「女性活躍推進法」が制定されてから2025年で10年を迎える。秋田市のホテルには女性社員で構成されたプロジェクトチームがあり、女性の感性を生かした数々のヒット商品やイベントを生み出してきた。チームの活動にスポットを当てる。
女性活躍推進の一手「C-WINGS」
秋田市にある秋田キャッスルホテル。

このホテルには、女性社員だけでつくる「C-WINGS」というプロジェクトチームがある。2014年に発足し、ホテル内の各部門からメンバーを入れ替えながら女性の感性を生かした商品開発や情報発信などに取り組んできた。

現在のメンバーは6代目。宴会場のシェフや企画・広報課の社員など6人が活動中だ。
企画・広報課の糸井香名さんが印象に残っているイベントが『ヨガ教室』や『紅茶教室』。

メンバーで話し合っているときに「教室やレッスンに1人で参加するのはすごく大変だよね」という声から、気軽に参加できるイベントを開催しようと生まれた企画だった。
2024年に結成10周年を迎えた「C-WINGS」。チームが発足した当時は、社会全体で女性活躍の機運が高まり、企業も対応を求められていた時期と重なっていた。

秋田キャッスルホテル・加藤いづみ副支配人:
当社は女性の従業員が全体の7割ととても多いが、女性の管理職は2014年当時、6%にとどまっていた。なかなか女性の意見が反映しづらい状況だった。そんな中で、女性活躍推進の一手として女性チーム発足の話が持ち上がってできたのが「C-WINGS」。

C-WINGS発足メンバーの1人の野呂佐緒里さんは「当時のメンバーは、会議やミーティングの場で発言することに慣れていない人ばかりだった。緊張もあり、なかなか良い意見も出なかったが、お茶を楽しみながら和気あいあいといろいろな意見が出るような雰囲気づくりを心がけた」と振り返る。
最初の企画がいきなり大ヒット
結成から3カ月後に最初に企画した商品が、ホテル最上階のバーで料理とドリンクを楽しむ『大人女子会プラン』。

「最終的に飲食代がいくらになるか分からない」という不安を抱く女性に向け、セット価格で分かりやすさを重視し、女性のバーデビューを後押しした。20~30代の女性がメインで、月間200人ほどが利用する大ヒット商品になったという。

野呂さんは、現在のメンバーに「自分の考えやアイデアをどんどん発言して、周りの協力を得ながら頑張ってほしい」とエールを送る。
“ホテルをもっと身近に”
3月23日、6代目のメンバーが準備を進めてきたイベントの日を迎えた。

その名も「キャッスルマルシェ」。会場となった宴会場には、焼き菓子やハンドメイド雑貨、子ども向けのワークショップなど約30店舗がずらりと並んだ。
C-WINGSのメンバーもホテル特製のスープを振る舞って客と触れ合った。

メンバーの1人、佐藤千尋さんは「想像していたよりもたくさんの人に来てもらい、正直驚いている。結構準備が大変だったので、うれしいの一言」と笑顔を見せた。
“ホテルをもっと身近に”という思いで初めて企画した今回のイベント。

会場を訪れた人からは「キャッスルホテルは格式が高くて参加しづらいと思ったが、結構カジュアルにふらっと参加できるのですごく楽しんで参加している」「食べ物や手作りのものもあり、時間があったらたっぷり見たい。なかなかキャッスルホテルに来る機会がないので来やすくなる」といった声が聞かれた。
仕事も私生活も輝く働き方を
現在のキャッスルホテルの女性管理職の割合は17.1%。この10年で約3倍になった。
目指す理想の働き方について、C-WINGSのメンバーの1人、糸井香名さんは「仕事もすごく好きなので続けていきたい。ワークライフバランスを整えて働いていきたい」と話す。

そして「まだまだ若い世代はホテルが身近に感じられていないと思うので、より身近に感じてもらえるように新しいイベントや商品開発をしていきたい」と意気込む。

仕事でも日常でも輝きたいと願うC-WINGSが生み出す商品やイベントの数々。これからも秋田の女性の背中を優しく押してくれそうだ。
(秋田テレビ)