自民党は25日、厚生年金積立金で基礎年金を底上げする案を削り、年金制度改革法案を5月中旬に国会提出すると伝えた。提出遅れの背景には、参院選への警戒があり、サラリーマン負担への不満と底上げ削除への批判が交錯している。野党は石破首相出席の集中審議を求め、成立は不透明だ。

自民党内で年金法案巡り懸念広がる

自民党は、提出が遅れている年金制度改革法案について、5月中旬に国会に提出すると野党側に伝えた。

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年金法案を巡っては、厚生年金の積立金を使って基礎年金を底上げする部分などが反発を招くことへの懸念が自民党内で広がり、提出が遅れていた。

こうした中、自民党は24日、基礎年金の底上げ部分を削除した法案について大筋了承した。
これを受け自民党は25日午前11時頃、自・立国対委員長会談で、4月中の提出を求めてきた立憲民主党に対し、5月中旬に法案を国会に提出すると伝え理解を求めた。

立憲は条件として、石破首相が出席しての集中審議を求めるなど年金改革を徹底議論する構えだ。

「より改悪じゃないか」野党が基礎年金底上げ削除を批判

ここからは、政治部デスク・髙田圭太が解説する。

青井実キャスター:
年金制度改革法案は、なぜ柱の一つが削除されたんですか?

高田圭太政治部デスク:
まさに今回、自民党の中でのいろいろな思惑と、参院選を含めたいろんな形でこうなっています。今、石破首相はじめ自民党執行部は、「法案は出しても批判されて、出さなくても批判され、削除しても批判されるのか」といった気持ちであると思います。ちょっと迷走ぶりが見えますね。

青井キャスター:
何をやっても批判ということですね。柳澤さん、結局削除ということで盛り込まれなかったわけですね。

SPキャスター柳澤秀夫さん:
どうやったら票を集められるかっていう、絵に描いたような選挙対策だと思いますね。

青井キャスター:
その辺も含めて聞いていきます。では、まず1つ目ですが、そもそも法案を出しても批判というところですが、高田さん、その辺りはどうでしょう?

高田圭太政治部デスク:
今回の法案ですが、厚生年金の積立金を国民年金も含めた基礎年金に幅広く使おうというのが一つの材料でしたが、今回厚生年金に加入するサラリーマンからは、何で自分たちの積立金を幅広く使うんだという批判がもう出始めていましたので、自民党はそれが怖かったんですね。

自民党としては、年金改革で実は参院選で2回負けてるんですね。第1次安倍政権の時と、その前の小泉政権の時と、この嫌な思いがあって怖いので、そもそも提出するのをやめようかという話が一時期広がったということです。

青井キャスター:
今後は出さなくても批判という話ですが、これはどうでしょう。

高田圭太政治部デスク:
出さないという動きを見せたんですが、でも野党側は5年に1回の財政検証は大事なもので、出さないなんていうことはないでしょうと、いろいろ大事な改革もありますからと。
そこで自民党はそんな批判されるなら、基礎年金の底上げ部分を厚生労働省に削ってもらって、もう一回出し直してもらうということにしたわけです。

青井キャスター:
そして削除して、骨抜きになってしまったとも言われていますが、今回最後に削除したわけです。そして、削除しても批判ということですね。

高田圭太政治部デスク:
削除して批判が収まるかと思ったら、今度は野党側は基礎年金の底上げ部分は、もちろんサラリーマンからの評判が悪い声もあるが、就職氷河期世代の将来の年金を確保するために大事じゃないかと。そこを削除して出すというのは、より改悪じゃないかと批判してる状況です。
自民党の中でもこの部分を残した方がいいんじゃないかという意見も一部ありますが、自民党の中でも「執行部で、今回結局ビビった」のではないかと。

SPキャスター柳澤秀夫さん:
結局、国民目線で物事を考えてない。自分たちがどうやって議席を確保するかということしか考えてないように思えてしまいますよね。

青井キャスター:
自民党が25日、立憲民主党に対して5月中旬には必ず提出すると伝えたということですが、この法案を本気で通すつもりがあるのかないのか、その辺はどうでしょう。

高田圭太政治部デスク:
もちろん通したいとは思っていると思いますが、ただ野党側の賛成がないとそもそも通りませんので、このまま通るのは厳しいと。そうすると野党と何かしら一致して通すのか、それともこの国会は諦めて、秋以降にするのかという選択になってくると思います。

いずれにしても選挙のために見えてしまうが、国民をしっかり見てほしいところだ。
(「イット!」4月25日放送より)

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