日本人がはきやすく使いやすいデザインにこだわったジーンズ『503』シリーズで知られる老舗ジーンズブランドといえば、日本を代表するブランドの一つ「EDWIN」。その製造拠点が、秋田・五城目町にあることをご存じだろうか。国内だけでなく海外でも高い評価を受ける日本のジーンズの製造現場を見学する特別なイベントが3月に開かれ、全国から集まったエドウインファンが職人の技に触れた。

ミシン110台!操る職人は24人

五城目町の中心部にある「EDWIN BASE」。

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ここから日本製のジーンズが世界に羽ばたいていく。

2024年10月から稼動しているこの工場で働くのは24人の職人。これに対し、設置されているミシンの数は110台に上る。

110台のミシンが並ぶ工場内
110台のミシンが並ぶ工場内

一般的なジーンズを作るには、デニム生地の裁断から縫製まで44の工程があるが、この工場ではその全てを手がける。工程ごとにミシンが分かれていて、そこに人が移動して使うことで効率が高まるようになっているのだ

工程に応じたミシンのところに職人が移動して作業する
工程に応じたミシンのところに職人が移動して作業する

ミシンの種類が多いため細かい作業工程が必要な商品などにも柔軟に対応できる。ここから、年間約5万点の商品が送り出されている。

EDWIN BASEで作られるジーンズは品質が高く評価されている。中でもヨーロッパ向けの製品が好調で、2023年のヨーロッパ向けの輸出量は5年前と比べて約10倍に増えた。

エドウイン・高島大輔さん(※「高」は「はしご高」):
エドウインはメイドインジャパンにこだわって品質・クオリティを担保しているが、EDWIN BASEはその中核を担う工場。世の中の需要が多品種になっているので安定して大量に縫うというよりも、ここは縫い子も含めてスペシャリストが揃っている。多品種・少量も多くできるスペシャルな工場。

職人はほとんどが町の人で、日本のものづくりの技術の高さを秋田から発信している。

職人技の縫製作業をファンが体験

3月、全国から集まったエドウインファン20人が工場を訪れた。ジーンズ『503』を購入した人の中から抽選で選ばれた人たちだ。秋田の観光とEDWIN BASE見学を楽しんだ。

作業工程の説明を受ける見学ツアーの参加者
作業工程の説明を受ける見学ツアーの参加者

参加者は職人から説明を受けながら、デニム製品が完成するまでの工程を学んだ。

多くの人が足を止めて見つめていたのは、ジーンズの尻部分を縫い合わせる「尻巻き縫い」の工程。

最も難しい工程といわれる“尻巻き縫い”
最も難しい工程といわれる“尻巻き縫い”

カーブしたパーツを縫い合わせるため繊細なミシンの操作が必要で、ジーンズ作りで最も難しい工程といわれている。工場内でこの工程を担当できるのはわずか4人だけだ。

「尻巻き縫い」を担当する職人の1人、奈良柚希菜さんは「やはり布を合わせるところが一番難しい。(尻の部分は)布が一番集まる場所で、16枚くらいある」と話す。

この最も難しいとされる作業をツアーの参加者が体験した。

出来上がったものを見ると、縫い目がずれてしまっている。職人の奈良さんが仕上げたものと比べるとその違いは明らか。まさに職人技だ。

“ここでしか作れないもの”を極める

職人技を見て体験したあと、参加者はデニム生地を使ってトートバッグ作りに挑戦した。

トートバッグ作りに挑戦する参加者
トートバッグ作りに挑戦する参加者

バッグにつけるラベルや糸などを選び、業務用のミシンに向かった参加者たち。職人に手伝ってもらう場面もあったが、無事、オリジナルの世界に一つだけのバッグが完成した。

完成したトートバッグ
完成したトートバッグ

参加者は「いっぱい機械があるのにあんまり人がいない。その上でいろいろな機械を使っていると聞いてすごいと思った」「一枚の生地から一切無駄なく一枚のジーンズが作られていて、すごくいいなと思った」などと話し、大満足のツアーになったようだ。

また「メイドインジャパンって大事なものだと思う。もっとみんなに知ってもらいたい」と語る参加者もいた。

自作のトートバッグを手にツアーを満喫した様子のエドウインファン
自作のトートバッグを手にツアーを満喫した様子のエドウインファン

エドウインの高島大輔さんは「ここでしか作れないものづくりを極めていきたい。そして、工場発信の商品のようなものを作っていって、ファクトリーブランドなどもできていけば良い」と語った。

メイドイン秋田の商品が、メイドインジャパンのクオリティーを高め、さらに世界に羽ばたいていくことを期待したい。

(秋田テレビ)

秋田テレビ
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