大分県産としては初めてとなるシングルモルトウイスキーが完成した。
製造したのは地元で酒屋を営んでいた男性だ。構想から10年、ウイスキーに込められた思いを取材した。

これまで製造されたことがなかった「大分県産ウイスキー」
18日竹田市久住町の蒸溜所でセレモニーが行われ、大分県産としては初となるシングルモルトウイスキー「久住 THEFIRST」が披露された。
シングルモルトとは単一の蒸留所で大麦麦芽を原料とし樽で3年以上熟成されたウイスキーのことで、「久住 THEFIRST」は代表の宇戸田祥自さんが構想から10年かけて完成にこぎつけた。
「最初は誰も本気にしてくれなかったと思う。私自身もとんでもなく無謀な挑戦だと思っていた」と宇戸田さんは当時を振り返る。
県内ではかつて日田市に大手メーカー・ニッカウヰスキーの工場があったが、県産のウイスキーはこれまで製造されたことが無いという。

始まりは学生のころにバーで飲んだシングルモルト
こうした中、2021年に久住蒸溜所が開業。
地元で酒屋を営んでいた宇戸田さんが「大好きなウイスキーを自分で作ってみたい」そんな思いで始めた挑戦だった。
「学生のころバーに行って、シングルモルトを飲んで、そのあまりの奥行きや味わいの深さに魅せられたという部分が全ての始まり」と宇戸田さんは話す。
宇戸田さんがこだわったのがウイスキーの原液を作る2つの大きな蒸留器。本場スコットランドから取り寄せたもので形も自らオーダーし、手作業で作ってもらったという。
ーー久住蒸溜所 宇戸田祥自 代表
「やはり久住の気候・風土・自然、そういったものが色濃く反映するようなものであればいいなという思いは蒸留所を始める前からあった。原料から樽選びから全てにおいて、1つ1つピックアップできないくらいこだわりが詰まっている」

久住蒸溜所では2年前に蒸留から3年未満のウイスキー「グリーンドラム」の販売を開始。
こちらの酒屋では客から「飲みやすくて、ハイボールにしてもおいしい」と好評だという。
今回披露されたシングルモルトについても21日週ごろから販売する予定だという。

「蒸溜所としてのスタートラインに立った」
大分県産の看板を背負って期待を集めるシングルモルト。どのような味わいのウイスキーなのか。
式典に参加した人たちからは「味わいもしっかり、ふくよかさも、飲みやすさもある」
「おいしいウイスキーだと感動した」「これから10年、20年楽しみに感じてさせてくれるウイスキーでした」などといった声が聞かれた。

「ファーストの一本が出て初めて蒸溜所としてのスタートラインに立った段階。後で思い返せば、あれがはじめの一歩だったと記憶に残る1本になればいい」と宇戸田さんは思いを述べた。
県産のウイスキーを多くの人に届ける、宇戸田さんの新たな挑戦が始まった。
