ASEAN=東南アジア諸国連合の首脳との会議に出席。対面での外交デビューを果たした高市首相。
高市首相:
日本の首相として、初めての外国訪問でASEANリーダーの皆さんとお目にかかることを大変光栄に思います。

26日行われた会議では、英語でのスピーチを披露。当初は日本語で用意していたが、自ら英語で話す判断をしたという。
そんな中…
ディレクター:
今「喜び」の値が?
CAC identity表情解析事業責任者・高橋亮太氏:
今「喜び」の値が99とMAXに近い形になっております。
Mr.サンデーがAIを使って行ったのは、歴代総理の表情分析。
その目的は、高市首相をめぐるある疑問に迫るためだ。
若者たちは首相の演説に「好印象」
高市首相:
不安を希望に変え、強い経済をつくる。そして、国家国民のため、果敢に働いてまいります。
10月21日に誕生した高市政権。FNNが政権発足後に行った世論調査では、内閣の支持率は75.4%。9月に行った石破政権の支持率と比べ2倍に跳ね上がった。
さらに、18~29歳の若い世代からは89.1%と高い支持率に。
実際、街で聞いてみると…
19歳会社員(支持する):
「働いて働いて働く」って言っていて、日本という国に対して全力を感じられる。
18歳社会人(支持する):
やっぱり今までの人たちと比べて、なんかやる気を感じるっていうか。
20代助産師(支持する):
制度の改革とか、迅速にやって頂けるかなというところで期待してます。
さらに、高市首相を支持する理由として多く聞かれたのが…
20代公務員(支持する):
表情も話し方も、結構「日本変えるぞ」みたいなのは伝わってきます。
22歳大学生(どちらかと言えば支持):
やっぱり最初の印象というか、なんて言うんですか、表情とか目線とか、そういったところはすごい好感を持てているので、ちょっと期待したいなって。
高市首相の演説に「好印象」を持ったという若者たちの声。
一体、高市首相の何が人々の心を惹きつけているのか?
分析してもらったのは、コミュニケーション戦略研究家・岡本純子氏。
これまで企業のトップや政治家ら1000人以上に、スピーチやプレゼンのコーチングをしてきたプロフェッショナルだ。

コミュニケーション戦略研究家・岡本純子氏:
高市さんというのは、当代一の話者・話し手であるということが言えると思います。「こうすれば人が動く」というルールを知った上で、戦略的にコミュニケーションをしている。
高市首相の演説には、いくつかの「戦略的なコミュニケーション術」が巧みに盛り込まれているという。

戦略的なコミュニケーション術①【揺さぶって、揺るがない】
高市首相は21日の首相就任会見で、「内から外から、日本は大きな危機に直面しています。立ち止まっている暇はございません」と発言。さらに、24日の所信表明演説でも、「成長戦略の肝は『危機管理投資』です。経済安全保障、食料安全保障、国土強靱化対策などの様々なリスクや社会課題に対し、先手を打って行う戦略的な投資です」と発言していました。

コミュニケーション戦略研究家の岡本純子氏はこの発言について、「危機なんです、と。で、ちょっとした恐怖みたいなものを、いろんな人の感情のスイッチを押すんです。
感情を揺さぶるっていうのは大事なので、トランプ大統領はもう不法移民がやってくるとか、ものすごく掻き立てるような、恐怖を掻き立てるような言葉を使うんですけど、高市首相はそこまでではないですが…安穏とはしてられませんよというようなメッセージを発しています」と分析しました。
「揺るがないリーダー像」のイメージ
トランプ大統領にも通じる部分があるという国民感情の揺さぶり。
その上で…
コミュニケーション戦略研究家・岡本純子氏:
(高市首相の)“揺るがぬ自信”というものを言葉の上でも、話し方の上でも見せているということですよね。
高市首相:
強い日本を作るため、絶対に諦めない、そう決意をいたしております。
高市首相:
果敢に働く。初日から全速力、トップスピードで!
高市首相:
国民の皆様の命と健康を守ることは、重要な安全保障です。
コミュニケーション戦略研究家・岡本純子氏:
不安に、「大丈夫」「日本は大丈夫」って、不安に思っている人たちは、すごく頼りがいのある安心感を覚えるんじゃないかと思います。

そうした「揺るがないリーダー像」のイメージは、服装にも見て取れるという。
コミュニケーション戦略研究家・岡本純子氏:
どっしりとしたような印象を持ってもらえるような、揺れるようなスカートもないし、揺れるようなピアスもないし、揺れるようなネックレスもない。本当に1ミリも乱れがない。
国民に見せる、揺るがない姿。
だが、それ一辺倒ではないという。

戦略的なコミュニケーション術②【強さを和らげる“笑顔”】
高市首相の笑顔について、コミュニケーション戦略研究家の岡本氏は、「笑顔ですね。柔らかい顔を見せることによって、強い口調をしても、そこを和らげることができるっていう。
実はこの笑顔が、高市首相の最大の武器じゃないかというふうに考えています」と話した。

「表情分析」で見えてきたもの
岡本氏が、高市首相にとって最大の武器だと言う「笑顔」。
では、ここまでの歴代首相と比べ、どれほど笑顔があるのか?

