすという。

その様子を見せてもらうと、親子仲良くキッチンへ。だが、ただ料理をするだけではなく、ノートパソコンとにらめっこしている。実はオンライン料理教室に参加していたのだ。
講師は山口県から、受講生は古暮さんの他にも、北は新潟から南は熊本まで22組が参加していた。
食材(約4000円)は自分で用意し、2時間で参加費3500円。そうして作る料理は、巣ごもりゴールデンウィークにありがたいものだという。
母・由美子さん:
危ない、危ない。
釉菜ちゃん:
やる。
母・由美子さん:
やる?大丈夫?そうそう、うまい、うまい。
積極的に料理を楽しむ釉菜ちゃん。
母・由美子さん:
火つけちゃおうか?
釉菜ちゃん:
うん!
母・由美子さん:
ごま油の良い香りがするね。
なるほど、ママこれやって良い?ここに入れよっか。おおお、うまいうまい。
娘の様子が気になる父・俊一さんだが…。

ディレクター:
順調かな?誰に食べてもらいたいですか?
釉菜ちゃん:
ママ。
“新鮮メニュー”で家族団らん
レッスン2時間を終え、完成した料理は「サワラのムニエル豆腐マヨタルタル」「焼きナスのニラだれ」「イカのマリネ」「切り干し大根のナムル」など実に9品。翌日以降の作り置きにもなるので、連休中の料理の手間も省けるという。

参加者に話を聞くと…。
新潟から参加した堀内さん:
物価高で旅行に行きたくても値段を見るとやっぱりやめようかなぁという気になっていましたが、家の中ですごく私自身も楽しいですし、家族にも(料理を)喜んでもらえるので。
古暮さんも、作った料理で家族団らん。
母・由美子さん:
あ、これおいしいね。
長女・美沙さん:
いつもと違う感じで美味しいです。
母・由美子さん:
楽しいですね、日常だけど非日常みたいな。これだけいっぱい(9品)作れて安いですよね。
以前は、ゴールデンウィークに海外旅行にも行っていたという古暮さんだが、今年は近場に出かけるくらいで、子どもや夫とゆっくり過ごすという。
母・由美子さん:
家族で一緒に過ごす時間って限られてるじゃないですか。大きくなったらいなくなっちゃうっていうか、それを考えたら今は楽しいなと思いますね。
物価高で旅行がしにくくなったからこそ、家族といられる幸せを再認識。
海外旅行客の“共通点”
一方で、物価高や円安が続く中でもこのゴールデンウィークに海外旅行に出かける人は2024年より増えているとの調査結果も。どんな人が海外へ飛び立つのか?空港で取材すると、ある共通点が見えてきた。
シンガポールへの旅行客:
シンガポールに向けてフライト飛んで、マリーナベイ・サンズに泊まります。
(旅の予算は)1人25万から30万ぐらいだと思います。
ゴールデンウィークにシンガポールへ旅行に行く女性。その懐事情を聞くと…。

――給与は上がりましたか?
シンガポールへの旅行客:
上がりました。2~3万ぐらいなんですけどね。手取り30ぐらいですかね。
昨今の賃上げの波に乗り、給与がアップしたという。
ある調査によると、給与が増えた人が2025年のゴールデンウィークにかける平均予算は、6万5130円。給与が減った人や、変動がなかった人と比べ、圧倒的に多い。
23歳、社会人2年目という2人も…。

海外旅行客A:
私は、今の新卒1年目が私より(初任給)2万円高くて。だから私のも上がりました。平等にしようみたいな。
そんな2人の旅行先は…。
海外旅行客A:
フランスに、1週間弱ぐらい。
――予算は?
海外旅行客A・B:
無限で!
海外旅行客A:
いくら使うかも全然決めてないんで。
海外旅行客A・B:
まあ、若いうちにしか行けないから。
2人が、旅先のパリから送ってくれた動画には…。
「2200円のオムレツと2900円のチーズバーガーでーす。あとパン」

ランチにオムレツとチーズバーガーを食べ日本円で約5000円。予算は「無限」と言う2人も、早速、円安の影響を痛感したという。
海外旅行客B:
高いね~みたいな。夜ごはんとかはスーパーとかで買ってもいいのかなとは思います。
物価や社会情勢で変化するGWの過ごし方
そんなゴールデンウィークも、歴史を振り返れば物価や社会情勢によって大きく変わる様々な過ごし方がある。

JTB総合研究所フェロー 山下真輝氏:
「ゴールデンウィーク」という言葉は、1951年に映画業界が宣伝目的で作ったのが始まりというふうに認識しています。
映画が“娯楽の王様”だった時代、祝日が多い4月後半から5月はじめに大作を投入し、この期間をゴールデンウィークと呼び始めたという。
当初は祝日に挟まれた5月4日が平日で、まだ週休2日制も導入されておらず、大型連休ではなかった。

JTB総合研究所フェロー 山下真輝氏:
働きすぎの日本人というのが当時背景にあったと思う。1960年代のいわゆる高度経済成長期。
休みより仕事第一の「モーレツ社員」が流行した時代も終わり、80年代に祝日法の改正で5月4日が休日となり、週休2日制が本格導入されると、3連休が誕生した。それと並行して過ごし方も激変した。

新幹線や高速道路など交通網が整備され、国内旅行が活発化。そして、ゴールデンウィークの夜行列車は、窓から乗り込むほど乗客が殺到。また、観光名所も各地に誕生した。
1983年には、ゴールデンウィーク直前に東京ディズニーランドがオープン。この年、約993万人が詰めかけた。

そして、80年代後半になって急拡大したのが海外旅行。政府主導でパスポートを取りやすくするなど「海外旅行倍増計画」が進むと、4年後の1990年には年間の海外旅行者数が1100万人に達した。
それを大きく後押ししたのが…。

JTB総合研究所フェロー 山下真輝氏:
円高とかそれから、航空運賃の自由化っていうのがかなり大きかった。ハワイとかグアム、それからアメリカ西海岸、ロサンゼルスだったり、パリとかローマのような主要都市に行く旅行は比較的お安く商品もありましたんで。若い方も誰でも楽しめる体験ということに変わっていった。
当時は、今とは真逆の超円高。円安の現在は1ドル=140円台だが、1995年には1ドル=79円台にまで円高が進んだ。バブル崩壊後、景気は下降しても、人々はゴールデンウィークに海外旅行を楽しんだ。
変わりゆく時代時代を映してきたゴールデンウィークの過ごし方。始まったばかりの2025年は、どんな連休になるのだろうか?
(「Mr.サンデー」4月27日放送より)