Mr.サンデーは、様々なAIサービスを開発する企業に協力を依頼。
行ったのは…「表情分析」。

「笑顔」や「目を閉じる」など23種類の表情から、「悲しみ」「怒り」など10種類の感情をAIが判別。

CAC identity表情解析事業責任者・高橋亮太氏:
「目を閉じる」だけオンにして、リアルタイム分析を行ってみましょう。
ディレクター:
今、閉じたところだけ(グラフが)跳ね上がりましたね。

今回は「笑顔」に注目し、高市首相を含めた、歴代首相5人の表情を分析。
グラフに水色の線が出れば、「笑顔」になったことを意味するが、果たして…?
CAC identity表情解析事業責任者・高橋亮太氏:
それでは分析を開始いたします。
約15分後…分析完了。

CAC identity表情解析事業責任者・高橋亮太氏:
分析結果を見ていきましょう。

高市首相は演説開始直後から笑顔を示す水色が…その度合いは最大値。
“満面の笑み”が出ていた。
その後も、繰り返し水色の線が…。
一方、歴代首相の4人は…

CAC identity表情解析事業責任者・高橋亮太氏:
こちらが石破さんの分析結果。水色の項目なんですけども、現状現れていないようなものになっています。

結果、演説中にどれくらいの時間笑顔だったのかを円グラフにしたのがこちら。
水色と紫色が「笑顔」を示すのだが、一番多い安倍元総理でも約7%なのに対し、高市総理は約31%。

さらに、首相の就任会見では、50%以上を笑顔が占めていた。
一方、そうした笑顔の中には…。

高市首相:
情報力が弱いと、外交力も防衛力も経済力も弱くなってしまいます。(笑顔)そして他方ですね、(真顔)もう世界中が欲しがる、世界にとって必要な技術力を日本が持っていたならば (笑顔)まぁそれはですね…。
話の内容と合ってないように見える時も…岡本氏は総理の心中をこう推察する。
コミュニケーション戦略研究家・岡本純子氏:
ちょっと笑顔作りすぎじゃない?とか、不自然じゃない?っていう声が上がる一方で、女性がこのリーダーシップをとっていく時にはですね、力強く自信を持って喋ると、意地悪だとか気が強いって言われるんですよ。
ちょっと怖そうに見えてしまったなと思った瞬間に柔らかさを出すっていう、それでバランスを取るんだと思いますね。
高市首相の笑顔は口元じゃないんですね。目元なんですよ。目元に出る笑顔だから、怖さ、強すぎる回避のためには多分必須だったんだと思います。
高市首相:
私は明るくなければ未来じゃない。安全でなければ日本じゃない。そう考えています。
「音楽を聴いているような感じ…」
さらに、高市首相の話し方にも人を惹きつける特徴があるという。

戦略的なコミュニケーション術③【飽きさせない“メロディ”】
コミュニケーション戦略研究家・岡本純子氏:
最大の高市首相の話し方の特徴としてはですね、そのメリハリ、本当にメロディがあるということですね。
メロディがあるとはどういうことなのか?
訪ねたのは日本音響研究所・鈴木創所長。
高市首相のこれまでの演説を音声分析してもらうと、思わぬ事実が…
日本音響研究所・鈴木創所長:
2021年の頃(総裁選)ですね。高市さん、そんなに特徴があるような喋り方はしていません。

これは声の高さなどを示したもの。
2021年総裁選の出馬会見ではあまり上下せず、特徴がないという。
それが2025年は…

日本音響研究所・鈴木創所長:
こう上がって下がる、上がって下がるという、こういうパターンが確立しています。
リズミカルに、こういうある程度のイントネーションのリズムであったり、強弱のリズムであったりというのをうまく使っているので、言ってみれば音楽を聴いているような感じになって飽きずに聞くことができます。
高市首相:
私、高市早苗。日本と日本人を心底愛する者として、日本と日本人の底力を本当に信じてやまない者として、再び自民党総裁選挙に立候補いたします。昨年の総裁選挙以降、私は週末ごとに全国各地を歩いてまいりました。
演説に生まれていたリズムやメロディ。

さらに、鈴木所長の分析によると、2021年は1分間に話した文字数が352字から400字までバラバラ。
つまり話すスピードにムラがあったが、2025年は、ほぼ一定に。
日本音響研究所・鈴木創所長:
聞いていてすごく理解しやすい、テンポよく理解できるという事になります。(高市首相は)かなり意識されたのではないかのかなと。
明らかに進化しているという、高市首相の演説。

ジャーナリストの岩田明子氏は、変化の舞台裏をこう明かす。

ジャーナリスト・岩田明子氏:
総裁選の前後で変わったことっていうと、やっぱりファッションだとか、メイクだとか、雰囲気が少し変わったかなというふうに思いますね。取材をしましたら、側近の議員の方がコンサルに頼んでアドバイスを受けて、眉の雰囲気ですとか、全体の雰囲気を変えられたと。
ジャーナリスト・岩田明子氏:
この総裁選を通して、やっぱり意識して笑顔を作っている部分が多くて、やがてその意識して作ってたのが、もう自然に反射的に笑顔になるという状況になっている気がしました。メイクにしても、笑顔にしても、スピーチ力にしても、本当に時間を無駄にせず、ずっとコツコツやってきたその成果ですね。
(「Mr.サンデー」10月26日放送より)
